台所のすみっちょ...風子

 

 

疑念。 - 2003年10月31日(金)

出掛けた先の到底「品がいい」とはいえない、

とある街の駅前を歩いていたら、

歩道脇で野菜が売られていて、

「おやまぁ〜、、こんな都会のど真ん中で、、」と

近づいてみたところ、

ナント、大根一本が10円で、キュウリ10本、100円だった。


そう、かなりのお買い得で、もちろん主婦としては買わねばなるまい、と

いう気になって、

「一週間、ぶっ続けでキュウリ食うかぁ〜」とか

「で、キュウリ料理ってサラダと漬物以外、他にナニよ?」などと

考えながら、かばんの中の財布に手をかけたものの、

結局、買うことをやめた。


何故ならそれは、私の中で一つの疑念が生まれていたから。


パンチ風の髪をした・・

新鮮な野菜達のイメージとはほど遠い・・

ヤクザの亜流みたいな強面の男が・・・

この安さで・・・

野菜をさばく・・・?

しかも・・・

野菜達が入っていたと思われる・・

後ろに積まれたダンボールには・・・

なんの産地の表示も・・

ない・・・


これって・・・

今、流行の・・・

農作物ドロボーかも・・・って。



悪事に加担はできない。



おしまい。


...

IQ - 2003年10月30日(木)

11月3日に某テレビ局で、

IQテストをする番組があるらしい。

キャッチコピーは

「あなたは自分のIQを知る勇気ありますか?」であり、

その名も”全国一斉IQテスト”

まんま。

で、さっきテレビを見ていたら、番組のコマーシャルの

一環として「例えばこんな!」といった感じの例題

を2問ぐらいやっていた。


挑戦してみた。

そして

・・・・・・・?

私の脳みそにIQなどという値がつくのだろうか?というほどあたふたした。

ふ〜っと、口からため息と共に、つい諦めの言葉が出る。

「あ〜、あたしこういうのダメだなぁ〜。
 ホラ、あたしって頭の凝り固まった人間じゃぁーん・・」

「そうだな〜、その通り」

誰に聞いてもらうとでもなく、コソッと呟いただけなのに、

側にいた旦那の答えは即効であった。

な、なんだよ・・それ。

私がこの世に生を受けて三十うん年。

一緒にいて八年のお、おまえに、い、いったい私の何がわかる・・・。


おしまい。


...

トカゲ。 - 2003年10月29日(水)

旦那が足の裏を8針も縫う怪我をした。

それは土曜日のことだった。

バイトから帰ってきたら、見慣れない、明らかに医者に

行って来ました、というような証拠の品の薬がいくつかあって、

不思議に思って問い詰めたら、

「いや〜、サーフィンしてたら足切っちゃって・・・病院で縫ってきた・・」

と、バツが悪そうにデヘヘと笑った。


私は意外にも「切った縫った」という類の話には本当に弱い。

彼の「病院紀行in千葉」を聞いている間中、

貧血起こしてぶっ倒れそうであった。

普段から「怪我なんかしたらサーフィンは即刻禁止!」ときつく言ってきた

私だが、クラクラしすぎてとても怒るどころではなく、

「厳重注意及び叱咤は傷がすっかり治ってから、しっかりやらせていただきます」

とだけ言い、取り敢えず彼の怪我を見守ることとした。


そして今日で3日目。

今、彼がう○このためにトイレに行った。

パソコンをしていたと思ったら、急に

「ヤベ!俺ものすご〜くう○こしたくなってきた!」

と見ていたウインドウを閉じることなく、タタタッ・・とトイレに

駆け込んでしまった。

その様子はとても怪我人とは思えない足取り、速さであった。

物凄い回復力。

バタン!と勢い良く閉められるトイレのドアの音を聞きながら、

それはまるでトカゲのようだ、と私は思った。


おしまい。


...

セーター。 - 2003年10月26日(日)

今日は寒かった。

バイトに着ていくため、チョイスした服は今年初めてのセーター。

襟元がVネックになっている黒いリブ編みのやつだ。

左、右、と腕を袖に順々に通したのち、頭からセーターを

かぶる。

ウエストまでゆっくりと下ろせば、これから寒く厳しい冬に

向かって、身がキュンと引き締まる思い・・

・・・・て、ゆうか・・・キ、キツイ。

去年より太って、セーターがまるで・・黒い肉じゅばんのよう・・。


どすこい!


