瞳's Cinema Diary
好きなスターや好みのジャンルにやたら甘い、普通の主婦の映画日記。
この映画の感想読みたい・・って思ってくださる方がいたら、画面下の検索機能からどうぞ。

2007年02月21日(水) 「天国は待ってくれる」

1943年アメリカ 監督 エルンスト・ルビッチ
キャスト ジーン・ティアニー ドン・アメチー チャールズ・コバーン マージョリー・メイン レアード・クリーガー

今公開中の邦画じゃないんですよ〜。1943年の洋画です。
昨日の日記に少し書いたのですが、この映画の原題は(日本語訳そのままですが)
「Heaven Can Wait」です。
実はこの洋画の存在を知ったのは、去年ブルース・ウィルスの「ホステージ」を見た時。秘密が隠されたDVDをブルース・ウィルス演じる警察署長が、家の中で人質になってる少年に取ってきてもらうシーンがあるのですが。そのDVDが「Heaven Can Wait」。
少年の父親の書斎にはずらりと並んだ映画のDVD。そこで少年は悩むのです。
「Heaven Can Wait」という映画が2つ。それがこの作品と、もうひとつ邦題が「天国から来たチャンピオン」、こちらの原題も「Heaven Can Wait」なんですね。でもこのふたつの作品に関連は無くて、むしろ「天国から来たチャンピオン」の映画オリジナルは「幽霊紐育を歩く」(原題HERE COmES MR.JORDEN)であることは昨日の日記で書きましたね。

長くなりました・・(汗)でもなんていうんでしょう、映画の中にこんな風にちょこっと登場する映画・・っていつも気になるんですよね、私(笑)。
ま、とにかく見たかっただけなのです。
え?ホステージでは、結局どっちに秘密が隠されていたのか・・って?ふふ・・それは内緒ですよ〜(笑)

年老いて死んだ主人公は、生前の自分の行いから地獄へ落ちるだろう・・とエンマ様を訪ねます。しかし・・静かに淡々と自らの過ちを語る主人公にエンマ様は興味を持ち、彼に自分の生涯を語るよう・・薦めるのでした・・

まず、なによりこの冒頭の地獄の書斎?がとっても素敵なんですよ(笑)黒髭も男前なエンマ様がダンディーにスーツを着こなしている姿も素敵です(笑)いや、ほんと魅力的ですよ、この閻魔さまは・・お会いしたいくらい(笑)ああ・・でもあの女性のように落とされたら・・悲しいですけどね。

そして主人公ヘンリーが語りだす回想シーン。
おませな主人公の(幼いときからの)女性遍歴・・なんだか微笑ましい・・というか、みんなして甘やかした坊やがそのまま大きくなって・・って言う感じなんですね。
そんな彼が一目ぼれした相手は品行方正、一族の自慢である従弟のアルバートの婚約者。マーサ役のジーン・ティアニー、美しいんです。輝いてます。
気の毒なアルバートから彼女を奪って幸せな生活を送りながらも、他の女性にも目移りしてしまう・・ヘンリー。なのに・・なんででしょうね・・この男性。嫌味がない・・というか、不思議にチャーミング。でもって、ほっとけなくって可笑しい。まわりのお父さんや、特におじいちゃん!!可愛いです。

ただ年老いてから・・なおさら・・若い女の子ばかり・・っていうのは、熟年女性としては納得いかないですけどね〜(笑)素敵で魅力的な熟年女性だっていっぱいいるのよ〜。

な〜んていいながらも、愛しあってるふたりの姿はじーんとくるし(あのラストダンスが綺麗)ラストシーンには思わずほろり・・ときちゃいましたよ。
エンマ様・・素敵でした(まだ言ってる・・笑)

主人公が女性に目が無い・・という設定なのに、なぜにこんなに見終わった後ほのぼのするんでしょうね〜、自分の隣にいる人を大切にしよう・・としみじみ思ったのでした。








2007年02月20日(火) 「幽霊紐育を歩く」

1941年アメリカ 監督アレクサンダー・ホール
キャスト ロバート・モンゴメリー イヴリン・キース クロード・レインズ
リタ・ジョンソン ジェームズ・グリーソン

Favoriteにも挙げている「天国から来たチャンピオン」、これの映画版オリジナル?って言っていいのかしら?1941年の作品です。
言っていいのかしら・・って言うのは、元々このお話はハリー・シーガルの「Heaven Can Wait」という劇を映画化したものなんですね。
「天国から来たチャンピオン」は原題も「Heaven Can Wait」ですけど、こちらの「幽霊〜」は原題は「HERE COMES MR.JORDAN」
この「Heaven Can Wait」(天国は待ってくれる)については他にもちょっと面白いお話があるんですけど・・それはまた次回・・ということで。

