瞳's Cinema Diary
好きなスターや好みのジャンルにやたら甘い、普通の主婦の映画日記。
この映画の感想読みたい・・って思ってくださる方がいたら、画面下の検索機能からどうぞ。

2005年11月28日(月) 「月夜の恋占い」

200年フランス 監督ロラン・フィロード キャスト オドレイ・トトゥ エリック・サヴァン フォデル

通勤途中の地下鉄の中で向かいに座った女性にアンケートを取られるイレーヌ。生年月日を告げたイレーヌにその女性は、星占いから「満月の今宵、運命の人に出会うことができる」と告げる。
はたしてイレーヌは、今宵運命の人にめぐり会えるのだろうか・・・

なんて乙女心を誘う、題でしょうか(笑)そのまま、少女漫画でもいけそうです。
原題は、「The Beating Of The Butterfly's Wings」蝶の羽の震え。
高等数学のバタフライ理論に基づいたもので、ブラジルで蝶が羽ばたくと大気の微妙な変化がアラスカの天候を吹雪に変えてしまうかも・・という、いわゆる日本で言う「風が吹けば桶屋が儲かる」という、あれですね。
誰かが起こしたちょっとした行動が、他の誰かの運命を変えていく・・・

倒れた浮浪者、うそつきで無気力な若者とその母親、祖母。
自転車で倒れた男、その男を目撃してうなされる少年。うなされた少年の言葉から心配して夫のもとに向かう妻。妻と愛人と、両方に嘘を付く、男。
まだまだ・・・・
そんなたくさんの、さまざまな人々が起こしてゆく行動が、どんどんとからまりあって。いったいどこに向かってゆくのかなあ・・って。
イレーヌは、あれれ・・最初の登場以降、なかなか出てこないのですけど、あっ、そうか〜、こんなところで・・っていう時に登場します。
幸せな1日になるはず・・だった彼女ですが、職場を首になり、アパートは追い出され、まさに踏んだりけったりの1日。
彼女の運命の人はどこにいるのか、いったいどんな風に出会えるのか・・・
ラスト近くの展開は、目が離せません。
公園の鳩も、バッグにしのびこんだゴキブリでさえ、ちゃ〜んと出番があるのですよ(笑)

群像劇は大好きだし、「運命の人」ていう、こういう設定も好きなので、とっても楽しめました。

たくさん登場してきた人々の中で、気になったのは、虚言癖のある無気力な若者。すご〜くしっかりした母親に押された・・せい(?)か、自分では何もできないような、そして、他人の話をあたかも自分のことのように話す、ダメダメな若者ですが、最後には、初めて自分の立場を嘘をつかずに説明したんですよね・・でもその結果がね・・・
どうなったんだろう・・気になりましたね。なにせ、イケメンだったので(そこかい!やっぱり・・と自分で突っ込んでおきます 爆)。
あ、それに、あの自転車の人・・・あの人もね・・大丈夫なのでしょうか・・

オドレイ・トトゥは、やっぱり独特のムードがありますよね。今回はそんなに登場シーンは多くないのですけど、彼女が笑ったり、うつむいていたり。
ちょっとしたしぐさに、とっても雰囲気があるのですよね。このお話のヒロインにぴったりだと思いました。

でも・・最後のあの顔の〇〇は・・・
あんなに大きくしなくてもね・・・(笑)
しかもふたりとも〜〜。いや、それでも可愛かったですけど・・・




2005年11月23日(水) 「山猫は眠らない3 決別の照準」

え〜っとですね、だんな様が借りてきまして。
私も「山猫は眠らない」1作目ははるか遠い昔に見た覚えがあるのですが、2作目は観てないんですよね。
トム・ベレンジャー、う〜ん、かなりふっくらとなさってます(汗)
普通の服の時はまだそうでもないのですが、パーティーの席の軍服姿はいけません!!まんまる・・なんですもんーーー。首もすごく苦しそう。