おしまい。


...

へた。 - 2003年10月25日(土)

昨日はバイト先の飲み会であった。

当初、私が所属するインターネットスポットからは、

たった一人の参加予定、その一人とは言わずと知れた私だけ、、だったが、

別の部署の人が他のメンバーに根気よく声をかけてくれ、

また私も仲の良い同僚Tさんに

「今回はインターネットスポットの私らがメインらしいよ。
 行かなきゃマズイっしょ〜」と、

サギのような手口で、彼女をその気にさせ、

結局、5人のメンバーのうち私を入れて3人が出席したのだった。


場所は職場の近所のイタリア料理屋。

お互い顔は見たことがあるのだが、グラスを傾け合うのは

初めてだったため、特別ハジケて盛り上がるということもなく、

終ってみれば、その感想は「可も無く不可も無く」といったところ。


で、そんな中、敢えてお伝えすることがあるとしたなら、

それは、バイトの分際でありながら私が事務所の社長の隣に

うっかり座ってしまった、ということと、

その社長が一本の髪の毛も生えていないツルッツルの頭に

茶色のベレー帽をかぶった初老の男性で、そう、それは

まるでラッキョにどんぐりのへたをつけたような容貌で、

そのへたを横から容易にヒョンと摘めそうであったため、

「この帽子の下も見事に剥げているのか確認してみたい」から始まり、

「酔ったふりして、急にこの帽子を取ったら怒るだろうか?」と思いが進み、

しまいには

「この帽子の下で毛じゃないもの・・例えば植物が発芽なんかしてたりしてね」

といったことを、会の冒頭から終わりまで、ず〜っと考えていて、

社長を横目でチラチラ見ては

「取っちゃおうかな・・摘んじゃおうかな・・」と

ちょっぴりゾクゾク、ワクワクした、ということである。


おしまい。


...

性を語る時。 - 2003年10月23日(木)

私の実家は性についてオープンな家庭であった。

少なくとも、私と母親の間ではそうで、

例えば私が男性と付き合っていたりすると、

「避妊はちゃんとしているんでしょうね〜」と

母は必ず聞いてきたし、私もその問いに対して

「あったり前じゃ〜ん。もっと自分の娘を信じて欲しいなぁ〜」などと

大笑いしながら威張って見せる、というかんじであった。


こんな家庭で育ったからなのか、私は他人に自分の性体験を

聞かれても、比較的ペラペラと喋ってしまう。

それは決して、自分が「あんなことも?こんなことも?」

といったような特殊ですごい経験をしてきたからではなく、

ただ自分の身に起こったことを、淡々とその事実だけを

述べているだけ、という気持ちがあるからに他ならない。


だが先日、バイト先で風船的少女Sちゃんと話をしていた時、

彼女の21歳というその年の若さに、つい驚いて

「いや〜若いね〜、私がファーストキスもとうにして、
 初体験もとっくに終って、男と女のことについて深く考え始めたときに、
 ようやくポコっとSちゃんは生まれたってわけね〜」

と、各それぞれの体験について具体的に年齢をあげて言ったら、

「そんなこと良く昼まっから職場で喋れますね」と

真顔で・・

叱られた。


こういう話は相手を選んだ方がいい、ということを私は知った。



おしまい。



...

男性心理 - 2003年10月22日(水)

「男の人は威張りたがるものだ」とは

一般的に良く言われること。

だが、一昨日。

ご飯を食べ終わり、換気扇の下で一緒にタバコを

吸っていた旦那が、急にすくっと立ち上がり、

「じゃあ、俺はちょっとう○こしてくらぁ〜」と言い、

やや前かがみに肩を左右に揺らしながら、そうまるでヤーさんのように、

数歩歩いたのち、くるり私の方に振り返り、

「あっ!おまえもしたかったら、いつでも言いに来いよな!
 お〜そうだ、俺がトイレに入っている間、おまえが心配すると
 いけないから、この前決めたように”トントン”してやるからな。では!」
(詳しくは10月15日の日記)

と一国の首相のように腕を「やっ!」というふうにあげ、

のっしのっし歩いてゆく彼の後姿を見ていた私は、

「う○こすることがそんなに偉いことなのか?」と、

たかだかう○こで虚勢を張りたがるその心理が

本当に分からない。



おしまい。


...

