台所のすみっちょ...風子

 

 

鍵の穴。 - 2004年11月30日(火)

うちのマンションは約300世帯の大所帯。

これだけの数があるのだから、

当然イタズラ盛りの子供も多い。


マンションはオートロックで、エントランスホールへは

各自の鍵を所定のところに差し込んで初めて中に入ることができるのだが、

その鍵穴が良く子供達によってつぶされたりする。

鍵が上手く入れられなくなるのだ。

現場にいれば、私が叱ることもできる。

だが、いたずらっ子というのはこっそりそれをやるもの。


今日、マンションに戻って玄関のドアを開けようとしたら、

鍵が開かなかった。

鍵穴に入れるのもやっとで、その上、右にも左にも回らない。

ガチャガチャ、、何度もやりながら、いたずらっ子のことが頭に浮んだ。

ついに、各階の各住戸までに・・・と。

だが、改めて当たりの様子をうかがうと何か空気というか様子が違う。

案の定、表札を見たらよそのお宅だった。

我が家は6階。私が頑張って鍵を開けようとしていた部屋は3階。

どうやらエレベーターに乗ったとき、間違った回数を押してしまい、

体が覚えている通りに廊下を曲がったりして進んだらしい。


こりゃ〜、誰のせいにもできない・・・と思った。


おしまい。


...

並木道・・・ - 2004年11月29日(月)

金曜日の昼下がり。私はとある町にいた。

そこは結婚と同時に住み始め、夫と暫くいた場所。

並木道の美しいその町に金曜日久しぶりに行ってみたのは、

実家の母のお使いで戸籍抄本が必要だったからだ。


風を頬に感じながら並木道をゆっくりと歩く。

落ちたそうで、でも残りたそげな色づいた木々の葉が、

ためらいがちに揺れるその中を。


抄本を受け取った後、郵便局へ行った。

新潟の母に速達で送らなければならなかった。

すべての用事を済ませて駅に向かう途中、ある建物の前で私は足を止めた。

石造りの重厚な五階建てのビルだ。

どこか懐かしいような気がした。

ここに入ったような気がする・・何の用事だっただろう・・?

しばらく記憶の糸を辿ってから、私はゆっくり思い出したのだった。

ビルに入ったのは滞納して止められそうになった水道料金を

慌てて払いに行った時だったと。


懐かしくてほろ苦いそんな思い出。ふいに可笑しさがこみ上げてきた。

何もかも変わっていないことに。

そう、通りの店やここは北京ですか?といったような

自転車人の多さ・・町は私のいた頃とほとんど変わってない。

そして何より私が・・・。

だって私は、つい先日も電話料金を滞納して、止められるその日の朝に

隣のコンビニに慌てて払いに行ったのだから・・・。



おしまい。


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ピアス。 - 2004年11月26日(金)

今日、電車に乗っていたときの話である。

とある駅で2人の男性が乗り込んで来た。

一人は眼鏡をかけた30代。もう一人は20代ふうの

頭のトップの方を短めのシャギーで仕上げ襟足の方は長い、

まるでタコのような形のヘアースタイルの青年であった。


2人とも背広姿で襟には社章。パッと見、どこにでも

いそうなサラリーマンであった。

だが、彼らの近くにいた私は若い方の耳の当たりを見て驚いた。

彼の耳にはシャギーで梳いた毛がうっすらかかっていた。

その隙間からキラキラ覗く光。そう、彼はシルバーのピアスをしていたのだ。

そんじょそこらのピアスではない。

大きな安全ピンだった。

耳の上の方、付け根から入れ、耳の脇から出す、といった感じで

安全ピンが渡っていたのである。

解りやすく説明しよう。

まず耳全体を東京湾とする。

その安全ピンピアスは木更津から川崎まで架かる橋、海ほたるのようだったのだ。


人はそれぞれ個性があっていい。

けれど、社会人としてそれでは商売がしにくいのではないか?

取引先に行っても、あの姿じゃあ年配の人達にはウケが悪いと思われる。


ピアス自体は全然痛くないだろう。

彼が仕事で痛い思いをしないことを願うばかりである。


おしまい。



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税金 - 2004年11月25日(木)

