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G*R
by K・カヲル
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■ぼくらはただそうやって世界を手にした 8
「そっちやのうて……」
「……嬢ちゃんは見えてねえから安心しろよ」
長身の男も近づいてきて、ギンの前に屈んだ。
「刀を見せてくれよ……ああ、こりゃあすげえな。お前……俺もお嬢ちゃんは見てねえからな」
ギンの視線を感じたのか男はそう断って、そしてギンの刀を手に取った。
「重いし、これは強い」
「どれ、ああ本当だ。お前、もっと強くなるぜ」
男達が評しているのをぼんやりと聞いていると、頭上で戸の開く音がした。ギンは慌てて立ち上がる。
「ほうら、お待たせ。すっごくかわいいわよ」
踊り子の一人がそう言って外に出ると、乱菊を抱えて地面に降ろした。その姿を見て男達が口笛を吹く。
ギンは頭の中が真っ白になっていた。
乱菊はこの地区では滅多にお目にかかれないような淡い桃色の着物を着ていた。袷を緩やかにしているので白い首筋がよく見えて、それがとても桃色に映えている。髪は綺麗に結い上げられて、かんざしまで付けていた。少女がはしゃいで乱菊の足下をぐるぐる回っている。乱菊は白い細い手で、その娘の頭を優しく撫でると、ギンに向かって顔を上げた。
少し紅をさしている唇で、乱菊はにっこりと笑う。
「かわいくできてる? ギン」
そんな顔でそんな姿でそんなことを言われたら。
ギンは眩暈がした。
「ほら、ギン。なんか言って?」
後ろで用心棒達が「これは凶悪だ」と呟いているのが聞こえる。ギンは心の中で激しく同意した。これは凶悪なかわいさだ。どうしようどうしようどうしろと自分にどうしろと言うのだろうか。
ギンはしばらく無言になり、一言、
「お姫さんや」
と言った。
「おひいさん?」
「乱菊はお姫さんや。お姫さん。うん、すごいわ。こらもうホンマに」
ギンは基本的にお喋りが得意だ。そのギンがたどたどしく、かくかくして言っている。何を言っているのか方言の異なる乱菊はよく分からなかったのだが、ギンのそんな様子を見て満足げに首を傾げて笑った。
もうそれだけで、ギンは殴られたようにくらくらした。ボクん刀、勝てん。そう思った。
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01月19日(水)
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