2011年06月30日(木)  辰年クエスト。
 
先日のAKBの新入社員もそうだが、職場に私と干支が同じ年下のスタッフが数人いることに気付き驚倒。要するに12歳下のスタッフと働いているということで、これまで職場で干支が同じと言っても年配のナースが「私と一回り下だなんてショックだわー」と笑い話で出てくることが多かったが、その年配ナースと同じ立場になった今、笑いごとではない。きっとあの頃の年配ナースだって笑いごとじゃないことに笑っていたのだろう。
 
当然のことだが、当時のヒット曲である光GENJIの「ガラスの十代」を歌いながら廃業した自動車学校跡地でローラースケートで疾走していた12歳の頃、彼らは0歳である。「C-Girl」を軽やかに歌う浅香唯に初恋に似た胸の痛みを感じ、Winkの「愛が止まらない」で大人になることの切なさを垣間見ている頃、彼らは0歳である。
 
職場のインドア部の後輩もドラクエ3が発売した歳に産声を挙げ、今やトルネコである。私の職業は僧侶なのだが先日ようやくホイミが使えるようになった。あまり意味のない遊び人時代があったので僧侶からうまい具合に転職できない。
 
2011年06月29日(水)  含み笑い。
 
二次会でAKB48の格好をした新入社員に日本酒を飲まされた辺りから記憶が不明瞭。その子と何かしらの話が弾んでいてグラスの何かしらのアルコールがなくなったため彼女が日本酒を注いでくれて一杯飲んで、美味いことは美味いが日本酒を飲むとなぜか翌日の二日酔いがひどくなるので日本酒は飲めないんだよと伝えたら「じゃあ何か他の飲み物持ってきますね」と立ち上がったので、彼女と話す直前まで二次会の会場の舞台で誰かしらと踊ったり歌ったりしていた直後であり彼女が酒を取りに行っている間、誰かしらにまた舞台に呼ばれたら踊ったり歌ったりせずにはいられない陽気なテンションだったので、あのテンションで踊り歌い狂っていたら翌日二日酔いよりもひどいことになるとここは冷静に考えて彼女を呼び止め、まあいいです。一緒に日本酒を飲みましょうと、結局その判断が冷静ではなく、ボトル半分空けたのではないでしょうか。それから私は忽然と立ち上がり、舞台に向かい何かしらのカラオケを一曲披露し、舞台を降りてそのまま会場から出て行ったと翌日同じ部屋のスタッフが言ったので、そうですかハハハ。どうやらあれから部屋に直行してすぐ眠ってしまったらしいとおどけながら、集合時間に昨夜何かしらの話題で盛り上がったAKBの誰かを探したが一向に顔が思い出せず、昨日の夜AKBの格好をしていた方達は誰ですかとイケ原君に訊ねてあのコとあのコとあのコとあのコとあのコとあのコですと教えてもらったが、あのコもあのコもあのコも皆大人しそうな新入社員然としたコばかりなので、お酒と制服効果が重なると恐ろしいことになるのですねとバスで隣り合わせになったイケ原君に言おうとしたら真っ青な顔をしていつの間にか爆睡しているので、後ろの席のナースにお酒と制服効果が重なると恐ろしいことになるのですねと言ったら、そのようですねと含み笑いをしておった。
 
2011年06月28日(火)  露聊。

群馬県の伊香保に一泊二日の社員旅行。一次会の余興で他部署の女性新入社員数名がAKB48を歌ったり踊ったりしており、彼女らはAKBの格好をしたまま二次会に突入。たまたま隣に座ったAKBに「さっきのカチューシャとシュシュ上手だったね」と、どちらも髪留め発言をするという中年男性振りをいかんなく発揮し、「ヨシミさんて面白いですねー」と、本気の勘違いを本気のギャグとして若い女性に流されてしまった辺りに私にはもうつゆほども若さなど残っていないと実感。
 
2011年06月27日(月)  三十四の乙女心。
私の携帯電話はデザインが絶望的にダサいと常々この日記でも申していたところだが、先日、職場の美少女ナースが私の携帯を初めて見て「修理中ですか?」と純粋な瞳で訊ねたことにより本気で買い替えを決意し秋葉原。