先週、用事があって役所に行った。

役所と言っても区役所はうちから遠いので、

行ったのは近くのほったて小屋のような出張所である。


がらがら〜とガラスの引き戸を開けて中に入る。

すると、カウンターに座っていた、

50代のおばさん、40代のおばさん、30代のおばさん予備軍といった

三人の女性が、いっせいに声をそろえて

「いらっしゃいませ〜、こんにちは〜」と叫ぶ。

客は私だけ。どうやら、彼女達はずっと前から暇を持て余していたらしく、

申請書のある台に向かうと、「あらあら水臭い」という様子で

「どうしましたぁ〜。こちらへどうぞ」などと声をかけてくれ、とても親切。

恐る恐る戸籍抄本のことを告げると、本籍はこの区ですか?と聞かれた。


私は忘れていた。戸籍抄本は本籍のあるところじゃなきゃダメなのだ。

残念なことに私のはここではない。

おばさん達にその旨を話したら、とたんに大騒ぎになった。

「あっら〜、じゃあダメだわ〜」
「ごめんなさいね〜」
「あっ、でも郵送で取り寄せもでるのよ〜」
「そうね、それがいいわ。」
「そうね、そうね、一週間ぐらいで届くわよ」

と、もの凄いカシマシさだ。

おまけに、奥でブラブラしていたおじさんまで様子見に出てくる始末。

あんまり寄って集ってかまってくれるので、

要りもしない住民票なんか取っちゃった。


それにしても・・・と、帰り道、私はなんだか複雑であった。

おりしもついこの前、税を考える偉い人たちの答申がまとまったばかり。

これからの国の財政ことを考えると、消費税をはじめ増税は必至だそうだ。


あのおばさん達には申し訳ないが、

人件費を減らしてからでも、増税は遅くないんじゃないか?と思う。


おしまい。


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カン。 - 2004年11月22日(月)

金曜日と土曜日、旦那が某所に出張に行ってた。

それは急に決まり、私が聞いたのは前日の木曜日の夜。

もしかして・・・と私は思った。

そして、リビングの隣の洋室に行った。

タンスの引き出しを開けた。

中を見た。

また、旦那が持っていくパンツが

一枚もなかった。

私って本当になんてカンが良いのだろう・・・と、

一人感心した。


おしまい。


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納得しかねたこと。 - 2004年11月21日(日)

今日、バイト先で久々にTさんとあった。

Tさんは一見紳士風な、けれども口を開けば陽気な

初老の男性である。


彼も久しぶりの再会がうれしかったのだろう。

受付で私の顔を見るなり、

「いや〜、今日は美人のおねえさんがいるねぇ〜」とニコニコしながら言った。


とんでもない、、。うちのバイト先にはインストラクターが

3人いるが、その中で私は一番のブスである。

なので、

「やめてくださいよぉ〜。私ぜんぜん綺麗じゃないしぃ〜」

と返したら、Tさんはいたずらっぽくこう言った。

「そんなことないさ。君だって化粧すればまあまあ綺麗だよ」


恐れ入ります、Tさん。

けれどその時、化粧だったら充分にしてた。


おしまい。


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粘り。 - 2004年11月19日(金)

気の早い話かもしれないが、今年ももう少しで終わりだ。

年の初めはあれもやろう!これもやろう!と私なりの

目的があったハズなのに、たぶんその半分、いや

三分の一もできていないような気がする。

今さら足掻いても、あと一ヶ月半あまりで一体何ができようか。


などと、一人考えながらタバコを吸っていたら、

納豆一粒が流し台の下の扉にくっついているのを発見した。

それは夕飯の仕度中、納豆を激しくかき混ぜたとき、

勢い余ってこぼれた数粒の納豆の一つであると考えられる。

落とした分は全部拾ったつもりであったが、違ったらしい。


その納豆粒は、扉に垂直にくっついていた。

首を傾げて見ると、ピンと突っ立っているような感じ。

くっついているのは細い先端だから、接着面は少ないのに

もの凄い粘りようだ。

絶対落ちるもんか・・・という意志まで伝わってくる。


まだ今年は終っちゃいない。

諦めてはいけない、粘らなきゃ・・と

納豆に教えられた夜であった。


ありがとう、おかめ納豆。


おしまい。



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慎重。 - 2004年11月18日(木)

人は年をとると共に段々と慎重になってくるものである。

昔は無鉄砲でやんちゃだった私もそうだ。


昨日、友人M子と浅草に映画を見に行った帰り、

せっかく来たのだから、と浅草寺でおみくじを引いた。

「吉」だった。

境内の木に結びつけようとして、

ふと、この「吉」とは吉たちの中でどのくらい偉いのか?と考えてみる。

おみくじは良い物が出た場合、置いていくより

持ち帰り、財布かなんかに入れてお守りにした方が良いそうだ。


吉の種類は他に大吉、中吉、小吉がある。

私の引いた「吉」が吉たちの中でどの程度なのかで、

持って帰るか、置いていくかが決まるのだ。

そこで、

「すみません、この吉はどのくらい凄い吉ですか!?」

とお守りを売ってる場所の巫女さんらしき人に聞いてみた。

すると彼女曰く、

吉は大吉→吉→中吉→小吉の順に偉いらしい。

つまり引いた「吉」は2番目に良いポジションであった。

「じゃあ、持って帰った方が良いんですね!
 持って帰りますよ!大丈夫ですね?」

これを強く強く2度ほど繰り返した。


ちょっとムっとされた。



おしまい。



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体に良いモノ。 - 2004年11月16日(火)