さて、「幽霊紐育を歩く」では、主役のジョーを演じるのは、ロバート・モンゴメリー。
W・ビーティが、秀でたスポーツマンってありながら、どこか優男でスマート、知的な感じがするのに比べるとこちらは素朴で朴訥、ちょっと恐そうだけども・・温かい人・・っていう感じでしょうか。
そうそう、たとえていうならビーティーはサッカーの宮本さん!ロバートは・・誰だろう・・素朴な人って思いつかない・・松坂くん?(誉めてます、誉めてますから、これは・・)いや、もっと年上・・清原?(笑)
役柄もこちらはボクサーです、サックスもやっぱりいい味だしてます。
ストーリーは最後までほとんど同じですが、こちらも心暖まる、素敵なお話でしたよ。目の奥に何かが見える・・・姿は変わっても、その人の中に何かを感じる・・
いいですねぇ・・・じんわり。

ジョーのコーチ役のマックスを演じるジェームズ・グリーソンさんも、可愛らしくてよかったですね。
1942年アカデミー賞 最優秀脚色賞・原案賞受賞作品です。
ちなみに・・ロバート・モンゴメリーさんは、あの「奥様は魔女」のサマンサ役で有名なエリザベス・モンゴメリーのお父さんなのでした。



2007年02月18日(日) 「隠された記憶」

2005年 フランス 監督 ミヒャエル・ハネケ
キャスト ダニエル・オートゥイユ ジュリエット・ビノシュ モーリス・ベニシュー アニー・ジラルド ベルナール・ル・コク ワリッド・アフキ

映画が始まった・・え?はじまったんですよね?
あれ?あれ・・・
ず〜っと家の前の景色が映る・・音声も何もなしで・・・・え?まだ・・まだず〜っとこの画像なの?
なんでしょう・・この不安感、どうにかして〜〜ドンドン高まってくる・・
私てっきりうちのすご録君が壊れたのかと思いました。でもよーく見ると右隅がぶれてて・・これがビデオで取った画像・・っていうのが分かるんですけど。
この始まりから・・やけにドキドキするこの映画。
あの鳥のシーンも鳥嫌いな私には恐怖そのもの・・そして食事会での犬の話・・あれには思わずわーーーーっと叫びそうになりました。いや、恐い、怖いね〜。あんなの隣でされたら・・声出して叫びそう(苦笑)

最後まで、ものすごい不安と、で・・・いったい誰が何のために??という疑問を残したまま・・映画は終わってしまいます。
衝撃のラストシーンといわれて・・3度見直してもしかして・・こういうこと?って漠然と思ったけど・・なんだか全然分からなくて結局本編も2度見直したのですけど。
でもはっきりしたことは分からないんですね。
監督さんのコメントに「人間の持つ罪の意識を描きたかった」というのがありました。
誰がこのテープを送ってきたのせよ、それは眠っていた主人公の罪の意識を揺さぶったのでしょうか・・表面上は自分の罪を正当化してむしろ、周りの人に怒りを向けていたようにしか見えなかったですけど・・でもあの夢や・・最後の疲れたような彼を見ていると・・
そうして、彼の罪を告発するかのような・・そのテープが、また違った悲劇を生み出してしまったことが・・なんともいえず・・悲しいのですけど。

すべてが・・主人公の生み出した世界・・っていう解釈もあり?どうなんだろう・・・ふぅ・・なんだかどんどんといろんなことを思っちゃう映画ですね。深みにはまってゆく〜〜。
むしろ、それが監督さんの意図しているところかもしれません。



2007年02月16日(金) 「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」


2005年アメリカ・フランス
監督 トミー・リー・ジョーンズ
キャスト トミー・リー・ジョーンズ, バリー・ペッパー, ドワイト・ヨーカム, ジャニュアリー・ジョーンズ, メリッサ・レオ

埋葬が3度?そしてこの不思議な十字架の描かれたチラシ・・で、私、この映画のことをオカルト?ホラー?と勝手に想像してたんですよね。
でもいつも遊びに行かせていただいてる管理人さまの昨年のお気に入りに挙げられていることでぐぐ〜んと見たい度UP!しかも!トミー・リー・ジョーンズだったとは〜。私としたことが・・(あの缶コーヒーのCMも大好きです)