流行のスマートフォンを購入しようと思い、家電量販店の店員のお姉さんから料金プランの説明を受けたのだが、はっきり言って何もわからない。「え? それってどういうことですか?」と訊ねても詳細な説明が更に難解で、「まあいいや。これください」と、妻が聞くと激怒しそうな決断振りで料金プランも適当に契約。

帰宅後、買ったばかりのスマートフォン片手に「ねえねえ着信入るか確かめてみたいから電話掛けてみて」と、ソファーに横になっている妻に頼んだら、「チッ」と舌打ちののち何も言わずに私に電話を掛けた。

確かに新しい物を入手したばかりの人のテンションのウザさは筆舌に尽くしがたいものがあるが、私はただ、新しい電話の最初の着信が妻であって欲しかっただけなのよという三十四歳の乙女心。
 
2011年06月26日(日)  感謝の日々。

レジでポイントカードを提示するのが面倒臭くてしょうがない。店員の「ポイントカードはございますか」の質問には「ある」か「ない」かの返答しかないのだが、私の場合は「あるけど面倒くさい」という選択肢が大半を占め、あるのだがないと返答せざるを得ないジレンマに長年苦しんでいるということを妻に告白したところ、「それはどうでもいいわね」と、生まれてこの方聞いたこともない斬新な返答を戴き、妻には感謝するばかりです。
 
2011年06月25日(土)  ヤミクモ。

職場のスタッフの結婚式にイケ原君と参加。場所は原宿東郷記念館。竹下通りを抜けるとゆったり広がる婚礼の杜が広がるはずだが、竹下通りを抜けるまでが問題であって、竹下通りでスーツを着た三十そこそこの男なんて女子中高生に怪しげな話を持ち掛ける男しかおらず、私もイケ原君もどちらかというと見てくれが実在しない芸能事務所のスカウトマンであって、更に披露宴開始時間を約2時間も間違えて原宿に到着してしまったが故に、闇雲に竹下通りを徘徊することになり悪人度アップ。高校の修学旅行で来た頃は加藤茶のタレントショップを血眼になって探していた純朴な少年であったはずなのに。
 
2011年06月24日(金)  バーンアウト。

菅首相が自らの退陣時期を明言せずに「燃え尽きる覚悟で取り組んでいきたい」と神妙に話していたが、何かをやり遂げた時もリタイアした時も「燃え尽きた」という言葉が使えるのでその言葉自体に何の意味もない。ただこの国は誰が首相になっても一定の批判が繰り返されるものであって、批判する者に首相になる器があるかというと全くそうではなく、結果、世の中で一番楽なポジションにいるのは批判する者であり、私も一度でいいから批判ばかりするポジションに身を置いてみたい。さぞ毎日不味い不味い言いながら美味しいお酒を飲んでいるのではないでしょうか。
 
2011年06月23日(木)  昼間のパパ。

職場の同僚、イケ原ファミリーとバーベキュー。たまに登場するこのイケ原君。本名ではなくイケメン原付の略なのだが、最近原付を売ったそうでただのイケメンになってしまった。そんな彼は3児のパパ。

私は職場でインドア部を結成するほどのインドア派なので、見てくれがアウトドア派のイケ原君にバーベキューの自信のほどを窺うと「任せてください!」と自信満々に答えた割には一向に木炭に火がつかない。なぜならイケ原君が火をおこすために必要なうちわを忘れてしまったから。

灼熱の太陽の下、妻たちの冷たい視線を浴びながら二人で新聞紙でもってふにゃふにゃと木炭を扇ぐという竹槍で戦闘機を撃ち落とすかの如く無謀な戦いを続け、「新聞紙じゃなくてダンボールだったらいけるんじゃね?」と、私の大してすごくない発案に「いいっすね!」と、竹槍が銅のつるぎになった程度の破壊力しかないことに気付き絶望感が漂い始めた頃、「うちわ借りてくるっす!」と、イケ原君が憤然と立ちあがり、隣でバーベキューをしているママ友団体に生来のイケメン振りを発揮して声を掛け見事うちわをゲットし、数回扇いだだけで木炭に火が灯り「やっぱうちわスゲェ!」とテンション高く叫ぶ中、傍らで妻達の溜息。昼間のパパもちっとも違わないぜ。
 