うちの旦那の兄はちょっとしたエリートである。

その義兄が体型を気にしてにがりを愛用しているというのを、

少し前に知った。

「エリートも脂肪が気になるところは一般人と変わらなんだなぁ〜」

などと、それを聞いて妙に可笑しくなったのだが、

こんなふうにうちの旦那の家系は、得てして健康と痩身を促す商品に弱い。


だから先日彼が「これ最近話題だぜ!」と

自慢げに新たな商品を買ってきた時、私はちっとも驚かなかった。

その商品とは「コエンザイムQ10」。

なんでも会社の事務の子が飲んでいて、毎日続けると

体がピンピンの疲れ知らずになるらしい。

「私は一週間で効果がでましたぁ〜。ぜ〜んぜん疲れないんですぅ〜」

そんな感想を鵜呑みにして、旦那は買ってきたのである。


彼が飲みつつけて、そろそろ二週間。

だが、平日は帰って夕飯を食べるやいなや、

休日も夜は早い時間から「もう耐え切れません・・」

といった感じで彼はリビングに横になる。

たまに、そのまま朝まで寝てしまうこともあった。


とりあえずこの二週間、

私は彼がシャキシャキしているのを見たことがない。



おしまい。


...

ピュア。 - 2004年11月15日(月)

うちの旦那は電気グループのピエール瀧と

ダウンタウンの松本人志を足して2で割ったような、

ごつい感じの面構えである。

ところが、数年前、ある「心優しい人」が

彼を見て「佐藤浩一に似てますね」と言った。

それがうれしかったのか、親近感が芽生えたのか、

それ以来、彼は佐藤浩一のことを「こういち君」と

近所の友達のように呼ぶ。


昨日の土曜日は佐藤浩一が出演する映画、「海猫」の

初日であった。

なんたって、自分に似ている「こういち君」が出ているのである。

「観てみたいよな〜」と旦那が言う。

「そうだよね、大きなスクリーンで観たいよね。
 今日バイトが早番だから、終ってから観に行こっか?」

私がそう言うと、意外にも彼はううん、と頭を振った。

その理由とは・・

「だって今日が初日なんだろ〜。もしうっかり俺が行って、
 あっ!佐藤浩一が舞台挨拶に来た!って他の観客に間違われたら大変じゃん」


旦那、三十もう半ば。未だ「お世辞」というものを知らず。


おしまい。


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スポンジ。 - 2004年11月12日(金)

私が日々生きてて、一番面倒くさいと思うこと。

それは「白髪染め」である。

この年だとまだ目立たない人もいるのに、

私の場合は、月に一度、この作業が欠かせない。


昨日の夜がまさにその「白髪染め」の日であった。

特にいつも手を焼くのは生え際の部分だ。

マニュキアさえままならない不器用な私であるのに、どうして

爪より細いものを一本一本黒くできようか。

前回は綺麗に染めたつもりで、シャワーで流したら、

ベッタリ塗り過ぎたせいで、生え際付近が海苔を張ったようになっていた。


その失敗を教訓に今回は慎重にやった。

おかげで、前よりは自然に染まっていたが、

おっといけない、、、生え際付近の肌が所々染まって、

シミみたいに見える。


どうしようかと途方に暮れていたその時、ふと、洗面所の掃除に使う

スポンジが目に止まった。

主婦なら一度は使ったことのある、洗剤のいらないスポンジという

振れ込みの、白い、一見して豆腐みたいなやつだ。

早速それで問題の部分をこすってみる。

すると、みるみるついていた染料が落ちる。


調子に乗った。どんどんこすった。

そしたら、

あっという間に肌が赤くなって、痒くなってきて、

おまけに痛い。


かぶれた。


おしまい。


...

