パラダイムチェンジ

2004年10月31日(日) わかってくれない

ちょっと、というより大分前のほぼ日刊イトイ新聞の中の1コーナー、
「おとなのための小論文教室」にこんな文章が載っていて、読んだ瞬間、
おお、と思った。

くわしくはリンク先を読んでいただくとして、私はこの話のどこに
おお、と思ったのか。

それは、一言でいえば、

一歩進んで、仕事で関わる人は、すべてお客さんなのだ。

たとえ、気心の知れた仕事仲間、上司や後輩と言えども、
その関係性を考え抜き、彼らが何を求めているか、
そこに、自分のやっていることをどう伝え、
どう共感を生んでいくか、工夫しつづけていく必要がある。


という部分である。
ずなわち、仕事の上で、自分のやっている事を周りがちっともわかって
くれない、と嘆く事よりも、まずは、彼らこそが最初のお客さんである
という問題の捉え方、とでも言えばいいんだろうか。


つまり、私の周りにいる人は、私のお客さん。
もしくは、その人が私の事を理解してくれようと努力をしていたとして
も、以心伝心を期待するのではなく、無闇に自分の考えを押し付ける
のではなく、その人にわかりやすいように、加工をする必要があるの
かもしれない。
もしも、本当にわかってほしいと思うのであれば。

なんかね、この考えの転換は、私にとって目からウロコだったのであ
る。

でもってね、
これって仕事だけに限らないのかもしれないな、とも思うのである。

親しき仲にも礼儀あり、っていうのは少し違うかもしれないけれど、
自分の周りにいる人、親や友達や恋人だったら、何も言わなくても
こっちの考えなんかわかっているはずだ、というのがそもそもの
間違いであり。
本当に自分にとって大切な人であるのなら、自分の考えをわかって
ほしい時は、まずは相手がお客さんだったらどう説得するのか、って
考える事は、人間関係を考える上でも大切なことなのかもしれないな、
と思うのである。



2004年10月29日(金) 私の知っている島田紳助

と、タイトルには書いたが、別に島田紳助と個人的に顔見知りな訳でも
ないし、口をきいた事がある訳でもない。
多分、街でバッタリ会っても、一言も口をきけないだろうと思う。

私の知っている島田紳助とは、TVを通しての島田紳助である。
それでも彼に注目してTVを見るようになって、17年くらいはたつ。
17年前、まだ私が高校生だったとき、深夜番組で放送していたクラブ
紳助(その前はMTVクラブだった)を見るようになってからのファンだか
ら、一般人よりは島田紳助に関して少しは知っているといえるのかも
しれない。

それ以来、島田紳助は私の最も好きな芸能人の一人であり、人間として
憧れの存在でもある。

その島田紳助が、 TVスタジオで暴行事件を起こしたらしい。
殴られたのは、吉本興業の女性マネージャーで、暴行後、すぐに110番
通報をしたために事件が発覚したらしい。

もちろん私は、その現場に居合わせたわけではないけれど、なぜ島田紳
助が女性マネージャーを殴ったのか、何となく理由はわかる気がする。
それは、同じ吉本興業所属のタレントの、マネージャーだったからで
ある。


それは一体どういうことか。
これはたしかタレントのぜんじろうか誰か相手のトーク番組で聞いた気
もするんだけど、昔、紳助が監督として映画を撮っていた作品に、タレ
ントのハイヒールモモコを出演させたとき、あまりにヘラヘラとしてい
るので、そのマネージャーに対してキレたことがあったと思う。

でも、これは別に虫の居所が悪くて八つ当たりしたのではなかったはず
である。
他のタレントさんやスタッフは、皆撮影に一生懸命になっているのに、
何でお前は自分の所のタレントにヘラヘラさせているんだ、と怒って
いたような気がする。

収録現場はタレントにとっては戦場で、その戦場でタレントに最大限
いい仕事をさせるメカニックの仕事がマネージャーのはずなのに、
お前は一体何をやっているんだと怒ったんだと言っていたと思う。

これはハイヒールモモコのことが嫌いで怒ったのではない。むしろ、
ここがハイヒールモモコの勝負所だと紳助は思っていたのに、マネー
ジャーがわかってないと思ったから、怒っていたと思うのである。

島田紳助は、愛の人だと思う。
これがもし、他の所属のタレントのマネージャーだったら、怒ることは
ないはずである。
彼にとっては吉本興業というのはいわば身内であり、その身内のタレン
トのプロモーションの障害になる事をマネージャーがしたから怒ったん
だと思うのである。

今回の場合、何が原因で島田紳助がその女性マネージャーに怒ったのか
は、わからない。
でも、自分が仕切っている番組で、スタッフ、出演者にも人一倍気を
つかう人であるらしい島田紳助が、何の理由もなしに人をいきなり殴る
わけはないと思う。

そこには、彼なりの愛があるからこその行動だと私は思うのである。


今、体罰はいけない、という事になっている。
確かにいかなる暴力行為も許してはいけないのかもしれない。

もしも私に子供がいて、むやみやたらと理由もなくわが子が殴られたら
腹が立つ。
でもその一方で、子供に自分が何で怒っているのか言葉でわからなかっ
たら、たぶん私は手を上げる。

ただし、それは手を上げた理由が相手に伝わらなければ、ただの体罰、
ドメスティックバイオレンスと見なされてしまうかもしれない。
つまりそこには自分の気持ちが伝わる、という最低限の約束事が必要に
なる。その場合だって、もしかしたら私は可愛いわが子に手を上げた、
という原罪を背負っていかなければならないのかもしれない。

今回の島田紳助は、おそらくは身内だと思うからこそ、手を上げたんだ
と思う。
でもおそらくその気持ちは、相手には伝わらなかった、というのが、
事件の真相なのかもしれない。

彼女は示談を拒否し、「女性に暴力を振るうのは許せない」といった
らしい。
でも、おそらく島田紳助が手を上げた理由は、相手が女性だからでは
ない。そこに性差は含まれないと思うのである。


そして私は一方で、こうも思うのである。
その女性マネージャーは、なぜ自分の担当するタレントのいない現場に
足を運ぶ理由があったのか。
よしんばそれが島田紳助と話したいという動機であったにせよ、
なぜ、スタジオでこれから本番(だったのかは知らないが)という緊張
した場面で、不用意に話しかけてタレントの気分を害する、という
空気の読めない人が、マネージャー業をやっているのか。

マネージャーって言うのは、いかにタレントに気分よく仕事をしてもら
うというのが本分だろうに。
それが自分の会社所属のタレントだったら、なおさらだろうに。

今回の件で島田紳助は10日間の謹慎処分となったらしい。
ファンとしては、紳助がタレント活動をやめないでくれてよかったなあ
と思う。
でも、もしかすると今回の件がきっかけとなって、彼のセミリタイヤは
早まるのかもしれない。
それはファンとしては、とてもかなしいことなのである。