キャリア - 2003年10月21日(火)

バイトで受付に座っていると、時たま「ギャハギャハァ〜」

とか、「ウ〜ワ〜ハハハァ〜」ってなかんじの到底常人の

ものとは思えないような大きな笑い声が、

事務所の方から聞こえて来る時がある。

その声の主はTさん。

あられちゃんふうめがねをかけた可愛らしい女性である。


彼女の仕事は、照明担当。

私のバイト先を運営している会社、実は舞台建築とか舞台演出を

手がけている会社でもある。

だから、社員のほとんどが照明とか舞台設計とか音響などの

技術を持っている人ばかりで、そのキャリアはちょっとやそこらじゃ

習得できないものばかり。


彼女のすごいのは笑い声だけではない。

挨拶も大きな声でハキハキと〜!と西川きよしばりである。

彼女の元気で明るい挨拶は、バイト身分の私に対してもなんら変わることがない。

受付で鎮座している私の前を通るたび、

「お疲れさまで〜〜す!」と勢い良く声をかけてくれる。

こちらとしては、ぜんぜん疲れていないので、その度に

「すみません・・」と恐縮してばかり。

だが、私は知っている。明るいのは目を合わせた時だけだということを。

そう、彼女が大きな声で挨拶したりニコニコしたりするのは一瞬で、

それが終わり、視線を外した途端、顔が能面のようになっているということを。

その表情の変わりようは、急な変化に良く顔が破れないなぁ〜、

と心配してしまうほどで、あのニッコリとした顔の裏で、

いったい本当は私のことをどんなふうに

考えているのか?と不安になることがあったりする。

例えば「暇な蕎麦屋の招き猫みたい・・」とか思っているんではなかろうか?と。


で、そんな31歳の彼女がどうやら近々結婚するらしい。

私と仲の良い風船ソックリなSちゃんが教えてくれた。

相手は同じ会社の音響担当の人で、結婚と同時に会社を辞めるのだそうだ。

もったいないと思った。

なので、どうして辞めるのか?と聞いて見ると

「照明の仕事は夜遅いから両立できないと思ったんじゃないんですかぁ〜
 ご飯とかちゃんと作ってあげたいって言ってましたし」

とSちゃんはくったく無く笑うのだった。


う〜ん、、両立とは何か?

仕事を捨ててまでやり遂げなければならないものなのか?

家事は協力してもらえばいいじゃないか。

女性は年齢を経るとともに、どんどん社会的には立場が厳しくなる。

せっかく積んだキャリアを、しかも再就職が難しそうな照明という仕事を、

なんであっさりと捨てるのか?


そこで私はSちゃんに

「今からでも遅くない。辞めることをやめてくださいっていいなよ。
 料理なんてオリジン弁当があんじゃん」と提案してみた。

するとSちゃんは

「じゃあ、そう言ってあげてくださいよ〜私からそんなこと言えませんよ〜。
 大先輩ですからぁ〜、」と私に言うのであった。


が、私は言えない。いや、言うのが怖い。

だって今度こそ、あの満面の笑みに隠された心が見えそうで。

「余計なお世話よ。な〜に言ってんのこのおばさん」っていう本心が。


おしまい。


...

今食べたい気分。 - 2003年10月19日(日)

今晩は。私は今バイト先。

暇である。ほ〜んと暇である。

どうしてここ最近、こんなに暇なのか?