給料日。 - 2004年11月11日(木)

今日はバイトの給料日だった。

仕事を終えた後、事務所に行き、そこにいた責任者の蟹男に

「お給料くださぁ〜い」と明るい声でいうと、

「え〜?なぁ〜に?あげよっかどうしようかなぁ〜」

などと、蟹はにやにやしながら言うのだった。


私ももうすっかりいい大人。そんな蟹の余興に付き合ってる暇はなく、

「え〜ん、お願いしますぅ〜、も〜、意地悪なんだからぁ〜」

と愛想良く言えるわけもない。

なので、ちょっとイライラして

「今日はこれを貰うためだけに来たんですから!」

と言ってのけたら、

「貰うためだけに来た」のところが引っかかったようで・・

睨まれた。


おしまい。


...

ディープインパクト - 2004年11月10日(水)

日曜日、テレビで映画「ディープインパクト」をやっていた。

彗星が地球目掛けて落ち、巨大な津波が世界を飲み込んでしまう、

という物語だ。


私はそれを旦那と観ていたのだが、

その中で、種の保存のため、生命の完全なる滅亡を阻止するため、

コンピューターが無差別にシェルターに避難できる人

を選びます、みたいなことをモーガンフリーマン演じる合衆国大統領が

演説する場面があった。


早速、側にいた旦那に聞いてみた。

「ねえもしさ〜、こんなことが実際に起きて、君は選ばれて
 私がダメだったらどうする?」

すると彼はこう言った。

「すみません、僕にはまだやらなきゃならない売上がありますから!」


私をおいて・・・

行っちゃうんだ。


おしまい。


...

陽気なカシマシ娘。 - 2004年11月09日(火)

ドトールで三人の女性を見かけた。

迫力のある彼女らの様子を少し離れた席から見ているうちに、

私は恐怖みたいなものを感じた。


まず、年齢がいくつか分かりにくいところが怖かった。

三人とも40歳中ぐらいには見えるのだが、その言葉使いは

「すっげぇ〜焦ってさ〜」

「マァ〜ジ〜?」

「チョ〜ムカツクよね〜」といった若者ふう。


次に三人とも鼻から勢い良くタバコの煙を吐き出すのが怖かった。

まるでゴジラそっくり。


さらに三人ともたった今、人を食ってきました、といったような

真っ赤でテカテカな唇が怖かった。


いやいや、本当に怖かったことはそんなことではない。

私が心底ゾッとしたこと・・

それは

すぐにでも隣に座れば、自分が何の違和感もなく

彼女らに溶け込めそうだったことである。


おしまい。


...

不毛地帯 - 2004年11月07日(日)

作家山崎豊子の作品に「不毛地帯」というのがある。

時は第二次世界大戦直後。

シベリアでの抑留生活からようやく帰還した元軍人が

商社に入り、目まぐるしく変貌する日本社会を生き抜いてゆく、という物語だ。



不毛地帯は4巻からなる大作。その一冊一冊が厚い。

この度、この大作を旦那が読み上げた。

時間はかかったようだが、最後まで読みきった。

実はこの作品を彼に紹介したのは私。

だが、私は読んでない。あまりのページ数の多さにちょっと辟易し、

一巻のはじめの方で止めてしまったのだ。

きっと、旦那が読破できたのは企業戦士である自分と重なる部分が多く、

共感できたからではないか、と私は考えている。


「いい本に会えたって感じ。凄く勉強になったよ〜」

彼はそう言って喜んでくれた。

主人公「壱岐」はサラリーマンとして、戸惑い、迷いながら出世してゆく。

それも副社長まで行ったらしい。


旦那の「勉強になった」という言葉とそんな本の内容を交互に思い浮かべる時、

マンションどころか、別荘まで買えるのではないか?と、

へへへ・・・私はほくそ笑まずにはいられない。


おしまい。


...

モモンガ。 - 2004年11月05日(金)

ちょっと前までうちのチャリンコの鍵には、

携帯クリーナーがついていた。

だが、細長いそれは、走っている最中にゆらゆら揺れて、

ヘタをすると、タイヤに絡まりそうになるのが欠点だった。


「なので、このモモンガ君にしましたぁ〜!」

どっから入手してきたのか、旦那がそう言って、

キーホルダーを携帯クリーナーからモモンガに代えてくれた。

あらいぐまラスカルに似た顔の、両手を思い切り広げた

モモンガだ。


すぐにでも、このモモンガの鍵を指した自転車に乗ってみたいと思った。

ちょうどマンション購入でお金を貯めなければいけない時期。

今まで電車で行ってたバイトに、自転車を使えば、

電車賃も節約できるし、一石二鳥なのだ。

だがもう11月。

バイト先までは自転車で20分強もあり、遅番の時など

乗ったら風邪を引きそう。

そんなわけで、あれから2週間も経つというのに、

私は相変わらずの電車通勤。

途中でお茶も2回してしまうから、バイト代の減りも甚だしい。


いっそ、おまえのようにパ〜ッと飛んで行けたら・・・

玄関の棚の上に横たわるモモンガを見つつ

私はそう思わずにいられない。


おしまい。


...