2004年10月27日(水) ニュースの価値と違和感

連日の新潟中越地震の報道の量に圧倒されながらも、やはり目を
通さざるをえない私がいる。

実は私の同級生は長岡市に住んでおり、メールを出してもまだ
返信がないあたり、メールに目を通す暇もないんだろうなあ、と
思ったりする。

でもその一方で、ニュース報道を見ていて、どこか違和感を感じて
しまう自分もいたりするのである。
私がどこに違和感を感じるのかといえば、その報道姿勢に対して、
である。

今日、昼前に東京でもはっきりと揺れのわかる余震が起きた。
震源地付近では震度6という、大きな揺れである。

また、午後には家族3人で土砂崩れに巻き込まれた乗用車から、
2歳の男の子が奇跡の生還を果たした、ということを各局揃って
生中継をし続けた。

もちろん、男の子が奇跡の生還をしたことは喜ばしいことだし、
その一方で母親がお亡くなりになったことは痛ましいことだと
思う。そして今はまだ安否の確認は取れていないけれど、娘さん
も助かっているといいな、と心底思う。

でも、その救出現場をずーっと見続ける事に対して、なぜか私は
抵抗感を感じざるを得ないのである。

それがなんでなのか、はっきりとはわからないんだけど、
なんとなく、TV局としてはいい画がとれているという思惑があり
そうな気がするのが、嫌なのかもしれない。

ここでいう、いい画とは、視聴者をひきつけ、チャンネルを変え
させないだけの、説得力のある画の事である。
もちろん、子供が奇跡の生還をする瞬間というのは、TV映像と
してもとてもニュースバリューのあるものだと思う。
視聴者の多くは、その画像を是非みたいと思うものなのかもしれ
ない。

でもね、その一方でこうも思ってしまうのである。
もしもこの事故が、全く映像にもできない状況下で報道されたと
したら、果たしてここまでの時間を割いて報道したのかな、と。

そしておそらくは明日以降、この奇跡的に助かった男の子と、
犠牲になってしまった母親の物語が、いろんな角度でストーリーと
して流通するんだろうと思うのである。

でも、そのニュースがここまで大きく報道されるきっかけになった
のって、たまたま映像化できたから、なんじゃないのかな。

そこには、報道側の、おいしい画がとれている、という欲望も含ま
れているし、画面のこっち側では、そういうおいしい映像を見たい
という視聴者側の欲望も含まれている気がするのが、なんとなく
嫌な気がするのかもしれない。

もちろん私も、一視聴者として、地震のせいで道路がぐちゃぐちゃに
なっている映像を見れば、目を離せなくなるし、救出している様には
よかったなと思うし、母親が亡くなったことについては胸を痛める。

でも、ニュースってそんな風に、視聴者の感情を動かすかどうかで
価値が決まってしまっていいんだろうか、という気がどうしてもして
しまうのである。

震災後、田中真紀子が被災地を訪問している姿がニュースとして大々
的に報道された。
確かにそこが地元の田中真紀子が、地元民とどう接触するのか、とい
うのは、ニュースとして価値はあるし、画にもなるのかもしれない。

でも、その時の田中真紀子に、自分の姿がどうカメラに映り、報道
されるか、ということに対しての配慮がなかったとは思えないので
ある。
もちろん、彼女は女優出身の代議士であるということを差し置いても
それをニュースにするよりも大切な事があるんじゃないのかな、と
いう気もするのである。

もしもね、メディアがただ単に報道するだけの姿勢で望んでいると
いうのなら、たとえば義捐金の応募窓口であるとか、ボランティア
募集の窓口の報道を、ニュースの端々にしのばせるという配慮だって
できると思うのだが、そういう姿勢はあまり見られないと思うので
ある。

などと偉そうに言っていて、お前はどうなんだ、といわれそうなので
このサイトがどれほどの役に立つのかはわからないが、念のため、
地震関連のサイトを、紹介しておく。

新潟県中越地震情報リンク集。

新潟中越地震 募金活動情報

平成16年(2004年)新潟県中越地震の情報



2004年10月25日(月) 芸術の秋よりベトナム料理

という事で渋谷の文化村で、絵画鑑賞という高尚な趣味を発揮してき
た訳ではあるが。
美術館を出た途端にあまりに寒く、小腹も空いてきたのである。

で、カラダをあっためたいけど、ガッツリ食べたくもないなあ、と
思って、スープストックトーキョーにでも行こうかと思ったんだけど、
渋谷のどこにお店があるのか、結局わからず。
(JR渋谷駅の新南口というちょっとへんぴな場所にあったらしい)

こういうとき携帯で調べてもお目当ての情報にたどりつけないと、
なんか損した気になるわけであるが、だったら東急東横店のデパ
地下のイートインにベトナム料理があったけなあ、という事に気が
つき、試しに入ってみたのである。
ちなみに店名は「サイゴン」

行ってみるとAセットとBセットというのがあり、Aセットは、牛肉、
鳥肉、豚肉のフォー(汁ビーフン)に揚げ春巻きと蒸し春巻きがついて
いるので、それにしてみる。

で、結論から言うと結構おいしかったので、個人的には◎。
フォーって、いわばあっさりとした麺料理なんだけど、ラーメンの
くどさを敬遠したいときに食べたい麺料理としては、結構いいので
ある。

フォーが気軽に食べられるお店としては、新宿ルミネにあるベトナムアリス をよく利用しているんだけど、こっちでも個人的には全然OKって
感じかもしれない。

という事でお腹におさめた事でようやくカラダも温まり、芸術の秋でも
あるけれど、やっぱり味覚の秋だよなあ、とありがちな結論に落ち着い
た次第である。



2004年10月24日(日) グッゲンハイム美術館展

日曜日、渋谷の文化村へ、グッゲンハイム美術館展を見に行ってきた。
グッゲンハイム美術館は、ニューヨークにあり、グッゲンハイムとい
う人のコレクションを飾ってあるらしい美術館である。

最近ちょっと絵画づいていて、ある人から結構いいらしいと言われた
ので、オススメに従って行ってみたのである。
どうせだったら、いい絵(といわれている絵)を一度まとめて見てみた
かったし。今はほら、芸術の秋でもあるわけだし。

という事で見に行ってきたわけであるが。
結論から言えば、好きな絵もあればそうでもない絵もあり、という感じ
だろうか。

副題にルノアールからウォーホールまでとあるように、
19世紀の印象派から、20世紀のポップアートまで年代ごとに並べてある
んだけど、個人的には印象派の完成された絵よりは、20世紀はじめ、
というより第1次大戦と第2次大戦の間に描かれた絵が特に興味深く。

