ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■絶対的な響きをもって鐘の音は時を告げた 11
脚の間に滑り込む指に、乱菊はかすかに震えた。
指にまとわりつく湿り気に、目の前にある滑らかな白い背中に、乱れて広がる山吹色の髪に、ギンの中で蠢くものがぞろりぞろりと、ギンを支配しようとしていた。霞がかかったように何も考えられず、眩暈をおこしているかのようにぐらぐらする。それでもギンは、その暗い熱さに支配はされなかった。時折痛そうに呻く乱菊の声に、震える体に、ギンは我に返る。
こんなことは望んではいなかった。俯せになり、自分の手に押さえつけられている乱菊の姿を見て、ギンは口元を歪める。欲情はあった。確かにあった。けれど、こんな形で発露させるつもりはなかった。
もしも、本当にもしも、乱菊を抱けることがあるとしたら。ギンは自分が願うことすらできなかったその感情を思い出す。もしも抱けることがあるとしたら、そうしたら。
乱菊の背中に伏せていた体を起こし、ギンは細い腰を掴んだ。もう引き返せない。もう戻れない。
この悦楽も嫌悪も慕わしさも衝動も恍惚感も罪悪感も懺悔も後悔も切望も愛しさも何もかも。
全てが吹き荒れて、ギンはその嵐をそのまま乱菊に捻じ込む。
ギンの視界が歪んだ。
身を引き裂かれるような痛みに布団を噛みしめて、乱菊は叫び声を殺した。下腹が破けるのではないかと思うほどの痛みと圧迫感。擦れるその引きつる痛み。解放された両手で敷布を握りしめ、突っ伏して乱菊は痛みに耐えた。衝撃が脳髄まで駆け上り、意識を失いそうになる。なのに、ギンが中で動く度に走る痛みが、乱暴に意識を引きずり戻す。やがて動きは滑らかになり濡れた音が耳に届くようになっても、突き上げられるその苦しさに乱菊は呻いた。
その背中に、滴り落ちるものがあることに気づいたのは、乱菊が痛みの中に違う感覚をようやく見いだしたときだった。
ぱたぱたと、ぱたぱたと、肩に、背中に何かが滴り落ちていた。肌を濡らすそれは、止むことなく滴り落ちて、乱菊の汗と混ざり滑り落ち、敷布に染みをつくる。
「……ギン」
掠れた声で呼ぶと、後ろからギンが腕を乱菊の体の下にまわし、抱きしめて、頬を寄せてきた。
その頬は、濡れていた。
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05月02日(火)
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