2011年05月31日(火)  よく笑いよく笑う。
 
生後7ヶ月の御ココに下の前歯が2本生えてきた。くすぐったいのか終始チュパチュパと口を動かしているため大量に涎が出ている。
 
生後、毎日続けていた浣腸を5日前から中止している。両親の勘というか、何となく浣腸しなくても自力排便ができるのではないかと思ったのだ。排ガスに関しては問題なく、術前のようにガスが貯留して風船のように腹部膨満することはない。
 
結果、1日1回だが自力排便が出ている。排便回数が少ないのでビリルビンが腸内で酸化したような緑がかった便だが、量も多く問題はないように思われる。ミルクから離乳食へ比重が傾くにつれ、更に便が固くなり再び浣腸をしなければ排便できない日がくるかもしれないが、御ココは毎日人知れずガスを出し、静かに排便をしている。
 
「なんか臭っ!」オムツ内の便の臭いに気付くと、妻も私も嬉しそうに臭いと言う。「ココちゃんウンチしたのーっ?」と、臭いと言う時も、うんちしたのと責める時も、私たちはいつも笑顔を浮かべている。
 
ヒルシュスプルング病の治療過程は、長期的な観点を持たなければならないのだが、生後7ヶ月、今のところ順調である。よく笑いよく笑いよく笑う。御ココは嬉しさの表現が人一倍優れている。
 
2011年05月30日(月)  今日の粉骨砕身。
 
本日発売のカップめん「明星ぶぶか油そば」を食す。私はカップめんを食べると必ず下痢をするという悲しい体質のため、なるべく休日の予定がない時に食べるようにしているのだが、この油そばは太麺に醤油だれやこがしニンニク油が濃厚に絡みつき、食ってるそばからお腹を下しそうな油のくどさがある。しかしインスタントフードでこの身を削ってでも食べたいと思わせるジャンクなB級グルメ感を出せるものは少なく、今後も心が荒んでいる時や疲労が鬱積している深夜の帰宅の折などに、お腹は壊すが精神の安定を促す荒療治として度々登場しそうな気配。あまりの油くどさに完食することはできないけどね。
 
2011年05月29日(日)  夜勤前、奥多摩で。
 
夜勤前にリポビタンDを飲用し、自己暗示に近い精神的な肉体疲労時の栄養補給をするのだが、リポビタンDにはラベルのシールとは別に、「ファイトイッパーツ!」と書かれた下に03-5148-8610と電話番号が書いてある小さなシールが貼ってあり、この電話番号の説明がどこにも書かれていないため不気味なことこの上ない。
 
電話をしたら高テンションの男が「奥多摩の吊り橋で待っている」などと言われ、JR中央線で立川まで行き、青梅線で終点青梅まで。青梅で更に奥多摩行きに乗り換え、終点奥多摩へ行き、奥多摩湖行きのバスに乗って吊り橋が見える停留所で降りて警戒しながら吊り橋を渡っていたら突然吊り橋の紐が千切れて落下しようとした刹那、私の腕を掴む筋肉隆々の男が。電話に出た謎の男である。
 
彼は私の腕を引っ張りながら「ファイトーッ!」と甲高く叫ぶため興醒めしてしまう。私のファイトのつけ方は、どちらかというとリポビタンファイン寄りの軽いノリなのだが、ここで腕を離されたら多摩川に落ちてしまうので不承不承「イッパーツ!」と叫びながら、禁煙してそろそろ2ヶ月経つにも関わらず、大きな声を出すとやっぱり痰が絡むなァと悠長なことを考えながら救出してもらい、ちょっとした高台で二人同時にリポビタンDをかざすというイベントが発生するのかと思ったらただのキャンペーン紹介ダイヤルだった。しかもそのキャンペーンは2月をもって終了していた。あのシンプルなデザインの小さなシールには、そんな発想をかきたてるほどの不気味なメッセージ性を持っている。
 
2011年05月28日(土)  総額355円の幸福。
 
妻が買い物袋を抱えて帰宅。「今日はパパの給料日なのでパパには発泡酒じゃなくてビールを買ってきましたー。ハナちゃんにはプリキュアのソーセージを買ってきましたー」と同時に買い物袋に駆けつけるパパと御ハナ。総額355円の幸福。私は月に一度、確実にそれを噛み締めることができる。
 
 
2011年05月27日(金)  いつも心にぶっとびカード。
 
本日は職場のゲーム部8名ペアで4チームに分かれてwii桃鉄大会。会費は1000円。1位のペアには各4000円でゲームを購入できる。ゲーム好きの者は、自分の金で買うまではないけど4000円あったらやってもいいかなというゲームが山ほどあるので、大会が始まる前から大の大人が4000円あったら何買うか談義で小一時間盛り上がる。
 
そんな必死さも相まって、皆欲しいゲームソフトがかかってるから必死過ぎて思考ルーチンが一昔前のAIよりひどい。プロ将棋の対戦の如く、一手一手に時間かかりすぎる。「ここは思い切ってこのカード使おう」「いや、追々これは必要になるから」と、サイコロ振るまでのミーティングが長すぎる。wiiリモコンは片手しか使わないので、他チームの作戦をニヤニヤして聞きつつ酒を飲みながらのんびりと次の番を待つことができてゆったりと楽しむことができる。これぞ本当の娯楽である。
 