つまりその頃って写真技術が発達する一方で、第1次大戦、世界恐慌、
共産主義、ファシズムの台頭という今まで比較的穏やかだった時代とは
比べ物にならないほど激動の時代だったわけで、そういう歴史上の出来
事が、彼らの絵にも影響しているんだろうなあ、と想像しながら見て
みると、結構面白かったのである。

ちなみに今回私が興味をひかれた絵はというと、
ピカソの黒いマンティーラを掛けたフェルナンドという肖像画と
ロベール・ドローネの「都市」って絵と
キリコの穏やかな昼下がりって絵と
ジャン・デュビュッフェの幸運の瞬間って絵と
ピエール・ボナールの庭に面した広いダイニングって絵と
シュールレアリスムの何とかっていう絵(爆)

でもそれらの絵に共通するのってなんだろうなあと思ったら、
たぶん、二次元のキャンパスの中に空間的な広がりを感じる絵が好き
なんだろうなあ、という事に気がついた。
だからといって自分の部屋に絵を飾ろうとは思わないし、それがどう
したって感じなんだと思うのだが。

でも、もしもニューヨークに行く事があったら、その美術館に行って
もう一度同じ絵に再会するっていうのも面白いかも



2004年10月23日(土) 新潟大地震

土曜日、新潟で大きな地震があった。
マグニチュードは6.8とそんなに大きくなかったにも関わらず、
震源地が浅かったためなのか、震源地付近では震度6強という
大きなゆれだったようで。

ちなみに震源地付近の中里村には大学時代、合宿でさんざん
通っていた所なので、民宿のおばちゃんたちは平気だったの
かなあ、とか、これが積雪のシーズンだったらもっと大変な
事だよなあ、などと思いながら、TVをつける。

実は東京の、うちの仕事場でも、ものすごい揺れで。
しかもその時間、患者さんの施術の真っ最中だったので、
ストーブやら近くの家具などが倒れてこないか、必死に目で
確認しつつだったんだけど。

でもその後患者さんとも話したんだけど、日本人って、
こういう時地震慣れしているからなのか、パニックにはなら
ないよねえ、という話になり。

もちろん、震源地付近の震度6強という、立ってられないほどの
地震の場合には、冷静ではいられなかったんだろうとも思うの
だけれども。
被災にあって今不自由な生活をされている方々には謹んで
お見舞いを申し上げます。

それでも多くの方々は、地震の最中にあっても、最善の努力が
できるように、日本人って刷り込まれているんだろうなあ、とも
思うのである。

で、そんなことを思う間もなく、東京にも断続的に大きな揺れが
来て。大きな余震を東京で感じる事自体が今までにない経験だった
ので、これは大事だろうなあ、と感じ始めたのである。

実は、その時やっていた患者さんが、前橋から来ている人で、
上越新幹線に乗ってやってきた人だったので、帰りの新幹線、
動いてますかねえ、という話になり、そのままTVをつけたまま、
施術を再開し。

時間が経つたびにだんだんと情報は寄せられてくるんだけど、
交通情報はなかなかこないなあ、と思っていたら、上越新幹線
が脱線して不通になっているというニュースが飛び込んできて。

以前、阪神大震災の時も、たまたま朝早く起きていた時に第一報
を聞いて、それからニュースが増えていくたびにこりゃ大事だ、
ということがわかり、その時たまたま父親が関西地方にいたので
大丈夫かなあ、と思ったことを思い出したのである。
ちなみに父親はその日に何事もなかったように大阪から帰って
来たのであるが。

患者さんとは、新幹線に乗っているときじゃなくてよかったです
ねえ、とかたまたま今日治療に来る日にこんなことになるなんて
ねえ、と言っていたんだけど、今日の報道特集では、高崎の手前の
トンネルで止まってしまった新幹線の社内映像が流れていて、
実際トンネル内では携帯電話がつながらず、停電して心細い時間
を過ごされた方も多かったようで。

それでも袖すりあう仲も他生の縁というか、携帯電話を貸し借り
しあったりなさってたようで、こういう時の日本人っていいよなあ
と思ったり。

実際、新潟地方には同級生など知り合いもいるので、自分にできる
事があれば、何かしてあげたいなあ、とも思うのであるが。
結局その時施術していた患者さんは、治療が終わったあと、
どうやら長野新幹線は動いているらしいということがわかったので
腹ごしらえを一緒にして東京駅へと向かわれたのであるが、
無事に帰れたのかな。

という事でまだあまり気持ち的に整理がつかないのでまとまりなく
書いてしまいました。



2004年10月21日(木) 「恋の門」

今日は映画ネタ。
今日紹介するのは、「恋の門」

この映画、一言で言うなら、今年見た中で一番の映画かも?
である。

監督は、劇団「大人計画」の松尾スズキ。
主演は酒井若菜、松田龍平。

物語は、石を使ってマンガを作る石漫画家、青木門と、OLしながら同
人誌活動をしているコスプレイヤー?の女の子、証恋乃の恋愛物語な
んだけど、そこに、マンガバーのオーナーで元売れっ子漫画家の、
毬藻田(松尾スズキ)が絡んできて、というちょっと変わった物語。

でもね、この作品、
これほど現代の恋愛をうまく捉えて、お洒落?にしている映画もない
んじゃないかな、と思うのである。
というより、この映画を評してお洒落といっている段階で間違って
いるのか?俺?という映画なのだ。

ま、果たして私の感覚が間違っているのかどうかは、映画を見て判断
していただくとして。
でもね、なんというか、画面を通して、とてもパワーを感じる映画
だよなあ、と思うのだ。

ストーリーとしては、正直ついてこれない人もいるかもしれないが、
今の時代、ここまでパワフルで直球投げ込むような映画も珍しいん
じゃない?という感じかも。
なんか、自分の中でも石が割れた感じなのである。

そしてそのヒロインを、文字通り体当たりで演技している酒井若菜も
偉いなあというか、すごくいいのである。
これが酒井若菜の代表作、といわれたら本人も微妙かもしれないけれ
ど、作品中の酒井若菜はよかったと思います。
というよりは、酒井若菜の魅力にやられているだけか?俺。

でも、フランスあたりで上映したら意外とヒットして、それで話題に
なりそうな映画かもしれない。

なんか1昨年に映画「ピンポン」を観て以来の邦画としては個人的に
ヒットの作品である。
もう一回映画館に見に行ってもいいかも。
レンタルだったら是非オススメ、の映画である。