そして見終わった今、激しく後悔しております・・宇多津映画祭でこれを見ればよかった〜〜(涙)
ストーリー、キャラクター、そして意外なほどに映像も音楽も、とても後引く、忘れられない印象を残す映画でした。

舞台はアメリカ、テキサス。メキシコとの国境に近い場所。
メキシコ人のカウボーイ、メルキアデス・エストラーダの死体が発見される。犯人の存在を知ったメルキアデスの親友ピートは、きちんと捜査もしようとしない警察に代わって犯人を拉致し、生前の親友との約束を守るため、メルキアデスの故郷を目指し旅立つ・・・・

前半、ピートとメルキアデスのシーンは、過去のシーンが挟まれ時間も前後する描き方でしたが、これがまたなんともいえず、いい味を出していましたよ。メルキアデスに馬を貰うシーンや、彼と二人で(女性達)とデートするシーン。何度も何度も登場する生前のメルキアデスの純朴さ。
二人の出会いのシーンでメルキアデスが言う「俺は・・ただのカウボーイさ」!!これがねぇ・・なんとも。
そしてトミー・リー・ジョーンズ演じるピートのメルキアデスに対する思い、友情。狂気とも思える一途さでヒメネスへの旅を続けるピートにマイクが言うんですね。
「あんたオカシイよ・・」
メルキアデスの顔にたかった蟻を払うために燃やしたり、不凍液を飲ませたり・・そのあたりなんてだんだんとすごい状態になってくるメルキアデスの死体にええ〜っと思いながらも、少し可笑しく・・でもなんだか懸命に語りかけてるピートにこみ上げてくるものもあってりして。
ただただ寡黙に、でもめちゃめちゃ実力行使で親友との約束を守ろうとするピートの姿・・・そうするしかない、何もしてあげることが出来なくなった親友へのただひとつ自分ができること・・なんでしょうね。
どんなにマイクをひどい目に合わしながらもピートは決して彼の死を望んでいるわけじゃないんです。あの盲目の老人の頼みに「神にそむくことは出来ない」とピートが答えたときそう確信しました。

そんなピートがメキシコの食堂(?)で女性に電話をかけるシーンがあるのですが、ここがまた秀逸です、心に沁みます。
夕方でしょうか、日も暮れかけたお店に灯された電燈(イルミネーションみたいな)語りあう人々、調子の少し外れたピアノ・・・「おれだけを愛してる・・って言ったじゃないか」結婚の申し込みをするピートに女性が言った言葉は・・。
そのあと一人、テーブルに戻ったピートの顔・・・。
熟年の男性のこれほど哀愁に満ちた顔ってしりませんよ。いや、若くないからなおいいんですーーー!!惚れちゃいます。

ピートに拉致されたマイクを演じるバリー・ペッパー、彼もとても良かったですね。裸足にされ、手錠をされ、縄をかけられひきづられ・・あげくは蛇に・・と。もうこれ以上ないほどの扱いをされる彼が、そのたびに泣き喚いたり怒ったり・・する姿は寡黙なピートとなんとも対照的で印象的で。
自分のことしか考えてなかった・・人を愛するなんて気持ち・・あったんだろうか・・っていうマイクが・・メキシコの地で出会った人々にとまどい、少しづつなんだか表情が人間味を帯びてきて(バリーさんて・・とてもクールでハンサムで一見、レプリカントみたいですよね)最後の最後に彼がピートにかける言葉・・・これには・・絶句です(涙)。書きません・・見てください、ぜひ。

ストーリーもですが、この映画、音楽も、そして映像もとても印象に残りました。
ピートが見る窓の外の景色。2つの窓から覗く、違った二つの景色や、マイクが逃げ込んだ黄色の花が咲き乱れる土地のシーン。
そしてヒメネス・・と。忘れられないシーンがたくさんありました。

アメリカとメキシコ、国境の町。人々の生活、姿。そういう設定がとても生きていましたね。熱き男性達・・と対照的な女性達の姿・・・こちらもなんといえない味で・・複雑な思いもしながら・・。
いやぁ^〜、でも本当に見てよかった、感謝、感謝の1本です。



2007年02月10日(土) 「トランスアメリカ」

2005年アメリカ 監督ダンカン・タッカー
キャスト フェリシティ・ホフマン ケヴィン・ゼガーズ フィオネラ・フラナガン エリザベス・ペーニャ バート・ヤング

男性としての器を捨て、完全に女性となる日を夢見るブリー。
ところが手術を目前に控えたある日、ブリーの元に逮捕された息子を引き取って欲しいという電話が届く。なんと!ブリーは知らなかったが彼には息子がいたのだ・・教会の職員と偽って息子を養父のもとに送り届けようとするブリーだが・・・