というわけで、画面を斜めからぼーっと見ていた私でしたが・・あらら!!バイロン・マンが出て来るじゃないですかーーー!!というわけで急に画面の前にしっかと座りなおす私(苦笑)
この前のセガールとの共演の「沈黙の聖戦」を思い出すかのような、主人公の相棒役ですわ。こうなると・・もう俄然気になってくるのが・・彼が最後まで生きていてくれるか・・・ってことですが(すみません〜〜、だってこういう話の相棒ってね・・絶対、絶対生存率低いじゃないですか・・)

ま、生存率はちょっと置いといて、お話のストーリーも置いといて(?)このシリーズの魅力はやっぱりなんといってもトム・ベレンジャー演じる凄腕スナイパーのキャラですよね。
今回は、標的が自身の命を救ってくれた、昔の友人。凄腕スナイパーも迷いから、やはり一度は失敗します。どうしてこのミッションに彼が選ばれたのか、しがらみのないほかの者の方が絶対いいし、そして、あんなに凄腕なんだから失敗なんてしそうにない・・って突っ込みは置いといて。
狙撃シーンは、やはりドキドキします。
最後の穴に入って追跡するシーンも、追ってくることは分かっているんだからどうして何か手を打たないのか、とか、あんなに身軽そうなバイロン・マンがあんな風に足をすべらせて転がるはずない・・とか、という突っ込みも置いといて(笑)
バイロン・マンの格闘シーンや、最後の狙撃シーンもなかなか盛り上げます。バイロン・マンに格闘させるために転がせたんだよね、監督。そしてほら、最後に狙わせないといけないから・・ね。
指の振るえ・・という伏線はうまく使ってありましたね。
でも・・でもねぇ・・・どうして友人を抹殺しないといけなかったのか、その指令の理由が・・・あれとは・・・かなり、かなり無理がありましたね。
ちょっと拍子抜けしてしまいました。

セガールとどっちがまあるいかしら・・なんて思いつつ観てしまったのですが(作品中のお着替えは、セガールの方が多かったな、笑)狙撃する時アップになる瞳のブルーが、とても印象的なベレンジャーでした。



2005年11月21日(月) 「バットマン・ビギンズ」

2005年アメリカ 監督クリストファー・ノーラン
キャスト クリスチャン・ベール マイケル・ケイン リーアム・ニーソン ゲーリー・オールドマン 渡辺謙 ケイティ・ホームズ キリアン・マーフィ 

あの「メメント」のノーラン監督が、バットマンの世界をどんな風に描いてくれるのか楽しみだったのですよね。

少年が、いかにしてバットマンとして目覚めたのか、バットマン誕生秘話。
少年の恐れや、心に潜む不安。そして、それを克服できないがために愛する両親を失ってしまったという大きな悲しみ。それにどう向かっていくのか、それらをじっくりと描いていましたね。
恐れを克服するために、恐れていたものになる・・・う〜ん、なるほど。でも分かるような、分からないような。
自分も罪人となってまで・・・このあたりは・・そこまでしなくても・・って思いましたけど。

どうしてもお金持ちのぼっちゃまはやっぱりやることが・・・っていう風にとってしまう私は、きっとひがみ根性が染み付いているのでしょう(汗)
でも彼にとってもきっと家の名前も、重荷となっていて、そういうものを一度失ってみて、自分の中の恐れを克服して初めて、また父親の偉大さや、自分のやるべきことを見つけることができたのでしょう。

そして、バットマンシリーズといえば、やはり強烈な悪役の登場です。実際、前のバットマンシリーズにおいては、私は悪役ばっかり印象に残ってるんですよね・・ジャック・ニコルソン!!強烈でしたものーー。
う〜ん、しかし、謙さん・・・もったいない・・いい味だしてたのに・・忍者軍団ですよ・・せっかく怪しいのに(苦笑)
あれで終わり・・とは。いえね、絶対あとでまた登場と期待していたのですよ。だからねえ・・・もったいない・・・
変わりにリーアム・ニーソン、頑張っていましたね。彼って忘れそうだけどすごく大きいんですよね、アクションも映えますね。