それにしても、(以下ネタバレにつき、見たい人だけ要反転ドラッグ)
平泉成と、大竹しのぶのコスプレ姿が拝めるとは・・・しかも、それが
イデオンのユウキコスモってまた微妙なネタで。
他にも庵野カントク夫妻やら、小日向文成やら、市川染五郎やら、
やたら豪華?なカメオ出演があったり、豪華で言えば、劇中のあのア
ニメは、エヴァンゲリオンの庵野監督の演出、メカデザインでガイナッ
クス製作だったりとか。なんかもうどうでもいいところが豪華な感じ
の映画でした。でもみんな松尾スズキの事が好きなんだろうなあ。



あ、ちなみに、
エンドクレジット終わった後にも、おまけ映像?があるので、最後
まで席を立たないほうがいいかも。



2004年10月20日(水) 台風

どうやら今年10個目の上陸だそうで。
でも、自分の日記を読み返してみると、今年って5月にはもう1個目が
やってきていたんだあ、という事に改めて気付いてビックリである。

こういうときに日記に書いてあると、思い返せて便利だなあ、って
感じかもしれない。

なんてことを思っていたら、どうやら台風24号が発生し、またまた
来週には本土に接近するようで。
なんか本当に今年の10月は雨だけで終わっちゃいそうだなあ。

実りの秋、スポーツの秋もどこへやらである。



2004年10月18日(月) ラストクリスマス第1話

日曜日、部屋の片づけをした時に、遅ればせながら録画しておいた
織田裕二主演の月9ドラマ「ラストクリスマス」を見る。

うーん、個人的にツッコミどころ満載。
「Baddreamfancydresser」のReikoさんも書いていたけれど、この
番組に魅かれる30代男性は多いだろうなあ、というのが一番の感想
かもしれない。

なにせ、独身で仕事をちゃんと任されていて、仕事場には自転車で
いける距離で一人暮らししていて、パスタをゆでるとベランダのバジル
を摘み、隣には若く事情のある会社の同僚が引っ越してきて、しかも
自分はそうは思っていないけど、自分の事を好きな女の子もいて、モテ
ないわけではないという、花の男子負け犬生活。

もしかすると男としては理想の生活なのかも。
しかも、つい最近婚約解消した理由の中には、現在脳梗塞後遺症に
悩む(と思われる)母親の介護問題もあり。
つまり、自分が悪いわけではない、という理由まで揃っている。
いや、完璧。

でも、なんというか、
そこまで理由をつけないと30代独身男性は恋愛物語の主役をはれない
のか、と思うと複雑な気持ちにもなり。
今回の、この織田裕二演じる主人公の場合、全部、他人のせいにしよう
と思えば思えちゃうんだよね。

今回のヒロインに関しても、たまたま見た彼女のビデオテープで、彼女
が難病だと知ったことが、物語のきっかけなわけだし。
つまりあくまで受身で、情にほだされたからこそ、恋愛に落ちるって
いうのもなあ、などと思うんだけれども。

でも、織田裕二の恋愛ものって、今までTBSで随分前にやった常盤貴子
と共演した奴(タイトル忘れた)にしても、彼女に事情があって、とか
そういうのが多いような気もするし、この辺は織田裕二のアイデアなの
かもしれないけれど。

でもさ、仕事で、わざわざヒロインの好きな相手との仕事で便宜を
与えてあげたり、その女の子を部屋に呼んで、10万年前だかの氷河の
氷をわざわざ持ち出して飲ませたり、それはもう、あなたの中で恋は
はじまっていて、口説きモードに入ってますから!!!
という気もするんだよね。

だったらゴチャゴチャ言わずに、もう好きな気持ちを前面に出しちゃえ
ばいいのに、と個人的には思うのだが、もしかすると世の独身30代男性
は、そうは思わないのであろうか。
おそらくはこの方が理想の展開なんだろうな。

でも、とりあえず、もう伊原剛志とりょうは失恋決定で、森山未來は
あっさり捨てられそうなので、果たして玉木宏がワケありそうな片瀬
那奈の気持ちをゲットできるのかどうかに個人的には期待、って感じ
だろうか。←結構ハマっている人。

あ、あともうちょっとちゃんと部屋は片付けとこうと思いました。



2004年10月17日(日) 「フォルクス」のゆくえ

うちの近所には、「フォルクス」というファミレスがある。
普段の私は、ファミレスはなんか割高のわりにおいしくない、という
印象もあって、あまり利用はしないんだけど、ここはうちから近く、
またスープバー、サラダバーというサービスがお気に入りという事も
あり、時々利用をしている。

先週、「フォルクス」の親会社であるダイエーが産業再生機構活用を
決定したため、今後はダイエーが食品スーパーに特化するという噂
もあり、その場合、うちの近所の「フォルクス」はどうなってしまう
んだろうという興味もあり、久々に入ってみて、驚いた。

何が驚きだったのか、といえば、店員さんの接客態度が、目茶苦茶
丁寧で親切に変わっていたのである。

私はノンスモーカーだが、別に禁煙、喫煙席に関してはこだわりは
ないんだけど、赤ちゃん連れのお客さんに対しては、禁煙席でも
喫煙席よりではなく、禁煙席の奥の方を案内する徹底ぶりである。

しかも、前のお客さんがその奥の席を立った直後の場合、一時別の
席に案内して、そこが片付き次第、そこにお客さんを案内をする。
他のファミレスチェーンでも、ここまで客案内を徹底しているお店
って見たことないし、このお店でも前には気付かなかった事である。

また、もう一つ驚いたのは、以前はスープバー、サラダバー、ドリン
クバーは、メインディッシュのオプションとして別に注文しなければ
ならなかったのに、今ではサラダバー、もしくはスープバーをメイン
にデフォルトでついているのである。

しかもスープバーのカップに関しては、お代りの時には新しいカップ
をお使いください、というアナウンス付き。
これは私を担当してくれた店員さんの機転だったのかもしれないけれ
ど、なんかサービス徹底しているよなあ、と思ったのである。
もしかするとスーパーバイザーがいて、サービス強化週間だったのか
もしれないが。

でも、親会社から切り離される可能性が高まったことで、外食チェーン
のフォルクスとしては、やはり生き残りに賭ける気持ちっていうのも
あるんだろうし。

今のうちの近所のフォルクスというテナントは、マンションビルの中に
組み込まれている形なので、もしもフォルクス撤退後も、他のファミレ
スチェーンが入居するんだろうけど、ビルディあたりが入るんだったら
できれば今のまま、フォルクスに入っていてほしいなあ、などと思うの
である。
やっぱりスープバーは私にとって魅力的だし。
たまにあそこのコーンポタージュスープが飲みたくなるのである。