そういえば、彼女はいろんな賞を受賞してたんだった・・・と思い出したのは途中のこと。だってどうみても(女性になりたい)男性・・にしか見えないブリー!!男性が演じてる・・とばかり思って見てたのですよ!!フェリシティ・ホフマン、すごいですね。冒頭の発声シーン、着替えたり、お化粧したり・・立ち振る舞いにいたるまで・・どうみたって。
自分を偽ってきた過去を捨てるために手術を受けるブリーだけれども、本当の姿を息子には告げることが出来ない。
初めは突然の出会いに戸惑い、もちろん親としての自覚もないまましかたなくトビーと旅を続けるブリー。でも息子の悲しい傷を知り互いにいろんなことを体験してゆくうちに・・彼、いや、彼女の心に芽生えてゆく何か。
それを声高にではなく、大げさに感動的にではなく、ゆっくりと、そしてどこかちょっと可笑しささえ漂わせる・・見せ方が好きだな〜。
途中で素敵な男性に出会ったり(彼といる時の彼女はと〜っても素敵、パープルの服がなんて綺麗なんだろう、そしてインディアンハットをかぶせてもらった時のトビーの表情の可愛さ)、ブリーの家族と再会したりして・・。
ブリーのお母さん、そりゃあもう心が狭くて絶対自分は間違ってない・・と思ってて・・と「もう!!」って思うような人なんだけど。でも自分の息子が「女性」だと言い出したら、そんなに快く受け容れられる人ってきっとそんなにいないんじゃないかって思う。そんな受け容れようとしないお母さんだけど、でもブリーをかばおうとするシーンがあるのね・・頭では受け容れられないけど・・でもとっさに出たその行為、思わずはっ・・としましたよ。

息子トビーを演じるケヴィン・ゼガーズは噂どおり(笑)と〜〜ってもハンサムでしたね。ちょっとリバーを思い出す、面差し。
大胆なシーンもあって・・ドキドキしたり。

ブリーがいつ、どんな風に息子に真実を告げるんだろう・・って思っていたら。あのトビーの告白でしたからねぇ・・あれにはビックリしましたね。
そして念願かなって・・の手術の成功だったのに・・ブリーの流す涙。あの泣きかたには・・まいった〜(涙)だって・・鼻水?よだれ・・・たれてますもん・・でも・・こっちまで泣けました、思わず。

ラストの二人の再会、ちょっと照れた風な、でもお互いなんだかとっても嬉しそうな。
感動の再会です〜〜!!っていうんじゃない、あの雰囲気が嬉しかった。
普通の親はテーブルに足をのっける息子を注意できなくても、ゲイムービーに出るのは非難するのだ、きっと。そう思う。
でもそうじゃない。そうじゃない・・のがブリーで。それが彼女で。そしてトビーの(今は)母親。
いつの日か、二人があの男性の元をまた訪れる、そんな旅がまた出来たらいいね・・そう願わずにはいられない。

最後にこの主題歌、これがすごく良かったので載せときますね。まさにこのとおり。
行き先なんて知らないわ 道のある限り前に進むだけ
ただの旅では終わらない 私というパズルを完成させるため
歌に出てくる旅人のように 自分の居場所を必死で探してる
それはどこ?本当に見つかるの? でも今はただ旅を続けるだけ

疑問は山ほど 答えはほんの少し でもいつかは真実を見つけたい
今は十字架にかけられてるけど 復活したら新しい私になるの
神は理由があって私を創られた 贖罪の方法は人それぞれだから
神よ私を見守ってください 何度も転びながら私は歩き続ける
今はただ旅を続けるだけ・・



2007年02月08日(木) 「暗黒の恐怖」

1950年アメリカ 監督 イリア・カザン
キャスト リチャード・ウィドマーク ポール・ダグラス バーバラ・ゲル・ゲデス ジャック・パランス ゼロ・モステル ダン・リス

渋いなあ・・うちの息子がWOWOWで録画するものは(笑)
第23回アカデミー原案賞受賞作品です。

港町、ニューオーリンズで殺人事件が発生。被害者が伝染性の灰ペストに冒されていたことから、病原菌が蔓延する前に(おそらく同じペスト菌に冒されていると思われる)犯人を逮捕すべく、必死の捜査活動が繰り広げられるのだが・・・