2011年06月22日(水)  妻と道徳。
 
明日はうちの家族と同僚の家族とバーベキュー。食材を買いに家族で業務用スーパーに行き、帰宅して材料を取り分けたり仕込みをしたりとテンションが上がる中、「ポテトチップスはその油分から着火剤の役目にもなるんだって。すごいよね。持っていく?」と、若干興奮しながら本日仕入れたばかりの豆知識を妻に披露したら、「そんなことよりも着火剤を確実に忘れないことの方が100倍大切」と言われた。道徳の先生にでもなればよかったのだ。
 
2011年06月21日(火)  千載不朽。
 
同年代の男性スタッフに「最近お腹周りに肉がついてきてヤバいんですよ」と言ったら「俺も」と言われた時に感じたえも言われぬ安心感は何の憂慮も生産性も生み出さない危険な安心感である。「何か筋トレしてますか?」と訊ねたら「何も」と言われまた安心感。「年齢的に考えるとしょうがないですかねぇ」と言うと「しょうがない」と即答され安心感。連続される無意味な慰撫は結果としてベルトの穴を1つ増やす。しょうがないと諦観しながら研鑽を放棄し胃の腑に酒を流し込む。怠慢か。否。万古不易の摂理である。
 
2011年06月20日(月)  そんなことよりお前さん。
 
最近発見した妻の口癖は「そんなことより」きっとつまらないことばかり考えている私にしか言わない口癖なのかもしれないが、私は往々にして妻が発する「そんなことより」で話題の強制転換を余儀なくされている。

日々、非生産的な思考ばかり展開しているものだから、禁欲的、自己防衛的な現実主義者の妻にとっては私が提唱する論点とは大きな食い違いがあり、「そんなことより」で発された言葉で一気に現実に引き戻される感覚に陥る。

現実とはまともに考えると辛いに越したことはなく、その辛さから少しでも解放されようと思考や行動に工夫をこらして意識的に楽しく演出したり嬉しく感じたりするものであって、例えば数日後にバーベキューを予定しているのだが、バーベキューするんだったらバトミントンもしたいよね。キャッチボールもいいねなんて話していると、「そんなことより雨が降ったらどうするのよ」と言われてそれから先は何も言うことができない。雨が降ったら水たまりができて傘をささなければならないけれど、晴れたらお肉いっぱい焼いてバトミントンにキャッチボールだ。

「だから雨が降ったらどうするのよ」……そりゃあ、まぁ、中止じゃないですかね。「買ったお肉どうするのよ」……あれだね、各自家で食べるなりしなきゃね。「あなたお肉あんまり食べないじゃない」そんなこと言われても……ねぇ。

間違ってはいけないのは楽観的な者より悲観的な者の方がイマジネーションは豊かだってこと。
 
2011年06月19日(日)  男のレシピ。
 
休日は私が夕食を作ることになっているのだが、元来料理があまり好きではないためレシピを見ても言葉の意味がわからないところが多くて悲しい。「さっとあえる、茹でる」”さっ”がどのくらいなのかわからず、「ざっと混ぜて」わからないので「ざっ!」と言ってみたり、「味をみて塩をたす」私の舌に瞳などなく、「粗くほぐしながら」気持ちが荒れ始め、「溶き卵を入れふんわりと混ぜ」なんか体全体でふんわり感を出した混ぜ方になり、「中まで火を通す」中が見えず、「香りがたったら」背中にたってはいないかとキョロキョロしたり、「きつね色に焼き」キタキツネなのかアカギツネなのかチベットスナギツネ色なのかわからず、「しんなりしたら」げんなりしはじめ、「焦げ目がつくまで」結果として焦げ、「だし汁をはり、煮立てる」(´Д` )???「水をひたひたより多めに加えて」ヽ(゚∀。)ノ「たっぷりの熱湯で茹で」たっぷりの湯でイメージしても露天風呂しか思いつかず、妻が「ただいま」と帰宅すると決まって涙をためて迎え入れる日々。
 
2011年06月18日(土)  トイレと精神力。
 
ルミネのトイレで用を足していたらウォシュレットから肛門がただれるかと思うほどの熱湯が噴出し、洗浄もほどほどに停止ボタンを押してしまうという斬新な節電対策に遭遇。その後行った大型家電量販店のトイレではウォシュレットの水の勢いが強すぎてクジラの潮に乗っているかの如く水圧で体全体が浮上。他のトイレを使っている者もフワフワと浮きながら天井に頭を打ち続けるという事態に。帰りの駅のトイレではいわゆる音姫と言われる擬音装置があり、ボタンを押すとスピーカーから排便する音が流れ、私の用便の音を打ち消してくれた。男子トイレで小便器はいくつも空いているのに大便器が埋まっており、大便器待ちの列に恥ずかしさを感じず涼しい顔して並べる屈強な精神力を持ちたい。
 