クリスチャン・ベールのあのちょっと暗めな、内にこもったような表情はバットマンのキャラに合ってますよね。
でもどうしても私の目は、マイケル・ケインの執事さんと、いつ悪役に転じるのか・・と思いつつ見てしまう珍しくも良心的な(かつ可愛い)ゲーリー・オールドマンの警官と、どんな役も余裕で魅力的なモーガン・フリーマンに注がれてしまうのでした。
いやぁーー、ほんと豪華なキャストです。

そんな風に男性陣は(キリアン・マーフィも出てましたし)とっても多彩だったのですけど、女性陣は・・紅一点ってことでしょうか。

監督は、正攻法で、かつ重厚に、しっかりとゴッサムシティを描いていましたね。
アメコミ・・にしては・・大人の雰囲気でしょうか。
ただ私は、これまでの怪しい、可笑しな雰囲気も好きだったのですけどねぇ(笑)

バットマンのいろいろなアイテムもしっかり登場しましたね。
お金と技術のかかったスーツやアイテムですけど、バットマン自身は鍛えられているけれども、生身の人間なのですよね、超能力や、パワーを発揮できない分、頑張りが必要なわけで・・。
そういうところが、手作りスーツだけれどもクモパワーのスパイダーマンとは違うわけですよね。ヒーローも一長一短、大変です(何のこっちゃ?)

それにしても、マイケル・ケインの執事さんは、いいなあ。
「アルフレッド、午後のお茶は?」
言ってみたいものです(笑)



2005年11月15日(火) 「エリザベスタウン」再び(笑)

娘と一緒に2度目の鑑賞。
ということでまたまた感想書いちゃいます。

「この映画が好き〜〜〜」
まずは、叫んでおこう(笑)
ファンの間にも賛否両論のこの映画、アメリカでのレビューなんて結構散々だったらしいのですけど・・いえ、もう私は弱気は捨てますよ!
クレアならそんなこと笑い飛ばすでしょう、きっと。
「私はこの映画が大好き〜〜〜〜」
あぁ・・すっきりした(笑)

1度目はストーリーと、音楽に精一杯だった私、2度目の今日の方が、よりうるうるきちゃいました。
最後の旅のシーン。突然の父親の死、しかも8年間のプロジェクトの間はろくに会っても無かったのでしょう、ドリュー君。そんな中で長男としての責任やら、大勢の親類の中に放り込まれ。張りつめいてた気持ちが一人になって一気に溢れてきて。
そして「父の銃」ですよ、流れてくるのは。パパミッチと踊る小さなドリュー君。骨壷の父に話し掛けながら、泣いたり、笑ったり。なんだかねえ・・もうこみ上げました。
私自身のいろんなことを思い出したり。友人を亡くして帰ってくる車の中で、思わずこみ上げてきたものや、父親を亡くしただんな様がしばらくは涙も見せなかったのにずいぶんしてからふっと「もっと〇〇しておけばよかった、こうしておけばよかった」とつぶやいていたことや。
そういうことを思い出してしまいました。

パパミッチとドリュー君、ドリュー君の従弟のジェシーとその父親。そしてジェシーの息子のサムソン君。
この映画はまた3組の父親と息子の話でもありますよね。
いたずらばかりやってる、悲鳴をあげるのが得意の(?)サムソン君、ミッチパパの柩がつっかえながら、下りてゆくシーンでは、唇をぐっと噛んでまるで悲鳴をあげるのをこらえているかのように見えて。成長してるよ!!ってなんだか嬉しくなったのです。