と思っていたら、その理由をさっき常連Nさんが教えてくれた。

なんと、こんなふうにインターネットが

できる区の施設が他にもあるのだという。

そこは30台もあるパソコンが無料で使用できるらしい。


ビックリした。

それは決して、

「さすが私の住んでる区はIT先進区!」と感動したのではなく、

”公”の考えることの、その意味の無さに驚いたのである。


私がバイトするここは民間が運営しているのだが、

それは区から委託されてるのであり、管理管轄は実質的には区。

と、いうことは、区が片方の施設ではお金を取り、片方では取らないという

ちぐはぐなことをしていることになる。

これじゃあ、有料であるここの客が減るのは当然で、

私が日記書けちゃうぐらい暇なのは当たり前じゃん。


まったく”公”の考えていることはわからない。

もし、例えばこれが民間の経営なら、金額的条件を

同じにするだろうし、別々の付加価値をそれぞれにつけて、

2つの施設を同時に守り立てようとするハズ。

赤字じゃ困るから。


世の中、お金がすべてではない。

が、利益が絡まなさすぎるのも如何なものか?と私は思わざる終えない。


と、こんな調子で書いている私は、今けっこうこの件について、

腹が立っているし、減ってもいる。

ムシャクシャも手伝って、バイトの後、ものすごく食べて

しまいそうな予感・・・。

ちなみに今食べたいものは辛口カレーパンと、大判焼き、アップルパイ。

全部買って帰ってやる。。。

あっ、オリジン弁当でから揚げも買っちゃうぞ。


では。


おしまい。












...

演歌の花道 - 2003年10月17日(金)

今日、女性演歌歌手のライブを見に行った。

彼女は30代前半。苦節13年ぐらい。

ハッキリ言ってぜんぜん売れてない。

一緒に行ったM子の友達が、そのプロダクション関係者であり、

頭数を揃えるための、つまり私達は”サクラ”としてそこに行ったのだ。


場所は築地。

なんと築地本○寺の敷地内にある小さいホールが会場だったのである。

東京に出てきて早、うん年。

由緒正しい本○寺といえば、てっきり「有名人のお葬式をやるところ」

だとばかり思っていたので、これには大変驚いた。


会場は100人弱ぐらい入れるスペース。

塗料がはげていたり、傷がたくさんあったりの舞台の上で、

和服姿の彼女は歌う。

その姿はスポットライトの赤やオレンジの光が辛うじて、

芸能人のショーだと教えてくれるほどの地味さであり、

芸の世界の厳しさが良く分かったのだが、

反面、私にはいくつかの疑問も生まれた。

それは
 
「この人と紅白出場歌手、坂本冬美との間にどれほどの差があるのだろう?」

ということと、

「いつまでたっても売れず、辛いハズなのになぜやめないのか?」

ということである。


で、”サクラ”として花束を渡さなければならなかったのに、

そのタイミングより、終始そんなことばかり考えていた私の結論はこうだ。

まず、坂本冬美との差は、ただ単純に曲に恵まれているかいないか。

そしてやめないのは、例えば私達一般人が嫌なことがあったりすると、

「じゃあ、今夜はカラオケするかぁ〜」とボックス

に行き、大声を出してストレスの発散をするのと同じ理屈だと考えられる。

パッとせずとも、取り敢えず彼女は歌手である。

と、いうことは常に思いっきり声を出している。

つまり、年中カラオケ状態。

これではストレスが溜まる暇もない。

そう、だから売れなくても、辛くても、仕事を続けていけるのだと。



ライブは1時間ちょっとで終った。

帰り際、彼女と握手を交わす。

柔らかく細い手を握り返しながら私は心の中で呟いた。

「CDは買わないが頑張れ」と。


おしまい。


...

ルール。 - 2003年10月15日(水)


明日の朝、私は早く起きなければならないというのに、

そういう日に限って、11時過ぎに旦那が帰って来て、

ご飯が先?それともお風呂?と、一刻も早く風呂に入って

寝てしまいたい妻の問いかけに、彼の返事は

「う○こする」

そして私達がリビングで再会できたのは、その40分後のことであった。


本来なら、私の計画はこうであった。

もし「風呂が先」と言われたのであれば、彼が入っている間に

今日のメニューであるオムレツを焼き、味噌汁を温めるなどの

準備をし、彼と入れ替わりに風呂へ直行。

また、「食事が先」だった場合は、素早くご飯の仕度をし、

旦那が食べている間に風呂に入る。


トイレで倒れているのか?と思わせるほどの、彼のう○こにかかる

所用時間の長さは、何も今に始まったことではない。

私はその度に彼のう○こに翻弄されているのだ。


そこで、出切るまでの目安時間をお知らせしてもらうことにした。

うちのトイレの壁は、リビング入り口に近い方の壁と背中合わせ。

トイレットペーパーをガラガラする音も聞こえるほどなので、

壁を叩くことによって、あとどのくらいかかるかを教えてもらうのだ。

例えば「う〜ん、、あと10分ぐらいでなんとか・・」なら「コン」と一回。

20分なら・・・「コンコン」といった具合に。

これなら、私も「いつ出てくるつもりなのだ・・」とイライラしなくてもすむし、

トイレの中で「無事」ということも分かる。


また一つ、この家のルールが決まった。

夫婦円満。めでたしめでたし。


おしまい。



...