2011年06月17日(金)  セルフィッシュレビュー。
 
コンビニで何となく買ったコーヒーゼリーを食べてみたら驚くほど美味しかった。まろやかなクリームに苦味の効いたゼリーも風味がしっかりとしていて食感も上品にまとまっている。ほとんど甘味がなく濃厚で噛み応えもあり、口溶けも謙虚で慎ましさすら感じる。これまで食べたコーヒーゼリーの中で一番美味しい! 本当に美味しい! これはオススメです! コンビニで売ってます! 「コーヒーゼリー」って書いてます!
 
2011年06月16日(木)  中年と怒号。
 
夜勤入りでナースステーションに入った途端に日勤のナース2名が「髪切りました?」「外雨降ってます?」と同時に話し掛けてきたのでどちらも回答せず「業務とは全く関係のない質問を同時にありがとうございます」とヘラヘラしながらナース2名を恐縮させていたところ、それを聞いていた同年代のナースが「あんたそんな嫌味言ってるけど今年35になるような男に20代の女性が話し掛けてくれるってだけでありがたいって思わなきゃダメなんだからね」と、思いがけず注意を受けてそりゃそうだ。私も若いと思っていたから若い女性と話すのも当然だと思っていたが気付いてみれば私も中年。たまたま若い女性が多い職場で働いているから会話する機会が多いものの、そうでなければ私に話し掛けてくる女性などいないに違いない。これからはもっと優しく接せねばと刹那に改心。

「ごめんなさいね。同時に質問されたのでどちらも聞き取れなかったんだよ。で、何だっけ?」
「髪切りました?」「外雨降ってます?」
「知らん」

「あんた達もう絶対ヨシミに話し掛けるのやめな!」ナースステーションに響き渡る同年代ナースの怒号。
 
2011年06月15日(水)  女王エネループ。

先日職場のスタッフとカラオケに行った際、参加すると聞いていた女性スタッフが来なかったので、そういえばカラオケ来なかったねと訊ねたら、「私ヨシミさんに誘われるのずっと待ってたんですよ」と言うので別段私が誘わなくても随意に参加すればよかったのではないかと返答すると、「私ヨシミさんに誘われるのずっと待ってたんですよ」と、同じことを繰り返すばかりで真意の程は定かではないが、このような確固たる自信に裏付けされた女王様発言は非常に好感が持てる。じゃあ今度は私が直接誘いますからと言うと、「私ヨシミさんに誘われるのずっと待ってたんですよ」とまだ言っているので朝食にエネループか何かを召し上がったのではないでしょうか。
 
2011年06月14日(火)  残尿コーヒー。
 
一人の休日。ファミレスでランチを食べ、そのまま原稿を書く。ドリンクバーでブレンドコーヒー、アメリカンコーヒー、エスプレッソと一通り飲んでみたが味の違いが何一つわからない。皆本当に違いをわかって飲んでいるのであろうか。その違いが判らないホットコーヒーが出てくるドリンクバーの機械から倦怠を匂わすゆっくりとした動作でコーヒーが排出され、カップを取った後に機械からチョロチョロッと残尿コーヒーが出て「ああっ」と咄嗟にカップを戻すが時すでに遅しというあれは私の貧乏臭さを試しているとしか思えない。
 
2011年06月13日(月)  パンダと炭鉱。
 
先日行ったむさしの村という遊園地に「アニマロッコ」という乗り物があった。なんと珍妙な名前であろうと思っていたら動物の形をしたトロッコであって、どうやらアニマルとトロッコでアニマロッコらしい。略す部分が間違っているような気がしたので、アニマルッコ、アニトロッコ、アニロッコ、アニマルッコなどピンとくるネーミングを考えたがどれもイマイチなのでアニマルトロッコでいいような気がした。
 
アニマッロコとは対面式に座り、真ん中のレバーをギッコンバッタンと押したり引いたりと結構な労力にも関わらず歩行よりも遅い速度で進む完全肉体系アトラクションで、私と御ハナの前の前に乗った小学生二人組があまりの重労働に力尽き線路の途中で停車し泣きべそをかきはじめ以後渋滞。御ハナは最初の数メートルでレバーの操作を完全に放棄し、「次あれ乗ろうよ」などとトロッコから身を乗り出して遊園地の思い出からアニマロッコを排除しようとしている。
 