そしてクレア。やっぱり彼女は素敵だな。「失敗?失敗?それが何?」そんなセリフも彼女自身が失敗を知っている人だからこそ・・っていう気がする。知っているからこそ、前向きに生きようとする人が好きだから。
「私と別れようとしないで。まだ付き合ってもいないのに」このセリフにはヤラれました。
彼女がきっと眠らないで作ったであろう、あの旅マップ・・あれに惚れない・・はずはないですよね(笑)
「あなたのこれからの人生に必要なものが待っている」
う〜ん、このくらいの自信を持って生きたいよね(笑)

これで終わりじゃない、これからの二人を、今から始まっていくだろう・・ストーリーを思い浮かべちゃう、このラストも好きです。

一緒に見た娘の感想は・・バイトの時間ギリギリだったのでまだ聞いてないのですけど帰ってきたらゆっくり聞こう。
あ、でもバイトに行く前に一言、これだけは聞かれましたよ。
「あの靴、どこがそんなにダメなん?」って(笑)



2005年11月13日(日) 「エリザベスタウン」

2005年アメリカ 監督キャメロン・クロウ
キャスト オーランド・ブルーム キルスティン・ダンスト スーザン・サランドン アレック・ボールドウィン ブルース・マッギル ジュディ・グリア ジェシカ・ビール

試写会に振られつづけ・・やっと初日!!仕事が終わってからレイトに行ってきました。カップルばかりかしら・・もしくは若い女性・・って思っていたら意外なことに男性一人で・・っていう方が結構いらしてビックリ〜と当時になんだか嬉しい。

まず、なんて言ったらいいかなぁ。
とても可愛い映画でした。(可愛いっていう表現は変ですけど。)
力のこもった感動作!!っていうんじゃなくって(そう思っていくと肩透かしかもしれません)時々くすって笑ってしまったり、ええっ?って思ったり。
しんみりしちゃったり。そして嬉しくなったり。
そういういろんな感情、それも大げさじゃない、小さな感情を揺り動かされる作品でした。

失敗・・じゃない、大失敗、10億ドルの損失を会社に与えてしまったドリュー。ヘリに乗った彼の目の表情にまず惹かれます。そして痛々しく繰り返される「I'm fine」の言葉。社長に答えるfineのファのことろでぐっとつまってしまう・・もうこれだけで、ファンとしては「あぁ・・なんて痛々しい・・なんて思ってしまったり(笑)
恋人にも「最後の視線」をかけられ、失意の彼ですが・・しかし・・あのマシーンはなんでしょうか(苦笑)真面目に・・あんなことを!?

でも父の死によって彼は一時的にそのマシーンに乗ることを取りやめて、父の故郷エリザベスタウンに向かいます。飛行機の中で出会ったクレアや、故郷で彼を待っていたたくさんの人々とのやりとりや。
観る前のレビューで一番多く挙げられていたのが、このエピソードの多さや、まとまりのなさ、でしたが。これはきっと好みの問題なんでしょうね。私はこういういろんな人たちのたくさんの顔が見える小さなエピソードがいっぱいのお話が好きなので楽しかったです。こういうたあいもない(でも本人たちにしたらとんでもなく重大な)ひとこま、ひとこまが・・私たちの時間をしめている・・って思いませんか。大人になり切れていない・・っていわれてる従弟や悲鳴ばっかりあげてる彼の息子や。子どもたちを静かにさせるためのあのテープ!あれ可笑しかった〜。
8年間のプレジェクトのあいだ、ドリューが忘れていた、置いてきていた、そういう時間に、彼は最初は戸惑いながらも、しだいに癒されてゆくのです。

彼の癒しといえば!クレア!!演じるキキちゃんの素晴らしさについて語らなければ!いやぁ、私キキちゃんが最近ごひいきでしたけど、このクレア役の彼女はすごくいいです。一歩間違えば、押しが強くて、嫌な女・・になりかねないのに、とってもキュートで。そして彼女もまた心に孤独を抱えているからこそ、彼の痛みを包み込んでくれるようで。

