ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■地上の縁からのぞき込むと深遠の青が底もなく 9
一瞬、動けないままギンを見上げた少女は、踵を返して軽い足音を立てて教室を出ていった。
廊下を駆ける音が遠くなるのを聞きながらギンは本心からの溜息をついた。机に座り、足下を見る。よく磨かれた木の床はギンの影をきれいに映していた。
気配を感じてギンが顔を上げた。
「市丸君、お邪魔だったかしら」
「別にそんなことないで」
「そう、良かった。ちょっとごめんね」
扉からリンドウとスミレが入ってきた。申し訳なさそうに少しだけ眉を寄せた二人は、一つの机に向かうと奥を覗き込む。
「忘れもん?」
「そうなの……あ、あった。よかった」
スミレが体を起こしてギンに向かって微笑んだ。そしてやはりすぐに眉を寄せる。スミレはこういう困ったような表情が似合うとギンは思う。
「市丸君、あまり冷たいふり方しちゃだめだよ」
スミレの言葉に、ギンは笑った。
「あら、聞いてはったんか。えらいところ聞かれたなあ」
「ごめんね」
「ええんよ。こないな場所で話しとるこっちが悪いわ」
リンドウが少し微笑んだ。そして尋ねる。
「市丸君、これで何人目」
「一々数えとらんけど、まあ両の手で足りるんやないの。でもボク別に何も言うてないで。あの子らが勝手にしよるだけや」
「女の敵ねえ、市丸君は」
リンドウの呆れたような笑みに、ギンは楽しげに言う。
「敵もなにも、ボク何もしぃひんもん」
「そういうのが敵でしょ」
リンドウの言葉にスミレが笑った。
「じゃあ私達帰るね」
「乱ちゃんが、明日締め切りのやつを市丸君が出すかどうか気にしていたから、ちゃんと出してね。もうすぐだからね、合同実習」
ギンはただ笑うだけで答え、手をあげた。二人は小走りで扉に向かう。扉を閉めるときに、リンドウが顔を覗かせて、微笑んだ。ギンはひらひらと手を振った。
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06月12日(月)
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