小学生の泣きべそがやみ、パンダの顔をしたトロッコがゆっくりと進み始めた。初夏の陽光が照りつける中、無表情のパンダはいつまでもギッコンバッタンと無機質な音を発し続けていた。
 
2011年06月12日(日)  とある休日の光景。
 
家族で埼玉県加須市にあるむさしの村というローカルな遊園地に行った。アトラクションがほぼ低年齢層向けで4歳の御ハナもほぼ全てのアトラクションで遊ぶことができる。ディズニーランドのように数十分並ぶこともなく、乗りたい時に乗りたい遊具で遊べるという非常に家族連れに優しい雰囲気。
 
御ココもベビーカーに乗れるようになったので、主に妻がベビーカーをひいて私と御ハナはフリーパスを手首に装着し、御ハナの欲望のままにアトラクションを駆け巡る。
 
おもしろ自転車乗り場では、奇怪な形をした自転車に乗り御ハナと追いかけっこ。柵の外の木陰で父娘を困ったような笑みを浮かべて見守る妻。なんとなく羨ましそうな視線を投げ掛けるベビーカーの御ココ。高くない観覧車。年季が入ったコーヒーカップ。全ての懐かしさがこの光景に凝縮されており、きっと御ハナはこの光景をいつまでも忘れることはないだろう。
 
2011年06月11日(土)  シグナルP。
 
たまたまyoutubeで聴いた曲がとてもいい曲だったので誰が歌ってるんだろうと調べたところボーカロイド、略してボカロという者が歌っているらしく、そういえば部下のナースがボカロ大好きなんですといつしか言っていたことがあり、職場でこの歌知ってる? なんて訊ねたら勿論知ってます今度カラオケでデュエットしましょデュエットと、平生は内気で可愛らしいナースが目を輝かせているためそのボカロの曲のハモリの部分などを必死で覚えてカラオケに挑んだ。
 
ちなみにボカロというのは単三電池で動くロボットであり、昔の型はゼンマイで動いていたという。中でも特徴的なのはロボットなのに発声したり歌を唄ったりするらしく、電話を掛けた際に「おかけになった電話番号は現在使われておりません」と言う女性や、ATMで「カードを挿入して下さい」なんて言う女性もボカロだという。あとPerfumeの左の女性もボカロらしい。ちなみに部下のナースが愛してやまないハツ、ネミクというボカロは青い髪の毛で日本人か外人か判別がつかぬが髪の毛の生え際も青いためどうやら青くカラーリングしているわけでもなく地毛が青いため気持ち悪いよねと言うと「本当にひどいですね」と心の底から嫌われそうな気配を感じたためそれ以上出鱈目を言うのはよそうと思った。
 
今回の職場のカラオケには新入職員の女性も2名参加し、ボカロの曲を歌い始めたら「こ、ここボカロも歌っていいんですか?」とやはり部下のナースと同じように目を輝かせていたため、本日得た教訓はボカロ好きの女性はやたら瞳が澄んでいるということ。
 
2011年06月10日(金)  男の通販。
 
ファミレスの入口などに半ば雨に晒されて置いてある「nissen男の通販」という通販雑誌を持って帰ってきたのだが、まあどれもこれも買ったら確実に妻に怒られそうな商品のラインナップ。
 
「出発時点を覚えて、あなたを生還に導く」GPSナビゲーター。「射撃の練習で使われる抜群の遮音性」イヤーマフ。「衛生面も安心」銀の携帯爪楊枝ケース。「歴史好きに必須の一本」戦国武将幕末維新傘(持ち手が刀の柄でツバもついている)などなど、読んでいるだけでリアルに妻の怒りの琴線に触れる音が聞こえてきそうなものばかりで興味深い。
 
迷いが直接死を招くような冒険をしないけれど手に入れたいGPSナビゲーター。耳をつんざくような騒音の場所で読書なんかしないけれど身に着けたいイヤーマフ。衛生面を気にするのであればそもそも持ち歩かないけれど銀色が眩しい携帯爪楊枝ケース。コンビニにたむろする若者に「安心しろ峰打ちじゃ」と言ってみたいけど絶対言えない戦国武将幕末維新傘。
 