小麦粉 - 2003年10月14日(火)


私は幼い頃からベビースターラーメンが大好きである。

換気扇の下、私は今日もベビースターラーメンを食べる。

「ラーメンおつまみ・ピリカラ塩麺」という、

ちょっと前に出た新商品のやつ。

小魚とアーモンド入りで、体にも良さそうだ。


私はベビースターラーメンを食べる。

ボリボリ・・・ボリボリ・・ひたすら食べ続ける。

すると旦那が私に言う。

「おまえ、小麦粉良く食うなぁ〜」



ちょっぴり・・悲しくなった。


おしまい。


...

カボス - 2003年10月12日(日)

同僚のSさんが、

「ね〜、旦那の田舎からカボスを送って来たんだけど、
 たくさんすぎるから、もらってくれない?」

と言うので、カボスってどんなのだっけ?と、

青蜜柑とかすだちを代わる代わる頭に巡らせながら、

とにかく、もらえるものはもらっておこうと

ありがたく頂戴することにした。

「じゃあ、明日もって来るね!」と彼女。

だが、その数分後、私の手元には早くもカボスがあった。

迎えに来た旦那さんが気をきかせて持って来てくれたのだ。

「もっと欲しいんだったら、今度また持ってくるよ」

Sさんがウフっと笑う。


彼女の笑みはいつも柔らかい。

白い肌と可愛らしい顔が笑顔をとても優しく見せる。

例えていうなら、私の笑顔が「魔女のたくらみの笑み」であるなら、

彼女のそれは「小人と話す白雪姫の微笑み」そのもの。


「へ〜、これがカボス」とか「どんな時に使うのか?」

などと思いながら、マジマジと眺める。

カボスは私が思ったよりもずっと大きくて、鮮やかな

グリーンと黄緑。

お日様をたくさんあびたような感じでみずみずしい。


今頃の季節に出回るというカボス。

ふと、旬の香りを嗅いで見たいと思った。

手に取りゆっくりと鼻を近づける。

すると

ふわりと青々しいすっぱい香りが・・・

しなかった。

(あれれ?)

そう、何の臭いもしなかった。

強いて言えば、袋のビニールの臭い。

鼻からカボスをゆっくりと離しながら、Sさんの方を見た。

彼女は柔らかく微笑んでいた。

「どう?いい香りでしょ?」といったような顔つきで。

困った。

本当はそこで

「わ〜、いい臭い・・」と感嘆の声を上げるハズだった。

で、私は咄嗟に言った。そのカボスを撫でながら。


「ま、丸いね」と。


おしまい。


...

分かるということ。 - 2003年10月10日(金)


実は先週、突然目が腫れた。

決して自慢できるような大きさの目ではないが、

その腫れ具合は常識を超えていて、

普段、メザシぐらいの目がシラスぐらいになっていた。

おまけに、鼻すじに沿うように瞼の端に発疹まであった。

そう、歌舞伎役者の隈取りのように。


信じられないほど変わった鏡の中の顔。

「あなた誰ですか?」と思わず言いそうになったぐらいだ。

仕方がないので腫れて2日め、松戸に行ったついでに

友人M子お勧めの眼科に行き、貰った薬をぬりぬりしたら、

腫れは3日ぐらいで引いたのだが、原因がいまだ分からない。

いったいなんだったのか?


で、今、風呂に入ろうと下着を脱衣所に持っていき、

その拍子に鏡をチラリと見たら、

今度は口が裂けていた・・・

ような気がして、もう一度よく見たら

それは、口角から頬にかけて一直線にあんこがついていたため、と分かった。

さっき食べた大判焼きの仕業であった。

ホッとした。


原因がわかるということは、やはり良いことだと思った。


おしまい。



...

