パラダイムチェンジ

2003年12月31日(水) 年の瀬

そんな訳で年の瀬である。

結局、12月は2本目の日記となってしまった。
日記の更新をサボってしまった、というよりは、話を上手くまとめ
られなかった、って言う方が近いかもしれない。

個人的な感覚として、落ちがつかないと、文字通り何となく落ち着
かない感じがどうしてもしてしまうのだ。
落ち、といっても最後に笑わそうというのではなく、何となく一つの
切り口で最後までまとまらないと、なんとなーく居心地が悪い気が
してしまうんである。


と、いう事でボヤボヤしている間に、2003年も暮れようとしている。
月日の経つのは本当に早いなあ、と思う。
でも、じゃあ本当にあっという間に1年は過ぎて、その間何もしていな
かったのか、と言われると、そうでもない気がするのだ。

1年365日経てば、365日分の思い出はやっぱりある訳で。
この日記に書いた内容だけでも、この1年間に30本位の映画を映画館に
見に行き、またこの日記では詳しくは触れなかったけれど、この1年間
で60冊位の本を読んだ。

また仕事では、この1年間で数え切れない数の患者さんの身体に触れ
させてもらった訳だ。
そんな風に振り返ってみると、この1年間で私が経験し、学習した事
っていうのは、実は結構すごいものなんじゃないのかなあ、なんて
思ったりもするのである。

何となく1年があっという間に経ってしまって、ちっとも何も変わって
ないや、なんて思ってしまう人にしたって、ただ単に1年間という時の
長さに、ちょっと前の自分を忘れてしまうから、そう思ってしまうの
かもしれない。

なんて偉そうな事を書いている自分自体が、この前自分の日記を読み
返してみて、おお〜、実は1年間で経験する事って、実はすごい量なん
じゃないのか?と、思ったわけなのだが。

そういう意味ではここにこうして、時々休みながらも、日記を書いて
いなければ、そんな事を考えもせずに漫然と1年を過ごしっぱなしに
していたのかもしれないわけで。


自分の誕生日は12月にある。
だからついこの間、また一つ年をとってしまった訳だけど、
もうこんな年になってしまったかあ、と思うよりは、そうか〜この1年
で、俺はこれだけ変わることができたのかなあ、と思う事の方が大きかった。

そんな風に考えれば、年をとるのも損な事ばかりじゃないとも思う訳で。
なんて事を、まだ10代〜20代で、馬鹿なことばっかりしていた
自分に教えてやりたい気持ちにもなったりするのだ。


でも、そんな毎年のように繰り返されている1年間の中でも、特に
この1年間は、自分の転機というか、ターニングポイントになった
1年だったような気がする。

なんて事を言いながら、来年の年末もまた、同じように今年が転機
だったー、などと言っているのかもしれないけれど。


そんな訳で、今年1年間、この日記を読んでいただき、ありがとう
ございました。
来年も、どうぞよろしく。



2003年12月06日(土) ラストサムライ

今回のネタはラストサムライ
この冬公開映画の中で、一番見たかった映画なので、公開日初日に
さっそく劇場に足を運ぶ。

初日だと相当混んでるんじゃない?と思われるかもしれないけれど、
オールナイト上映だとそんなには混んでいないし、現在は1300円で
観られるので、ちょっとお得なのだ。

で、ラストサムライ。観た感想は「予想以上にちゃんとした日本映画
になっていてビックリした」である。

物語は明治10年。明治維新により、西洋文明を取り入れることに躍起
になっている日本が舞台。

明治政府をつくる時の立役者でありながら、その後政府の方針に対し
て、恭順せず反発をする勝元(渡辺謙)を討伐するため、西洋式の
軍隊を作るために、アメリカから招かれた南北戦争の英雄である
アルグレン大尉(トム・クルーズ)。

彼は昔、無抵抗のネイティブアメリカンの集落を討伐した事で傷つき
それからは酒びたりの日々を過ごしていたのだが、勝元との戦いに
敗れ、彼らと共に生活をするうちに、段々と変わっていく。


と、ストーリー的には、西南戦争の頃の日本の状況をベースにして
いるのだが、勝元たちは弓と刀のみで戦う(実際の西南戦争では
激しい銃撃戦が繰り広げられた)とか、忍者が出てくるとか、
富士山が異様にでかいとか、侍たちが、まるでアメリカのネイティブ
アメリカンのように、保護すべき先住民族のように描かれているとか
正直?な部分も何箇所か存在する。

でも、まあ例えば忍者とか富士山とかは、アメリカの観客に対して
ジャポネスクな部分を強調したかったんだろうし、武士をネイティブ
アメリカンのように描いたのは、そういう構図の方が、アメリカ人に
はわかりやすいと監督が判断したんだろうし。

逆に言えばその辺は、アメリカ人から私たちがどのように見られて
いるかって言う風に考えるとちょっと面白いかもしれない。

例えば、勝元の村での、子供たちの人懐っこさや、小雪演じる、
アルグレン大尉の世話をする女性のアルカイックスマイルなんかは、
そのまんま、彼らの日本人観と重なるのかも。

今年はアメリカから何人か患者さんが来たわけだけど、彼らが言う
のも、大体は日本人は礼儀正しく、またとても親切でフレンドリー
である、だったし。


その一方で、例えば明治天皇の、天皇機関説的な立場(自分の意志を
そのまま政治に反映できない様)や、敗軍の将に対して、自刃をすす
める様、相手を尊敬する様など、様々な角度から日本という国を検証
した作品づくりをしているのだ。

例えば、当時の日本の風景を再現するために、当時の日本の風景写真
などを参考にしたらしい。
この辺なんかは、日本の時代劇や、大河ドラマでさえも、出来ては
いない事な訳で。

そのおかげで、昔の日本とはこんな風だったんだろうなあ、と本気で
思ってしまいそうな程の説得力が作品全体に漂っていると思う。


そしてそれは、アクションシーンにも現れている。
CMや予告編などでも披露されている、真田広之の殺陣やトムクルーズ
との立ち回りが、とても素晴らしい。

予告編を観てもわかると思うけど、TV時代劇のチャンバラと違い、
ちゃんと人を斬ったように見えるのだ。

真田広之の殺陣としては、たそがれ清兵衛の身体を感じさせる動きも
素晴らしかったんだけど、今回のアクションもとても素晴らしい出来
になっていると思う。

トムクルーズの殺陣に関しても、そんじょそこらの若手俳優の動きに
比べれば、頑張っているな、って気がするし。

また、ラストのアクションシーンは圧巻の一言に尽きる。
特に弾幕の中を身じろぎもせず走り続ける馬はスゴイ。


TV時代劇の仕掛人梅安や御家人斬九郎以来のファンである渡辺謙も、
男の色気漂う演技をしているし、相変わらず格好いい。
これでもしも渡辺謙がアカデミー助演男優賞をとった時には、便乗
商品で御家人斬九郎のDVDボックスでも出してくれないかなあ。

まるでタイムトラベルでもしたかのような、いいものを見せていた
だきましたって感じの映画でございました。



 < 過去  INDEX  未来 >


harry [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加