男の欲しいものは、野菜を薄く切りたいとかこの汚れをもっと落としたいとか現実的な欲求から生まれるのではなく、全て非生産的なイマジネーションから生まれるものであって、女性とは欲求の出発点が異なるものだから往々に男というものは女から「あなたの趣味が理解できない」などと虐げられ続ける。
 
ちなみに今一番欲しいのは「お店で飲むようなこだわりの旨さがどこでも味わえる」ホームパーティービアサーバー。ほら、そっと耳を澄ますだけで妻の罵声が聞こえる。
 
2011年06月09日(木)  お風呂で呼んでいます。
 
我が家のお風呂の給湯器には呼び出しボタンがついており、ボタンを押すとチャイムのあと「お風呂で呼んでいます」とキッチンの給湯器がアナウンスするので、私が御ココをお風呂に入れ終わり、タオルを持った妻を呼ぶ際にとても便利である。
 
以前住んでいた部屋の給湯器はこのアナウンス機能がなく、娘を洗い終えて妻を呼ぶ際に風呂の扉を半開きにしてリビングまで聞こえるように「いいですよー!」と大声を出していたのだが、咽喉のコンディションによってはその声がリビングまで届かないこともあり、結果何度も真っ裸の赤子を抱えたまま「いいですよー! いいですよー! イーイーデースーヨー!」と半狂乱で叫ばなくてはならなかったりと不便極まりなかったのだが、今考えてみると別にあの頃不便とは思っていなかったよねと妻と晩酌しながら振り返る。
 
要するに「こんな便利なものがあるなんて知らなかった」と感じる以前の日常は、便利なものによって劇的に改善される行動であっても不便とは認識すらせずに、風呂場で半狂乱で叫ぶことが日常であり、そこに改善の余地は”別に”ない。そもそも携帯電話だって心の底から希求して手に入れたものでもない。あの頃は携帯電話の登場を願うよりも彼女の家に電話をして父親が出ないように心の底から願い続けていたものだ。
 
携帯電話の登場を「願う」ことと、彼女の父親が電話に出ないよう「願い続ける」人間として必要なことはどちらであろうか。そこにある願い、そこにある思いを全て置いてけぼりにして日々は発展する。「お風呂で呼んでいます」家族ではない誰かの声で呼び、妻は立ち上がる。
 
人は幸せな時期を回想する場面はきっと「不便でならなかった」愛すべき一場面だと思うのです。
 
2011年06月08日(水)  リバーシブルリバプール。
 
PCのUSBにフラッシュメモリーなどを挿すとリムーバブルディスクと表示されるが、リムーバブルディスクと表示されているのに一度たりともリムーバブルディスクと呼んだことがなく、リムーバルディスクとかリバーシブルディスクとか適当に呼んでいるため、他人に説明するときにすごく困る。
 
先日、職場のナースが「リバプールディスクにデータ入れたんだけど」と臆面もなく呼んでいて可愛らしく思った。リバプールってビートルズの出身地だよねと言ったら「え? 何の話?」と返されてその純朴さに胸が高鳴ったりしたのだが、それほどリムーバブルディスクという名称は、人に真面目に読ませようとする気がない難解な文字列であって、呼ぶ方も呼ぶ方でその難解ワードに挑戦せず諦念し、甘受した上で適当に呼称することが許されている言葉だと思う。
 
ちなみに私の部下にUSBに挿した時に表示されるものを何と呼んでいるかと訊ねたら「え? チョイチョイスティックのことですか?」とあまりにもフリーダムすぎて話にならない。
 
2011年06月07日(火)  膨張熱556。
 
22:30勤務終了。激務でささくれ立った気分を収めようと部下と職場近くの居酒屋に寄って酒を飲んで帰宅しようとした午前0時過ぎ。自転車の鍵を差し込んでも油が切れていてロックした状態から回らない。以前から油が切れていていつかは防錆潤滑油を差さなければならないと思っていたが、まさかこんな日に。といってもこのままではいつかは鍵が回らない日が訪れていて、どの日であっても「まさかこんな日に」なんて考える人間の浅はかさに打ちひしがれつつ、防錆潤滑油クレ556を手に入れなければならぬ。「え? クレゴーゴーマルですよね?」いやクレゴーゴーロクだって。「550ですって」556だっつのと、不毛な争いをしながら最寄のコンビニ2件まわったが売っていない。
 