2004年10月16日(土) イチロー自ら語る

Number613号は、欧州サッカー特集なんだけど、262安打を打った
イチロー選手のインタビュー記事も載っている。

そこで、シスラーの257安打に並ぶ直前の、イチロー自身の記録達成に
対するプレッシャーについて、イチローが語っているのが興味深い。

「あの日、1打席目の打席に入る前、すごく緊張している状態で、自分で
普通じゃないというのがわかったんです。オークランドであと1本に
なってからの3つの打席でヒットが出なかった、そのことがプレッシャ
ーを与えるであろうことは明らかでした。ですから、シアトルでの1打
席目がすべてを決めると思っていたんです。そこでもし1本がでなけれ
ば、どんどん苦しくなる。ひょっとしたら、3試合で1本出るかどうかも
わからない・・・そこまで思っていましたから、その1打席目というのは、
普通ではいられませんでした」


果たしてイチローは、その1打席目であっさりシスラーに並んだ訳だが
その打席について、それがどれだけ苦しかったのかを語っているので
ある。詳しくは雑誌を手にとっていただくとして。
やっぱりイチローも人の子なんだよなあ、という当たり前の事を思った
わけですね。


ちなみに今季のイチロー選手、7月以前の打率が.315に対して、7月以降
が.423。
その好調の原因について、7月にバッティングフォームを変えたことに
あると指摘したインタビュアーの石田雄太に対して、イチローがこう
答えている。

最初はスタンスだった。
7月1日、シアトルでのレンジャース戦。試合前のバッティング練習でバ
ットを握ったとき、イチローの体が、突然、ある試みを要求してきた。
「球場に着いて、バットを握って、ケージの近くにいった時、ふと、右
足を少し引いた状態で構えてみようと思いました。そうしたら懐が広が
って、ピッチャーとバッター、ボールの三角形を今までよりも立体に見
ることができた。新鮮な感覚でしたね。そこで、右足を引いた状態のま
ま、今までのように背筋を伸ばそうとすると、スタンスが狭くなる。
最初はそこだったんです。僕はボールを線で捉えるバッターなので、そ
の線にいかに早く入れるかどうかということが大事になってきます。
頭ではその線に入っているはずなのに、体とバットがその線にキッチリ
と入ってこられない。それがミスの原因になっていた。それが、その三
角形を立体的に見ることで、線に早く入ることができる感覚を得たんです」(略)

「最初にその感覚を得た7月から、僕の中では何も変わっていない。でも
その頃とシーズンの最後の頃は全然形が違うんです。ビデオで見ました
けど、明らかに違う。でも、僕の中ではまったく変わらない。とにかく
構えた時、気持ちいいんです。おもしろいのは、今の自分のフォームを
見たら、子どもの時に戻っているんですよ。小学生の時のフォームに戻
ってる。感覚もそれに近いんです。子どもの頃はストレートしか投げて
こなかったし、そういう感覚も当然だったかもしれませんけど、プロに
入ってからはどの球もヒットにできるなんて感覚にはなかなかなれませ
んよね。なぜそうなったかというのは、想像でしかないんですけど、
子どもの時って、純粋に自分の体を使っているんです。余計なものは
何もない。自分が一番気持ちいい形でバットを振っている。それが大人
になるにつれて、純粋じゃなくなってくる。それによっていろんな思考
も生まれてきてしまうんでしょう。(略)」


子供の頃の感覚が今でもわかるというイチロー選手はスゴイという気も
するが、でもそういう感覚って、ある時突然思い出したりするものなの
かもしれないな、と思うのである。

でも、イチロー選手って、元々自分の型にこだわる選手なんだけど、
それがバッティングフォームではなく、気持ちの型とでも言うべき
ものに変化しているっていうのは、興味深い。
つまり、自分自身の中にしっかりとした芯が通っているって感じなの
かもなあ、とも思うのだ。

ちなみに自分の今後について、最後にこんな言葉も残している。

上り詰めれば、孤独が待っている。
30歳にしてこれだけのことを成し遂げてしまった今、イチローはいった
い、どこを目指していけばいいのだろう。

「すぐそうやって言われますけど、何かを追いかけてた時も、きっと
凄いんだろうな思ったものが本当に凄かったことって、あまりないん
ですよ。(略)

だから、人と比較をするという価値観は僕の中からはもう消えていま
す。僕は僕の能力を知っていますから、いくらでも先はあるんですよ。
人の数字を目標にしている時というのは、自分の限界より遥か手前を
目指している可能性がありますけど、自分の数字を目指すというのは、
常に限界への挑戦ですから。メジャーで感じる孤独感なんて、最高じゃ
ないですか(笑)。

一つだけ言えるとしたら、メシのタネに野球をやっている選手では、
絶対にここまでは来られないと思います。野球が生活の手段になって
しまったら、もっと前に進みたいという気持ちは消えてしまいますから
ね。こちらでも、野球が生活の手段になってしまっている選手はムチャ
クチャ多い。そうなないと感じさせてくれるのは、ティム・ハドソン、
マイク・スウィニー、マイケル・ヤング、バーニー・ウィリアムス。日本
なら松坂大輔、上原浩治、あとは坪井智哉・・・・・・順不同で(笑)」


うーん、メシのタネというのは、耳が痛いところではあるが。
でも、そういう気持ちを持ち続けていけるというのも、才能なんだと
思うのである。
イチローになれることはできなくても、そういう気持ちで仕事にあたる
人間でいたいものである。



2004年10月14日(木) プロ野球再編問題

さて、新規参入騒動改め、プロ野球再編問題。
果たしてライブドアか、楽天のどちらが仙台のフランチャイズ権を
得ることができるのか、という問題。

今までの両者の流れを見ていると、とりあえずお互いに仙台とした
事で、メディアに取り上げられる構図としてはわかりやすいんだろう
なあ、って事と、両社長ともどうしてこうも同じ時期に同じ事をやる
んだろうなあ、というのが見ていて興味深い。

なぜ?彼らは同時期に、仙台はともかくとして、山形、岩手など
行く場所がかち合うんだろうか。
どっちかが相手の動向を敏感に察知して足並みを揃えているわけでも
あるまいに。

ついでに、堀江社長の日記を読む限り、今まではなんか世界中を
忙しく飛び回っていたのに、最近はプロ野球問題にかかりきりで、
本業の企業買収とか提携とかは大丈夫なのかなあ、といらぬ心配を
してみたり。

おそらくはベストエフォートというか、こうすれば問題解決になり
ますという一種の正解があって、それに基づいて行動していると、
自ずと行動は似通うのかもしれない。

以前堀江社長が、新規参入問題に関して、隣の席にいる受験生は
ライバル視しないでしょ、と言っていたように、この問題を受験と
考えれば、今何をすべきか、という問題設定はお二方とも得意なんだ
ろうし。
さて、結末はどうなるんだろうか。

でも、結局今までメディアを通してわかってきたことといえば、
ライブドア、楽天とも親会社の経営状況、そして新規参入に対する
意気込みとも、大きな違いはないという事であり。