サイクリング。 - 2004年11月04日(木)

あれは一ヶ月半ぐらい前の日曜日。妹夫婦の住む町に物件を見に行った。

予約してモデルルームに行くと、迎えてくれたのは、

万年窓際な上に妻と子供に逃げられました、といったような

しわしわな背広を着た50代のおやじ営業マンだった。


そこはほぼ完成しているので、現地に行って実際の部屋の確認が

できるのが売り。

ギャラリー内のモデルルームを見学し、さあ行きましょう!と外へ出ると、

おやじが人数分のチャリンコの鍵を持って来た。

てっきり車だと思っていたので驚いたが、私達は促されるまま、

自転車にまたがった。


いざ!サイクリングの始まりである。

先頭はもちろんおやじ。おぼつかないハンドル操作のその後ろを

私と旦那がゆく。

漕ぐこと5分、もう道を渡れば物件!というその時だった。

彼が信じられない行動に出た。

車がビュンビュン通る道を、私達を振り返ることもなく、

「さあ!」と言うやいなや、いきなり自転車で渡ったのだ。

信号機も横断歩道もない、交通量のめっぽう多いそこを「さあ!」である。


私達に物件を見せ終わせるとオヤジは

今度は「駅を見てみましょう!」と言い出した。

そんなことしなくても、私は十分駅周辺を知っていたのだが、

断りきれずついて行くと、突然雨が降って来た。

おやじは止める素振りも見せず、ひたすら駅に向って漕ぐ。

まるで濡れるのがなんだ、、といったふうに。

雨の中を必死で駅に向かう私達3人の姿は、まるでトライアスロンの

選手のようであっただろう。


その後、駅を見て、ようやくギャラリーに戻れることになったのだが、

帰りがこれまた大変だった。

通る道は車が頻繁に行き来する狭い道路である。

両脇に歩道がついているのだが、人がまともにすれ違えないような幅。

おまけに、車道との段差が高い。

もし、すれ違い損ねて車道側にバランスを崩したら、車に引かれるか、

頭を強打するかで命がなさそうであった。

だから、ヨロヨロする私を見かねたのか前から来たおじいちゃんが端によけて

道を譲ってくれる始末だった。


命からがらモデルルームに着いた時、体は雨で湿りきり、

私も旦那も道中の緊張でクタクタ。


この時のことは我が家で

「禁じられたサイクリング」と今も語り継がれている。


おしまい。


...

マスカラ - 2004年11月03日(水)

朝乗った電車の中でのこと。

十代後半とおぼしき女の子が、

席に座ったまま、マスカラを塗っていた。

少しでもパッチリ目に見せたかったのだろう。

辛うじて生えているまつ毛にブラシをあて、縦に横に行ったり来たりと

もの凄い念の入れようであった。


彼女の前には「座るのが当然!」といったようなおじいちゃんがしょんぼり立つ。

だが、そんなことはお構いなしだ。彼女はひたすらブラシを

動かすのだった。


塗り続けて数分後。

彼女はマスカラを化粧ポーチにしまい、ひざに置いていた

眼鏡をかけた。

すると、フレームの上の部分のカーブと、

彼女の上瞼のまつ毛のカーブとが面白いようにピッタリと一致した。

せっかく塗ったまつ毛が全然見えない。


彼女の行動に何の意味があったのだろう・・?

揺れる度によろけそうになるおじいちゃんを見ながら、

私はそう思わずにはいられなかった。


おしまい。


...

カマ - 2004年11月02日(火)

「今日はさ〜、おまえと外でご飯食べる日だったっけ〜?」

約束もしてないのに、夕方電話をしてきた旦那が、

唐突にそんなことを聞いてきた。

「約束してないじゃん」と答えると、

「そうだったよね〜」と彼。

旦那が続ける。

「じゃあ、もうご飯作っちゃったよね〜?」
「今、作ってるよ」
「一緒に外で食事しないなら・・ちょっと寄って来てもいい・・?」
「どこに?飲み?」
「うん・・・どうしても行きたいってやつがいてさ・・」


我が家では、飲みは前日までに申請することになっていて、

予告なしに行くことはご法度である。

せっかく作った夕飯が無駄になってしまうからだ。


まず、私が夕飯の仕度を始めたかどうか、今日の機嫌はどうか、

してもいない約束でカマをかけて探る。


いろんな手を考えるもんだ・・と感心した。


おしまい。


PS:モデムを交換してもらったので、日記が書けるようになりました〜。



...




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