「こうなったらサラダ油でも買うか。2、3滴垂らせばなんとかなるだろう」と、もう0時を過ぎてほろ酔いでくたくたなので自棄になって日清キャノーラ油に手を伸ばしたが、部下が「キャノーラはよしたほうがいいです」と、キャノーラの何を知っているのかわからんが強く制止されたため仕方がない交番に行こうと、近くの交番に行き「自転車の鍵が回らなくなったのでクレゴーゴーのあれみたいな潤滑油ってありますか」と、クレ556、550対決が終止符を打たないまま交番に入ったものだから曖昧な事を言って防錆潤滑油を求める。
 
「いやー、うちは確かに何でも屋みたいなものだけどさすがに油は置いてないよね。コンビニは? なかったの? そっか。じゃあドンキだね。ドンキだったら何でも売ってるよね。自転車の車輪持ち上げてさ、ドンキ行けばいいと思うよ。まあ絶対怪しがられて僕らが巡回中に声を掛けるかもしれないけどね」
 
と、悪い男が交番に忍び込んでお巡りさんを気絶させてお巡りさんの制服を着てバレないようにお巡りさんっぽいこと言っているかのような好い加減なアドバイス。本当に困っているのに私達がほろ酔いであることをいいことに、何だか終始ヘラヘラしていてここにいても希望の光は見えてこない。礼を述べるのも憚られたがありがとうございましたなんて言って交番を出て、とりあえず自転車のところへ帰ろうとしばらく無言でトボトボ歩いていたところ、突然部下が「アッタメレバイーンダ!」と叫んで驚いた。
 
自転車のワイヤーロックの差し込み口を温めればボーチョーネツというもので鍵が回るかもしれないと言い出す部下は結構いい大学を出ているのだが、コンビニも交番も駄目で八方塞がりな現状、仕事で八方塞がりになっても助けてもらったことは一度もなく、まあ無理だと思うが試してみればよかろうと、何をするのかと思いきやワイヤーロックの差し込み口を「ウオォォォ!」と、鬼神の如く両手でこすり始めてヤバイ。こんな大声ではすげぇ通行人が見てて恥ずかしいし深夜0時過ぎ。派手な自転車泥棒とも見て取れなくもない。このままでは再びあの交番に連行されて振り出しに戻るかもしれない。それでも部下は「ウオォォォ!」と鬼神をやめない。
 
そろそろ本気で他人の振りでも始めようかなと思い始めた数分後、「ウォッシャァァア!」と雄叫びと共にまさかの開錠。「マジでボーチョーネツすごいっチョネツよネ!!」と、興奮しすぎて少し莫迦になっている部下に礼を述べる。「これそのボーチョーネツっていうか執念だよね」と言うと、「僕は精神論は嫌いです」と思いっきり気合を入れていた部下は息を切らせてそう言った。
 
2011年06月06日(月)  くよすくよす。
 
歯科治療の話が続くが、治療の際、「ちょっと叩きますけど痛かったら言ってくださいね」と鉄の棒のようなものでコンコンと歯を順番に叩かれるのだが、あれって全部ちょっと痛くていつ痛いって言っていいかわからないので結局「大丈夫です」なんて言ってしまって大丈夫じゃないんだけどなあといつまでも一人くよくよしている。
 
噛み合わせを調べる際にフィルムをカチカチ噛むやつも、噛んだ後に「いかがですか」なんて訊ねられて「いかが」の感覚が全くわからないので「まあいいと思います」と漠然とした返答に徹し、家に帰って一人でカチカチしながら一体これでいいのかなあとやはりくよくよしている。
 
くよくよするの語源は、その意識の定まらなさから、煙でくゆらす、いぶすという意味の「燻す(くよす)」を二回続けて強調して「くよすくよす」が転じて「くよくよする」となったなんて尤もらしいことを私はいくらでも言えるけど歯医者さんと見つめ合うと素直におしゃべりできない。
 
2011年06月05日(日)  ソロモンソロモン。
 
現在、歯科通院中なのだが、本日3本同時進行の治療が終わり9000円請求。虫歯になるのは日々のセルフケア不足で自己責任であるため、治療費も小遣いから捻出しなければならないのだが、1回の治療費で小遣いの約1/3が飛んでいくとなると由々しき事態である。その前は5000円請求されている。こうなると小遣いの約1/2を治療費に使っているのだが6月もまだ始まったばかり。このままではビールの代わりにイソジンガーグル、つまみにスーバーでただで置いている牛脂を焼いて食わなければならぬ。
 