この両者からどっちかを選択しなければならないとしても、どっちを
選ぶにしても、はっきりとした理由をつけるのは難しいような気もする
のである。

強いて言えば、楽天の三木谷社長の方がオヤジ受けするという事と、
ライブドアのBlogにアダルトカテゴリーがあるということ位で。。
ま、実際選ばれるとしたら、その些細な違いになるのかもしれない
けれど。

などとのんびりと思っていたら、昨日、10/13日にダイエーが産業再生
機構活用になり、そして堤西武ライオンズオーナー兼コクド会長が
全役職を辞任なさるそうで。

はてさてこれでまたどうなるのか面白く、いやわからなくなってきた。

ダイエーの問題は、金融庁と経産省の綱引きだったらしいけど、
プロ野球にとってみれば、この新規参入問題に片をつけなきゃいけない
この時期に、ダイエーホークスをどうするのか、という問題が再び
現れるというのも興味深いところであり。

はたして仙台のフランチャイズを取れなかったところがホークスの
買収に回るのか、それとも両者ともダメで、ロッテがホークスを吸収
合併という規定路線に戻るのか。

たとえば堤オーナーの西武ライオンズ球団は、どちらのシナリオの
場合には、球団を持つという情熱をなくして、あっさりと手放して
しまうのか。

そして1リーグ化推進の盟友を失ってしまったナベツネ元巨人軍オー
ナーは、あくまで楽天のゴリ押しをするのか、それとも福岡ホークス
を丸々三木谷社長に渡すのか。

はてさて、今後の展開やいかに。



2004年10月12日(火) 人体の不思議展ふたたび

月曜日に、人体の不思議展に行ってきた。
去年も一回行っているんだけど、今回はポスターにも出ている
全身の血管標本(といっていいのか?)が新たに加わったようなので、
ぜひ本物を見てみたかったのである。

で、早速いってみると・・・
なんか去年も人多いなあ、と思っていたけど、今年は祝日という事も
あってか、更に人が多いようで。
チケットを買うときに隣のビルで行列に並ばなきゃいけない時には
ちょっとびびったけど、意外にさくさくと行列は進み、中も入り口
付近(というより標本のつくり方とか挨拶とか笑)はすごく混んでいた
んだけど、奥の方は意外にゆっくりと標本を眺める事ができた。

で、展示物自体はほとんどは昨年と同じ標本が多く、新しいのは、
件の全身血管標本くらいで。
でも、肺、肝臓、腎臓あたりはくっきりとその形がわかるほど、血管が
集まっているあたりはすごいなあ、と思うのである。
あ、あと、某海綿体の付近とかね。あそこも形がはっきりとわかりまし
た(笑)。

その後、丸ビルまで足を伸ばしてクアアイナ でハンバーガーを食べて
きたんだけど、その前にちょっと有楽町のビックカメラをのぞいて
みたら、PSXの160GBで44000円位、250GBで57000円位で売っており。

どうやら年末には新製品が出るとはいえ、また随分と安くなっていて。
ちなみに我が家のPSX は、現在も快調に動いており、HDDは一回満杯に
なりかけたが、その後こまめにDVD−Rに落としたり、これは今後2度と
みないだろうという番組はあっさり消して事なきを得ている。

ちなみにゲームも地道に?やっていて。
うちには中古で安かったという理由だけで買ってそのままにしていた
ゲームもそこそこあり、今の状態を母親が見てたら、ホントにアンタ
は買って買ってとせがむくせにちっともやらないじゃない状態(爆)
だったので、今はせっせと在庫処分?しております。



2004年10月11日(月) 溺レる

ちょっと前にマンガならではの恋愛物語を紹介したので、今回は
小説ならではの恋愛物語ネタ。
今回紹介するのは、川上弘美の「溺レる」

この小説、一言で言うなら「官能小説」である。
かといって、緻密な性の描写がそこにあるわけではない。
具体的な行為については、なにも記されているわけではないのに、
行間から漂ってくるものは、とてもエロティックなのである。

たとえば、

ナカザワさんはおおいかぶさり、揺らし、止まり、旋回し、自在に
する。考えたいのに考えられなくなる時間がくる。られない、などと
いうことは、あるわけがないのに、ほんとうに、られない、ように
なりかける。なりたくてしかたないので、限りなく、られない、に
近づく。られない、そのものではなくても、られない、に、一番近い
ところまでいってしまう。

わたしの顔が公式にしたがうがごとくゆがむころ、ナカザワさんは動き
をゆるめてわたしを凝視する。
(「可哀想」)


なんていうのかな、その文章に描かれている身体の鼓動が、本を読んでいるこっちにも伝わってくる気がするのだ。

川上弘美は、前に「神様」を読んでいて、淡々とした中で面白い発想ので
きる人なんだなあと思っていたんだけど、淡々とした中にエロティック
な事も書ける人なんだ、ということをこの短編集で知ったのである。

もう一つ、この「溺レる」の魅力について語るのなら、この小説に出てく
る人たちが、みんな生きていることだと思う。
百年前に死んでしまった人の霊魂ですら、生きている感じなのだ。

生きているからこそ、食べ物をむしゃむしゃ食べたり、どこかだらしな
かったり、何かから逃げたりする。
そこに完全無欠で完璧な人間は登場しない。

でもだからこそ、読んでいてどこか安心するのかもしれない。
人間、理屈じゃないんだからよう、と言われているような気がするので
ある。

そしてこれは小説という形だからこそ描けるものなのかもしれないな、
とも思うのである。
久々に、とびきりいい小説に出会った感じである。



2004年10月09日(土) 台風直撃

そんな訳で台風である。
なんでも関東地方に上陸する台風としては史上最大規模だとの事で。
今日は仕事がキャンセルになったり、その後台風だから暇だろうと
思ったのか、仕事の予約が入ったり、その後さすがの強風でためら
ったのか、仕事がキャンセルになったりと、なんだか台風同様に
あわただしい一日だった。

で、結局、台風前にとっとと家に帰ろうという当初のもくろみは
大きく外れ、仕事場を出ようと思った時にはものすごい風雨だった
のである。

で、どうせだったら史上最大規模の風雨を体験してみるのも、
それはそれで面白いかな、と腹をくくって帰ろうとも思ったのだが、
いざ実際、外に出るとあまりの風と雨の勢いの強さに、生命的な
危険を察知したので、仕事場に逆戻り。
そのままやり過ごすことにしたのである。

結局1時間ほど経ち、7時くらいになったらとりあえず雨は小止みに
なったようなので仕事場を出て、家路につくことにした。

でも、台風が過ぎた直後の東京というのもなんだか不思議な雰囲気
で。
土曜の夜で、雨もやんでいるのに、人があまり歩いていなくて、
とても静かなのである。
というより、本当ならそれが当たり前なのに、都会に住んでいると
感覚が変わっちゃうんだなあ、なんて思うのである。