なかなかに見応えある作品でしたよ。
保健局員と、(馬が合わない)警察官のコンビ(?)・・最初はお互いにいい印象を抱いていない二人が・・という設定、今でこそ(?)こういうのよくありますけど、たぶんそういう設定の先駆けじゃないのかな・・と思います。
そして犯人に行き着くまでのやりとりや、犯人の仲間どうしのいざこざもすごく気を揉ませて上手いんです(笑)あぁ・・結構ハラハラしちゃいましたよ。
家庭の中での姿・・とかもちゃんと描いててね。そういうところも、しっかりと描いてました。

主人公のリチャード・ウィドマークが、また個性的な顔立ちで、いわゆるいい人顔じゃないんですね。キツイことを言うときなんて結構憎らしい感じなんですけど、悪役で有名だった方なんですって(あとで調べたら)。
そして、対する犯人役は・・この方はもう有名ですよ、あの「シェーン」でも際立つ悪役ぶりを披露したジャック・パランス。
この作品がデビュー作らしいのですが、もうーー、なんというワルぶり!!見事ですよ。リチャード・ウィドマーク以上に悪役顔を・・ってことで抜擢されたそうなのですがそりゃあもう、鳥肌立つほどのワルぶりでした。
 
ニューオーリンズの港湾地区・・この設定もうまく使われていると思います。



2007年02月02日(金) 「レイヤーケーキ」

2004年イギリス 監督 マシュー・ヴォーン
キャスト ダニエル・クレイグ コルム・ミーニー ケネス・クラハム ジョージ・ハリス エイミー・フォアマン シエナ・ミラー 

レイヤーケーキ・・といえば、思い出すのはやはり「赤毛のアン」
牧師夫妻を招いたお茶の席で、アンは牧師夫人のために得意のレイヤーケーキを焼くんだけど・・なんと!香料のバニラと間違えて湿布薬を入れちゃのでした・・
あの時アンは焼きあがったスポンジに赤いゼリーを挟んだ・・ってありますけど、こんな風にレイヤーケーキっていうのは、クリームやジャムを挟んで層状(レイヤー)に重ねたスポンジケーキのことなんですよね。

何層にも重なった・・(裏の)社会。それぞれに層にどんなうまみがあるのか・・そしてそれが渾然一体となった世界では・・・。

レイヤーケーキの真中より上のあたり・・かしら?この物語の主人公、おれ。(名前は出ないんですよね)
自分のポリシーを持ちながらしっかりと儲け、そしてすっきりと引退することを望んでいる、麻薬ディーラー。でも、そんなに甘くなかったですね、このレイヤー社会。引退を前に押し付けられた2つの仕事が・・どんどんととんでもない事態に発展して・・なんだかと〜〜ってもやばいことに。
こういう、いろんな事態がどんどんといろんな方向にいっちゃって・・どんな風に収拾されていくのか・・って言う展開、実はとても好きなんですよね。最後にどんな風にまとめてくれるのか・・って思って。
この作品もさまざまな人物の、それぞれに思惑が交じりあう展開がとても面白かった、そして最後にはちゃ〜んとそれが解決するさまも。

主役の「おれ」を演じるのはダニエル・クレイグ。実は初めてお目にかかるわ、私。「007」まだ見てませんからね〜。
細身で、色素の薄い感じ・・どこか冷たい、夏でも絶対ひんやりしてるに違いない「低体温風男性」って結構好みです(笑)ポール・ベタニーを思い出します。
クールで、頭が切れて・・っていう設定なんですけど、意外に抜けてるところがあったり、落ち込んだりして・・「あれ〜この人」って思ってしまう主人公でしたよ。ちょっと情けない風が、似合ってましたね(あのホテルでも・・なんであそこで 苦笑)
そして・・何よりずいぶんいろいろ痛そうな目に遭うんですよね・・アタタタ。

まわりを固める幹部の方達は・・もう渋いというか、ずるい・・というか。やり手なんですね、みんな。そんな中での探りあいも、息詰まるようでいて、たがいにユーモラスな会話もあって。そういう息抜きが上手い。

一番印象的なシーンは、あれかな。あのグリニッジ天文台での待ち伏せ。
あれはビックリしましたよ、直前まで可笑しな会話が続いてて・・あれでしょう。
でもビックリといえば・・最後もそうなんですけど。これについてはあまり語らないことにしましょう、見てもらうのが一番だと。

そうそう、実は紅茶のシーンがありましたよ。う〜ん・・しかしあれは紅茶のシーンって言うんだろうか・・
これまでで一番異色な紅茶のシーンですね・・となるとやはり載せたい「Tea&Cinema」
そして今原作読んでます。
まさに何層にも美味しい作品になったかも(笑)


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