よって治療費に関して妻に相談したいのだが、どうして毎日歯磨いてんのに虫歯になんてなるのよといったそもそも論が始まるのが怖い。そもそも論の語源は、その強さと漠然さから「今、知恵と知識を私に下さい」と神に言ったイスラエル王国三代目の王、ソロモンが二人並んでいるような印象から、「ソロモンソロモン」が転じて「そもそも論」となったなんて尤もらしいことを私はいくらでも言えるけど妻に治療費の請求ができない。
 
2011年06月04日(土)  デートのお誘い。
 
休日。午前のうちに家事を済ませて午後から原稿でも書こうかと画策していたところ、午後から休暇をもらった妻からメール。
 
「今日、デートしませんか」
 
ときめきながら妻の帰りを待つ午後1時。午後4時には保育園のお迎えの時間のためデートは僅か3時間。近所のパスタ屋で昼間からワインを飲みながらパスタとピッツァ。二人きりで食事をするのは、御ココが生まれてから初めてである。久し振りの二人きりの時間は、とても穏やかで少し照れ臭い。
 
「今日、デートしませんか」
 
これから数十年、共に過ごす人から突然デートに誘われる日々を、ずっと大切にしていこうと思う。
 
2011年06月03日(金)  残念な俺様。
 
コンビニで立ち読みをしていると、ブチ切れ加減で本をズダーンと棚に戻す種類の人達と遭遇する確率が異常に高いのだが、あの人達は一体何に怒っているのだろう。おおかた怒っている俺は怖いんだぞという救いようのない自尊心のアピールのようなものだと思うが、何もコンビニの本棚でそんなアピールをしなくてもいいと思う。怖い。気の小さな私などはすぐに「俺何かしたかな」と自省してしまう。同様、運転中にどこからかクラクションが聞こえると「ヤベ。何かしたかな」と、即座に自らの行動に関係性を求めてしまうのは、小心な上に自意識が過剰な、どちらかというと残念な部類に入る人達であって、私は残念な部類の人達の筆頭に立って文章を書き続けようと思うのです。
 
2011年06月02日(木)  花盛り。
 
御ココが少しの間、支えなしでお座りができるようになって可愛らしいことこの上ないが、今朝私が寝坊した際、私の隣で腹這いになりながら私の顔をペチペチと叩き続けるという健気さも発見してより愛らしくなる。腹這いになった姿勢で「ココさん抱っこするよ」と言うと、両手と両足をピンと伸ばし、抱っこしやすいような格好を取ってくれるので、あと17,8年経ったら「ねえ私のどこが好き?」なんて彼氏に漠然としたことを訊ねる歳になると思うが、今だったら訊ねられなくても大好きなところがいっぱいあって困る。
 
2011年06月01日(水)  朝のパパ。
 
御ハナの保育園はマンションから徒歩5分。御ココの保育園は自転車で15分。御ココは生後5ヶ月から保育園に入園したので、月齢制限の関係で御ハナの保育園には入園できなかったのだ。よって、この辺りで2人以上の子供がいる家庭では珍しくない保育園の掛け持ちをしなけれなならない。
 
朝7時に妻と御ハナが起床。妻は仕事の準備と朝食、御ハナは朝食。朝8時に私が御ココを抱えて起床。妻出勤。御ココの浣腸をしてミルク200ml。朝食を終えた御ハナは着替えと保育園の準備。9時前に御ハナの保育園に登園。徒歩5分なので往復10分、御ココは家で留守番。自宅に戻り御ココの保育園の準備。まだ乳児なので着替えやガーゼ、オムツやおしぼり、ビニール袋や離乳食用のエプロンなど準備するものが多い。
 
9時半に御ココを抱えて出勤。保育園に預けた後コンビニに寄って朝食を購入。10時に職場に着いて軽く朝食を摂って10時半から勤務開始。10時半出勤だと育児参加がしやすいため、とても家庭に優しい。それだけ慌ただしいのだが、毎朝娘二人と綿密に関わる時間があることは日々の業務に追われる父親としては喜ばしいことだと思う。
 

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