でも、こういう静かさに満ちた雰囲気ってのも嫌いではなく。
台風という、大きなイベント?を個人的には大きなトラブルもなく
やり過ごしたという安堵感に満ちているような、そんな雰囲気に
感じたのである。

なんて事を思いながら、人の全然いないデパ地下で投売り状態だった
お惣菜を買って帰ってみると、実はやはり色々と大変だったようで。


以下は、NHKのサイトの鉄道運行情報のコピペ(原文そのまま)


▽JR中央線の快速電車は4ツ谷駅(原文ママ)付近で、のり面の土砂が崩れたため、東京と新宿の間で不通になっているほか、JR総武線の快速電車も、地下にある馬喰町駅の構内で線路が水につかったため、東京と千葉の間で不通になっています。
▽埼京線も池袋と板橋の間で線路が冠水し、埼玉県の大宮と東京の大崎の間の全線で不通になっています。



4ツ谷駅…。



2004年10月06日(水) 地震?

水曜日の夜11時ごろ、関東地方で結構大きな地震があった
らしいんだけど。

ちょうどその頃、
私は友達と酒を飲んでへべれけのでろんでろんになって帰る途中
だったので、全く気がつかなかったという。

うーん、平和だ?



2004年10月05日(火) F1でBARホンダが強いわけ

Number612号は、F1日本GP直前特集である。
スポーツ雑誌Numberで、F1が巻頭特集になるのは、久々なんじゃない
のかな。
そしてその人気を支えているのが、ホンダエンジンを搭載するBARチー
ムと、そこに所属する日本人ドライバー、佐藤琢磨の好調ぶりだろう。

佐藤琢磨は、3年前のイギリスF3チャンピオンであり、昨年はテスト
ドライバーとして過ごし、今年よりF1に本格復帰、マシントラブル、
リタイアも多いものの、アメリカGPでは日本人としては14年ぶりに
3位表彰台に上り、その走りのスタイルのファンも多い注目株なので
ある。

そんなBARホンダチームの好調ぶりについて、ホンダの福井威夫社長の
インタビューが面白い。
以下、少しだけ引用すると、


海老沢 なるほど、それでわかりました。F1というのは技術力だけで
    勝てる世界じゃありませんからね。たとえば、いい車体を作ら
    せるにしても、結局はそういう交渉の力がものをいう。本気で
    それをやりはじめたという事なんですね。

福井  そのとおりです。一番大事なのは、価値観が同じになること
    なんですよ。1年目に1位は無理でも、3年目に1位を争うように
    ならなきゃしょうがないだろうとホンダは思っていました。
    だから、その目標を共有しようというところから始めたんです
    が、2年目、3年目になって、これはどうやら共有できていない
    ということがわかったわけです。

    それで散々議論をして。さっき言ったような価値観が一緒に
    ならない限り、もう来年で終わりですとチーム側にもいいま
    した。もうホンダは撤退しますと。そうすると、じゃあどう
    すればいいんだと聞いてくるから、(3本指をだして)これだと

海老沢 トップスリー?

福井  トップスリーです。そうすると彼らは、それはインポッシブル
    だと言うんだよね。だけどこっちとしては、インポッシブルも
    ヘチマもあるかと。そうならなきゃやめるぞと。結局、追い詰
    めたわけです。タイヤも、ドライバーもBARで選んでいいと。
    自分たちで選ぶということは、言い訳できないということです
    からね。

    言い訳なしで追い詰めて、それでようやく目標というか、価値
    観を共有できた。そこからスタートしたのが今年なんです。そ
    れで2戦目にバトンが表彰台に上った。

    去年に比べると、そういう意識の違いは大きいでしょうね。こ
    れまでは3位になって大喜びしているチームだったのが、やっ
    と3位になって悔しがるチームになりました(笑)。(略)

海老沢 それはますますすばらしい。実際、ヨーロッパグランプリなん
    かの琢磨の走りはすごかったですからね。2位を走っていたバ
    リチェロを抜こうとコーナーに突っ込んで弾き飛ばされた―。
    あのとき3位になれるチャンスがあったのにわざわざ突っ込ん
    で行ってフイにしたのか、というようなことを言っている人が
    結構いたんですよ。信じられなかったですね。わかってないな
    と。

福井  私もそう思います。あの走りはよくやったと思いますよ。

海老沢 あそこで3位を狙いに行くようでは第一級のF1ドライバーにな
    る資格はない。

福井  そうなんです。私も現場でそれを言い続けています。もちろん
    ポイントを獲ることも大事ですから、最後は自分の判断でどう
    するか決める。でも、琢磨は唯一のチャンスでも狙っていくん
    だという姿勢を見せましたしね。



ここで興味深かったのは、ホンダ側があくまで勝利を望む姿勢を崩さな
かったことが、トップ3以内は不可能だったと思っていたイギリスの
BARF1チームを変えたということと、もう一つ、最後は自分の判断でど
うするか決める、という事をドライバーの佐藤琢磨にも要求していたと
いうことだろう。

そして実は同じ事を、現場のプロジェクトリーダーも語っているので
ある。


「ホンダ流のやり方で取り組んだ結果です」と、ホンダF1プロジェクト
リーダーの木内健雄は言う。"ホンダ流のやり方"。懐かしい言葉だ。
これまで本田技研工業トップの座に就いて来た人達の多くは、若い頃に
レースを体験してきた。(略)彼等がレース時代を振り返って頻繁に口に
するのが、「ホンダ流」という言葉である。では、「ホンダ流」とは一体
なんだろう。

「がむしゃらにやれ、ということかもしれません。周りや上司の顔色を
見ないで、自分のやることに信念を持って突き進め、ということでしょ
う」と、木内。木内は第2期F1グランプリ挑戦で、アイルトン・セナの
エンジニアを務めたベテラン技術者だ。エンジンのエキスパートでも
ある彼だが、現在は第3期F1プロジェクトの総帥として、"ホンダ流"の
やり方を貫き、結果を残し始めた。



結局は、自分の信念を貫き、最終的な判断は自分が下すと責任者が自覚
しているかどうかっていうのが大きいんだろうなあ、と思うのだ。
もちろん、同じように自分の信念を貫き、最終的な判断を自分で下す人
全てが成功をおさめているわけではない。

そこには、間違った信念や判断も沢山あると思う。
でも、成功を自分の元に呼び込むためには、まずは自分の信念をつくる
ということは大事なんだと思うのである。そしてそれがどこか間違って
いるんだったら、そこで修正していけばいいんだし。

そして、同じ雑誌の中で似たような事を、今年からNBAのフェニックス
サンズに所属するバスケットボールプレイヤー、田臥勇太も、NIKEの
広告上で語っているのである。
以下、引用して終わる。