芸 - 2003年10月09日(木)

夜。

換気扇の下、タバコなど吸いながら

旦那と二人、今日あった出来事を話す。

「今日さ〜、俺、駐車場までスケボーで行ったわけよ」
「ふ〜ん」

「でさ〜、途中で小学4年生ぐらいの女の子とすれ違ったわけさ」
「ほぉ〜。で?」

「そしたらその子、スケボー乗ってる俺に目線が釘付けなわけ」
「はぁ・・」

「俺、なんか張り切っちゃってさ」
「う〜ん、、子供に張り切ってどうすんだよ」

「なんかやってやる〜!!って気持ちが起こっちゃってさ」
「あ〜、あの調子で思いっきり腰を回転させたわけだ。クイクイって」

「あったり前じゃ〜ん!いつもより多めに回しといた!」



いつもより多めに・・回した・・・?

・・・・・・・・・・。

おまえは染の助染め太郎か。


おしまい。


...

鯖。 - 2003年10月08日(水)

うちの旦那はブルー系のアイシャドーが好きではないらしい。

前に「どれ〜、ちょっとドキドキさせてやるかぁ〜」と、

こっそり買って、こっそりつけ、

「じゃ〜ん!どう?」と見せたら

旦那は眉間に皺を寄せ、

「似合わなね〜な、、なんか俺いやだ」と、たったひと言。


3500円も出して買ったそのブルー系のシャドーは、

私的には結構イケてて、何故そんな顔をされるのか、

その時はまったく検討もつかなかったのだが、

あれから4年の時を経た今日、ようやくそのヒントを私は得た。

それは、出先の地下鉄の中。

向かいの席に座にはキャリアウーマンふうの

格好バッチリ!化粧ベッタリ!の女性。

そのやや伏せ目がちの目には、しっかりとブルーのアイシャドーが

塗ってある。

アイホール全体に延ばしたホワイトパール。

その上に重ねたラメ入りのブルー。

目尻に入れた濃いブルーグレー。

瞼が楕円形ということもあって、

それはまるで、鯖(サバ)。

キラキラとした光沢感は、”たった今、築地に卸しました!”ぐらいの

活きがの良ささえ感じられる。


電車を降りるまでの間、

ブルーシャドーについて私は思うのだった。

ドキドキというよりもピチピチ。

色香というより、生臭そう。

愛しい妻の瞼が「鯖」だなんて・・

こ〜りゃ〜、、嫌う理由も分かる・・と。


おしまい。


...

すし屋にて。 - 2003年10月07日(火)

新潟には古町という繁華街がある。

繁華街だから当然飲み屋も割烹もある。

まだ子供の頃、父が会社を経営していた関係で

私は家にかかってくる仕事関係の電話を良くとった。

ある日のことだ。

いつものように下請けからの電話に出た私は、

不在だった父宛ての伝言を言付かった。

それは

「今、古町のいつもの○○に得意先といるから、来て欲しい」

というものであった。

○○(名前は忘れた)とは店のことである。

ところが、父が帰って来て、いざ伝える段になると

私はすっかりその店名を忘れてしまっていた。

普段から怖い父。何か言わなければものすごーく怒られる

ことは分かっていたので、やっとの思いで、

それが、料亭っぽい、割烹ぽい名前だということまでは思い出し、

うっかり

「いつもの”わりてい”に来てくださいって・・」

と言ってしまった。

そう、その当時の私は電信柱の広告で良く目にしていた

”割烹(かっぽう)”という漢字をいつも”わりてい”と何故か読んで

いたのだ。

その時の父の怒りっぷりと言ったら。

「”わりてい”ってどこだぁ〜!そこは古町のどこなんだぁ〜!」

と半狂乱の勢いであった。


だからといって、その後漢字を私が頑張ったかというと、

もちろんそんなことはなく、漢字が苦手なまま、私は

こんなに大きくなってしまい、

「ナツ ハ アキタ ニ リョコウ シタ」

と地図まで持ってきて、すし屋のカウンターで土産話を

説明しようとする、友達ペルー人Sの前で、

男鹿半島(おがはんとう)をこれまた”おじかはんとう”

と読んでしまい、日本語の達者でないSに「エッ?」と驚かれただけではなく、

目の前で寿司を握っていた板さんにまで

「お嬢さん、まず日本語から勉強してくださいよ」

と真剣顔で言われてしまった先週水曜日の昼の私は、

子供の頃より、さらに「ダメじゃん度」が増しているような気になって、

さすがに、落ち込まずにはいられなかったのであった。


おしまい。



...