楽しみにしていた電話のシーン!お風呂に入ったり、ペデュキュアつけたり、ベッドで寝転んだり。(トイレもありよ〜笑)いろんな動作、表情で、次から次へと話をする二人。約束を取り付けた・・時のクレアの「やった〜!」っていう顔は最高に可愛い。
お墓でのデート、例のあの虫事件のシーンは、アドリブだけあって、もうすっごい自然でしたね(笑)う〜ん、でもオーリィとキキちゃんがこんなにお似合いだとは。いや、ドリューとクレアですけどね・・でもほら、演じていても、なんだかちょっと似合ってないなあっていうカップルもいますよね,映画でも。でもこの二人はとっても爽やかで、可愛くて、いい感じでした。

あれ?もうこんなに書いたんだね・・う〜ん、まだまだ書き足りない。

骨壷を持って旅に出るシーン。車中で泣いたり、笑ったり、喋ったり。予告のあのシーンですね。あそこのオーリィは素晴らしいです!!
思ったより短いのが残念なほど、もっと見せて欲しかったくらい。ここでもっとお父さんとの思い出が盛り上がるのか〜って思ってたのですけど。
それにしても、あんなに丁寧な旅マップ、おまけに指定BGM〜、クレアって何者?
そして言われるとおり、やっちゃうドリュー君、いかに旅慣れていないとはいえ・・思わず「カルシウム・キッド」のジミー君を彷彿させる従順ぶりで大丈夫?って思ってしまった(爆)ちゃんと踊ってるし(笑)

社会的な大きな挫折を味わったドリューが、父親のふるさとで見つけたもの。
父を愛してくれた人々。母親の父への思い(スーザン・サランドンのシーンはさすがですよね)そして、普通の、そのままの彼を支えて包んでくれるクレア。
どんなことがあっても、やっぱりただただ生きている・・っていうそのことが。それが何より、一番大切なことで。生きていて、誰かに素直に思いを伝えたい。
そんな暖かい気持ちをもらえるラストシーンでした。
エリザベスタウンの風景も綺麗でしたね、緑の美しさに癒されます。

「愛してる」って言ってくれるかと思っていたのに、ドリュー君が打ち明けたのは10億ドルの失敗話。落胆するクレアが彼に言う言葉や、あの「アイスクリームの恋はいや」ていうセリフや。ドリュー君の語る独り言の「最後の視線」や。そういう印象的な言葉もたくさんありました。
劇場、また何度も行ってしまうのですけど。でも気が早いけど、これはDVDが早く欲しい作品だなあ。できたら、家でくつろぎながら、じっくり音楽も聴きながら観たい作品です。
音楽も、私はあんまりわからないけれど、キャメロン監督のこと、選曲も凝っているんでしょうか。そのあたり、ちょっと歌詞の字幕をいれてくれても良かったのでは・・
クレアの旅マップも「モーターサイクリダイアリーズ」の旅マップみたいにパンフに載せてくれたらきっともっと楽しめたのにな〜。
そうそう、オーリィのアメリカ英語は・・・・イギリス英語もアメリカ英語もさっぱりの私には・・どこがどう違うのか・・分かりませんでしたね(苦笑)


エンドロールは最後まで観て欲しい、聞いて欲しい。最後に流れる「ムーンリバー」まで。ここで、私はぐっときました。



2005年11月12日(土) 「ブラザーズ・グリム」

2005年アメリカ 監督テリー・ギルアム
キャスト マット・デイモン ヒース・レジャー モニカ・ベルッチ ジョナサン・プライス レナ・ヘディ ピーター・ストーメア

子どものとき読んだ童話を、大人になって読み返したとき(こども向けに訳されたものではないものを)ええ〜っと驚くような残酷さとその奇想天外ともいえるような、展開に改めて驚いたものだったけれど。
(でもこども向けに訳されてはいたって、あかずきんが狼にのまれる・・っていう時点でそれはもう残酷なものだけど・・)