昨年、アメリカではプレイできないという通告はショックでした。
でもすぐにアタマを切り替えないとだめだった。
でも「絶対戻って来てやる」と思った。だから落とされてすぐ練習をはじめた。
日本に帰って来てこちらでトレーニングやってきて
一日一日を頑張んなきゃいけないと自分に言い聞かせた。

自分のこだわっているとこなんですけど、この日が大事だからこの日は
一生懸命やろうではなくて、やっぱり毎日おなじように努力し続ける
ことが自分のテーマ。
「結果より過程が大事」ってずっと思っている。やれば結果はついてくる
ということが、自分に対して証明できたことはうれしい。間違ってなか
ったんだと思う。
まわりからは、けなされ「無理だ」って、言われてた。

でも、他人に自分の限界を決めさせたくなかった。

だから、そこは、耳を塞いだ。強い信念を持って、自分を信じてやるだ
けだった。
小さいからディフェンスの面では、一生懸命プレッシャーかけてやんな
きゃと思ったんだけど、去年はシュートいくのが消極的だった。今年は
それが吹っ切れた。
というかシュートにいかないと、ダメなんです。

身長のことには、こだわらなくなった。身長うんぬんより
「どうやってコートで生きてゆくのか」というのが、わかった。
デンバーで僕より身長の低いポイントガードともプレイできたのも
勉強になった。いろんなヒントが得られた。

大事なのは、身長ではなく、気持ちの大きさだった。

彼らは自信を持ってやっていた。見習わなければいけないなという点
だった。
いまの目標は、ユニフォーム着てワンシーズンプレイすること。
アメリカのプロバスケット選手になることが夢だった。
いざなってみると今度は、次を考えなきゃって、気持ちになって来た。
だから「終わりはないな」と実感しました。
僕はとにかく日本人第一号になりたかった。あとに続くみんなは、

田臥ができたんだから、自分もできると思ってほしい。

どんどんあとから続いて、とにかく日本のバスケットのレベルを上げる
ためのこれはひとつの手段だと思います。一緒にがんばろう。僕もがん
ばるから。

先に、アメリカ、行ってます。田臥勇太



2004年10月02日(土) イチロー新記録

シアトルマリナーズのイチロー選手が、80年以上も破られなかった
メジャーリーグのシーズン安打記録を更新した。
いや、スゴイ。

でも、私が本当にスゴイな、と思うのは新記録という結果をイチローが
残したことではない。
そうではなくて、元々イチローがスゴイんだ、と思うのである。

今年のイチローはそれでなくても記録づくめである。
1シーズン3回以上の50安打は、メジャー記録にもない新記録らしいし。
その他にもバッティングに関しては、枚挙にいとまがない位の記録
ラッシュ。

でも、そのイチロー、去年の今頃は本人曰く、生涯初めてのスランプに
陥っていたのである。
その頃は、今までは当たり前のように打てていたヒットが、どうすれば
いいのかその脱出法がわからない、なんて事を言っていたインタビュー
記事を読んだ事がある。

それが今シーズンは、シーズン初めこそちょっとスロースタートだった
が、その後は記録ラッシュの怒涛の快進撃。
しかもバッティングだけではない。
守備も安定して、レーザービームなスローイングと、広い守備範囲を
誇っていたようである。

30代に入った今もなお肉体的にも成長し続けるイチロー自体がやっぱり
スゴイんだよなあ、と思うのだ。


でも、スゴイのってイチローだけではないと思う。
昨年は苦戦したカットボールを克服して、しかも東京ドームの気圧差を
利用したドーム風の援助のないアメリカで打率3割、ホームラン30本を
達成しようとしている松井秀喜だってスゴイと思うし、田口だって
メジャーと3Aを行ったりきたりしながらも、タフにメジャーリーガーと
して頑張っている。

大塚や高津は、今年初めて行ったメジャーで抑えとして信用されはじめ
ているし、多田野や大家や、長谷川や石井や野茂だって、ケガなどが
ありつつも、メジャーのマウンドで頑張っていると思うのだ。


日本のプロ野球にしたって、昨年から外部からの戦力補強を行なわない
でセリーグのペナントをとった監督の1年目の落合だってスゴイと思う
し、ファイターズだってポストシーズンで観客をわかせている。

そして選手会長の古田は、この激動のシーズンにあって打撃も好調で
通算2000本安打を間近に控えているのである。
そもそも、プロ野球選手としてやっていける事自体、日本の野球人口で
考えたら、一握りの成功者だともいえるわけで。

それはプロ野球に限らず、どんな世界のどんな人だって、ちょっと違う
角度から見れば、みんなどこかスゴイ部分はあるのかもしれない。

などと、話が大きくなってしまったが、記録がスゴイのではなく、それ
を実現する人や、その記録に意味をつける人間、それを楽しむ人間の
文化ってスゴイんだなあ、などと改めて思うのである。



2004年10月01日(金) 忍者ハットリくんザムービー

毎月1日は映画の日。
私にとっては、すごく観たい映画がない時は、通常料金を支払うのは
もったいないけど、ちょっと観てみたい映画を見に行く日。

という事で今回は忍者ハットリくんザムービー。
先月、シュレック2と、どっちを観るか割と真剣に悩んだ作品である。
で、観た感想はというと、正直、先月はシュレックにして正解だった、
である。

なんかねー、いや、頑張っているのはよくわかるんだけれども。
あんまり破綻しない一本のアクション映画としてまとめるために、結局
無理をしちゃったかなあ、という感じ。

まあ、今回映画館で観なかったら、わざわざ借りてみる事はなかったと
思うからいいんだけれども。


でも、前に観たシュレックのDVDのメイキングで、スタッフの人が語っ
ていた話で興味深いな、と思ったのは、シュレックのCGって、無数に
作る事のできるカメラアングルの中から、今までの映画のカメラアン
グルをあえて踏襲する事で、CGのアニメに説得力を増そうとしている、
という話だった。

その話を踏まえていうなら、このハットリくんに限らず日本の映画の
CGって、今までのカメラアングルでできない映像を見せようとして
いる気がするんだよね。
この映画だったら、ハットリくんの投げた手裏剣の視点からのアングル
とか、他の映画でも空を飛ぶミサイルをわざわざ強調してみたりとか。

で、そのアングルって何に似ているんだろうと思ったら、日本のアニメ
の演出方法を、踏襲しているのかな、という気もするのである。
でも、まだその映像は、少なくとも私にとってはこなれていない感じが
否めないのかな、という感じなのである。

アニメはリミテッドのアニメの情報量だからこそ、あの極端なデフォル
メが成立するのかもしれないし。
ハリウッドとは違うCGを目指そうという気持ちは伝わってくるんだけど
ね。


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