時の流れ - 2003年10月06日(月)

うちの旦那は私より年下。

1年のうち多いときで5つ。少ない時で4つの年の差がある。

付き合った時、私は28歳で彼は23歳であり、

当時の私は、

まだ大学を出て1年ばかしの、青臭いその顔を見つめては

「もしかしてこれって不純異性行為?」とか、

「私って悪い大人?」などと思ったものである。


しかし、やはり若いというのはそれだけで瑞々しく、

また美しくもありで、そんな彼といると、

30に手が届きそうだった私も、

なんだかどんどん若返り、どんどん元気になってゆく自分を感じていた。

そう、彼はいつも私の中では出会った頃のままに若く、

私にとってはファッションリーダーならぬ、ヤングリーダーだった。


だが、先週の深夜。

某テレビ番組に出ていた「175R」(イナゴライダー)というバンドの名前を

実は彼が心の中で「ひゃくななじゅうごごうせん」と読んでいて

どっかの国道にその名前が由来している、と思っていたことが分かり、

「そういえば彼も、、もう30過ぎ、、、」と、

もはや彼が若くはなく、

ヤングリーダーでもなく、、

私とトントンの立場だということに気がついて、、

時の流れの残酷さに、、


愕然とした。


おしまい。



...

リセット - 2003年10月04日(土)

つい先日、

私がバイトするインターネットスポットに

「パソコンもネットもまったく初心者なんですが・・」

という男性がやって来たので、

まず、PCに対する警戒心を無くしてもらい、

操作に慣れさせようと

「いや〜、人生はリセットできませんが、パソコンは  
 間違っても、またやり直しができますから〜」

と、自分の人生に絡めて勇気づけたら、

その人もそんな気持ちがどこかにあったらしく、

というか、その人が私以上にやり直しの効きそうにない

60歳だったので・・・・



睨まれた。



おしまい。


...

ダンデライオン - 2003年10月03日(金)

18歳で東京に出てきた私は、

ユーミンの「ダンデライオン」という曲が好きである。

その曲中の歌詞、

「本当の孤独を今まで知らないの・・」は、まさに

親元を離れ、一人暮らしを初めて間もなかった私自身であった。


けれども、その中でなにより、私の心にジンとしみこんだフレーズ。

それは

「故郷の両親がよこす手紙のような・・ぎこちないぬくもりほど泣きたくなる」

のところ。

手放した子供を心配する気持ちと、

頑張って欲しいという気持ち。

この2つが、ジグザグと複雑に交わり、

手紙の一文、一文をぎこちなくさせる。

離れている親と子の心うちが良くでていると思う。



昨日、新潟の母親から小包が届いた。

ダンボールを開けると、柔らかい緑色をした梨と、

故郷の秋の臭い、そして私が送ってと頼んだ母の手作りのピクルス。

そこには彼女からの手紙も添えられていた。


ここに全文を載せたい。


「ピクルスのリクエストを頂き”チョ〜うれぴぃ”っすッ。

梨はすっぱ味が強いですが、”パパの頂き物のおすそ分けです!

新米は10月中旬位に送りますが、新米ドロボーがはやってるので

家にドロボーが入らないよう、ご用心!きっちり錠を掛けてください

ごめんあそばせ!」


その文面は・・

ぎこちないどころか・・・

あまりにも自然体。


おしまい。


...

♪音楽への想い♪ - 2003年10月02日(木)

家に帰ってテレビをつけたら、

「超豪華版!歌の大辞テン」という番組をやっていた。

80年代、90年代、そして今年の上半期のヒット曲

をランキングで紹介するというもの。

今日は旦那が遅く、一人だったせいか、

当時の映像を見ながらバラード調の曲などを聞いていると、

80年代の歌では当時付き合ってた「あの男」の顔が浮かび、

90年代は90年代で、別の「あの男」の顔が浮かび・・と

いった感じで、何気なく街や店でかかっていた曲が

意外に自分の人生と密着していたことに、

私は改めて驚かざる終えなかった。


で、ふと、「うちの旦那を思い起こさせる曲ってなんだろう?」

という疑問が湧いて、しばらく考えてみたところ、

ようやく一つの曲が浮かんだ。

それは、少し前、彼がカラオケ屋で喉チンコを見せるほどの

熱唱ぶりで、私を大いに楽しませてくれたあの曲。


その曲とは・・・



「箱根八里の半次郎」



おしまい。


...




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