そういうちょっと残酷で、奇想天外なお話・・っていうジャンルっていうとまさにギリアム監督の世界ですよね。
グリム兄弟を怪物退治の詐欺師にしちゃうなんて…普通は考えませんよね。最初はファンタジーに立ち向かうような、現実的な兄弟が(でも弟はファンタジーの世界にいますが)どんどんと童話の世界にのまれてしまう・・そんな展開が面白いのです。
特に森のシーン。「森」って童話の温床って気がしますよね。開かれていない、光の差さない暗い森・・は、昔の人にとって、どんなに未知で恐ろしいものだったことでしょう。そういう、不思議で恐くて、暗い、何かを秘めた・・森のイメージが見事にスクリーンに広がっていました。

随所にちりばめられた童話の数々・・
一番気持ち悪かったのはあのドロ人形に顔をとられちゃう・・ところですけど。ああいうのってありましたっけ?あれは監督のオリジナル?

気に入らないと首を切っちゃう将軍と拷問好きの家来・・まさにむかしむかしの童話的な登場人物に翻弄されちゃう兄弟ですけど、彼らの救い主が森の狩人で、女性で、そして美人でってきますからね。こういうところは、新しい今風な設定かしら?
現実的な兄と、想像の世界に生きる弟・・いつもとは違うキャラを演じたマットとヒースのなりきりぶりも可笑しい。マット、意外とこういうコスチュームも似合うんですね・・ヒース・・あのメガネでくらくらしてる顔とか・・・「ケリー・ザ・ギャング」の繊細な演技とは全然違う、オーバーアクションを楽しんでるみたいでしたね。でも最後にメガネととって〇〇・・ってところの顔はやっぱり素敵でした(笑)
でも一番目立ってたのは・・ガヴァルディ役のピーター・ストーメアではないかしら。濃いし、酷いし、でも憎めないし・・・。う〜ん、でも最後の彼の行動は・・どうして?彼らの童話を読んだから?
童話に欠かすことのできない・・女王様、モニカ・ベルッチは、さすがに綺麗だったですよね。

最後は、意外とちゃんとまとまっていましたね(?)私は「バロン」の突っ走りぶりが好きなので、ちょっと物足りない気もしました。
気になる兄弟と狩人さんの恋の行方は・・・あれは、あれで・・いいのかしら?(笑)
たとえば・・私なら・・ヒロインは、王子さまと結ばれるべきなので、彼女は最後に隣国から来た王子様にもっていかれちゃう・・なんて展開はどうかしら?って(爆)そうそう、王子さま、出してほしかったですよ、見惚れるほど素敵な(笑)
あ、グリム兄弟が王子さま・・だったのかな?役的には?そういえば女王が「私の王子さま」って言ってた・・。
いや、でもやっぱりちゃんとした王子さまが見たかった。王子さまルックの(笑)

帰ってから、久々に古〜い「グリム童話」本棚から引っ張ってきました。
「ねずの木」これは、何度読んでも一番恐い〜〜。
そして、私がいつも一番欲しくなるのは「テーブルよ食事の用意!」のごちそうが出てくるテーブルクロスです(笑)









2005年11月07日(月) 「ウィスキー」

2004年ウルグアイ 監督フアン・パブロ・レベージャ
キャスト アンドレス・パソス ミレージャ・パスクアル ホルヘ・ボラーニ

ウルグアイの映画です。ってウルグアイってどこだろうか・・
題名の「ウィスキー」はお酒のことじゃなくって、写真を取る時に笑顔を作る言葉、日本で言う「はい!チーズ」のことだそう。

朝の風景、古びた工場のシャッターの前で今朝もハコボを待つマルタ。工場主とそこで働く女性。
ハコボはシャッターを上げて工場のスイッチを入れ、マルタは彼のためにお茶を入れる・・それが彼らの日常の朝の風景。
繰り返されるその風景の中、ある日日常とは違う出来事が起こって・・。

もう、なんていうんだろう、最近こういう映画がとっても好きなのです。
会話も少なくって、そしてなんて説明の無い映画なんでしょうか。
なぜ、ハコボは弟エルマンの前では結婚していることにしておかなければいけないのか、彼らの間には何があったのか、母親のことや、工場のこと。
3人の胸のうちも。
ふっとした彼らの表情や会話から、想像したり、思ったり。
たとえば、再会した時、お互いに交換しあう、靴下にしても。あんまり上手そうじゃないけれど、ラッピングして渡すハコボとそのまんま、値段も分かるまんまのエルマン。もうこれだけのことで彼らの性格や、工場の状態やら・・いろんな風なことを思い浮かべてみたりする。

それはもう、想像の余地がた〜〜っぷりとある映画なんです(笑)だからきっと見た人ひとりひとり、いろんな風に取れる映画なんでしょうね。

ハコボもマルタもエルマンも、3人ともすごく地味なんだけど、味があって。見れば見るほど、愛着が湧いてくるのです。
特にマルタ。最初はちょっと恐そうな顔のおばさんだなあって思っていた彼女が、セットした髪を誉められてにっこりするところや、エルマンと楽しそうに話すシーン。さかさま言葉なんて、すごくキュートなのです。(でもこのさかさま言葉って言うのも彼女の孤独が・・感じられたりするんですけど)これまで外には出ていなかったけれど、彼女の内にはとても可愛らしくて、人生を楽しみたい・・そんな気持ちがあるんだなあって。

ハコボは・・もうなんでしょうかね・・枠の中にはまってしまって・・そこから出られなくなってしまったような。無骨なんだけど、でもお母さんの看病とか、たぶんしたんだろうなあって思ったり。
エルマンも、一見すごく明るくて順風満帆に見えるけど、でも内には仕事ばかりしてきたことへの、後悔や、母親や兄に申し訳ないと思う気持ちとか。
そんな3人の閉ざされてきた感情が、ほんの少し、見えてはまた抑えられ。なんともいえない、味わいを醸し出しているのです。

ラスト・・・(ネタバレありですから未見の方は読まないでね)













これね、あなたはどういう風に取りましたか。

私は、シャッターの前にマルタがいなかったとき、ものすごくドキッてしましたよ。次の瞬間頭に浮かんだのは「ああっ、もうハコボダメじゃない!」ってことでした。「あぁ・・もうもったいない〜」って。
あんなに素敵な女性、なんでしっかり捕まえとかないのでしょうかね・・部屋だって、あんなに綺麗にしてくれたんですよ(あれには私感動しましたもん)同じ部屋でちょっと一緒に会話したり、何かを一緒にしたりしていたら。
ま、それはハコボだけのせいではないのですけど。どちらも感情を抑えてしまってましたもんね。
最後の感謝だって・・ああいう風に包まれたものでは無くって、もっとあったでしょうに〜!気持ちを表すものが・・って・・ね。
マルタは、どこかに旅立ってしまったのでしょうか・・エルマンのところに行ったのではないと・・私は思ったのですけどね。あの手紙も、何が書かれていたのでしょう。愛の告白、う〜ん、そうは思えないんだけれど・・そうじゃないと思う・・彼女らしい、感謝の言葉・・逆さ言葉で書いてたりして。いや、でも結構大胆な行動もありましたよね、ホテルで・・。

毎朝、毎朝、自分のためにお茶を入れてくれた女性・・彼女の存在の大切さに気付いても、顔には出しそうにもない・・ハコボですが・・
どうなるのでしょうか・・これから。
電話のあと。

そういう意味で、この映画は、またここから、お話が作られてゆくのかもしれませんね。私たちの頭の中で。





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