19時から10年で始めて終了が午前2時。私のペアが優勝。ゲーム部の中で私が職場の役職的に一番上の者にも関わらず、大人げなく4000円頂戴し、翌日ゲームショップに行って3ヶ月ほど購入するか迷っていたDSのソフトを購入。何の迷いも躊躇いもなくゲームを手に取りレジに持っていく。小遣い性で月々厳選されたゲームしか購入できない私にとってはこの上ない幸せを感じた一幕でした。
 
2011年05月26日(木)  鉄棒とプライド。
 
夜勤明け、妻と一緒に御ハナの保育参観。運動場で体操したり鉄棒したり。全ての4歳児が鉄棒に10秒ぶら下がれることに驚いていると、「それではお父さんかお母さんでやってみたい人いますかー?」と無邪気な保母さん。夜勤明けで憔悴しきっているところだが、周りを見てもパパは私一人である。全員の目が私に注がれ、御ハナは「パパ! はーいって手上げて! はーいって!」と、興奮している。
 
鉄棒に10秒などわけないように思われるが、棒の部分が私の腰辺りにある4歳児がぶら下がるような園児用の鉄棒である。これに夜勤明けの大人が10秒ぶら下がるなどなんて残酷な仕打ちなのだろう。しかしここで失敗したら御ハナに帰宅後も延々と「パパ失敗しちゃったねー」と言われ続けること必至である。父親の面目躍如のためここは何としてでもぶら下がらなければならない。
 
さすがに余裕の表情を浮かべることはできなかったが、両腕と両足をぎゅんぎゅんに曲げて必死に鉄棒にしがみつき10秒。成功し御ハナとハイタッチし、喜びのあまり抱きかかえたがもはや4歳児の体重を支える力は残っておらず御ハナ滑るように落下。「パパ、御ハナ落っことしちゃったよねー」と延々と言われる毎日が始まった。
 
2011年05月25日(水)  勝機。
 
妻のことをさん付けで呼んでおり、事あるごとにさん付けやめてと言われるのだが、結婚してからずっとさん付けで呼んでいるものだからそうやめられるものではない。御ハナのことは御ハナさんと呼び、御ココのことはココさんと呼んでいる。平生より言葉遣いが丁寧なのだ。よって私は実際の一人称も「私」である。妻の意見に反論する折などに「いや私はそうとは思わない」などと言った日には、「だから私って気持ち悪いからやめて」との返答を皮切りに、「”私”気持ち悪い論」に議論はすり替えられる。「だったら俺って言えばいいのかよ」と若干口調を荒げると、「何よ偉そうに」と、いつまで経っても勝機が見えてこない。
 
2011年05月24日(火)  雨ニモマケズ。
 
なぜ、どうしてという種類の怒りは見返りを求めているが故に産出される感情であって、自分がしてあげたことに対して想定される正のフィードバックがないものだから、それは不満となり不満は攻撃性のベクトルに乗って怒りという感情に変わる。人の心を扱う私達の仕事では、「自罰的」「他罰的」という言葉を使うことがあるが、すぐに怒ってしまう人は周囲を罰して自らを正当化する他罰的傾向が強い。
 
これは他罰的傾向が悪いというわけではなく、どのレベルでその怒っている人が「罰」と考えているのか認識することが大切であって、いっつもプリプリしている人は誰かに何かしらの正のフィードバックを求め続けており、果たしてそのフィードバックが現実的なものなのか、もはや妄想染みているのか認識していないものだから、時に怒らない人、イライラしない人になりたいなんて思ってみてもなれるわけがなく、逆逆、順番が逆。怒らない人、イライラしない人を目指すのではなくて、見返りを求めない性格を作り上げればいいのです。
 
作り方は簡単。簡っ単ッ! ありとあらゆる人に無関心になること。ある種の心の病の治療経過として「開き直る」という非常に大切な段階があるのだが、無関心になることと開き直るということは実は心の働きはよく似ていて、とにかく何も期待しない。私達は二進数で成り立っているのではない。数万数億という複雑な細胞の凝塊によって成立しているのだ。一つの刺激に対してそう簡単に想定した反応があるわけではない。
 
決して見返りを求めず、いつも無関心で開き直り、褒められもせず苦にもされず、そういうものに誰だってなれる。仕事だって恋愛だって、見返りを求めないほど長続きするのです。
 
2011年05月23日(月)  ヴィシソワーズの薔薇。
 
職場の食堂。おかずなどが並べてある棚に、直径30センチほどの銀色のボールに入ったクリーム色の液体が入っており、「ヴィシソワーズです。ご自由にお召し上がり下さい」と書いてある。ご自由も何もヴィシソワーズとは何ぞ。今日の昼食は唐揚げである。唐揚げの皿にはポテトとグリーンアスパラが添えてある。もしかしたらヴィシソワーズとはこの唐揚げやポテトやグリーンアスパラにかけるソースのことかもしれん。滅茶苦茶オシャレな名前だし、フランス料理的なソースかもしれん。よって俺はこの唐揚げなどにフランス料理的な波を描くオシャレな感じでソースをかける。そして食す。そしたら唐揚げビッチョビッチョでおいしくなーい!
 
食べ始めてから同じテーブルに座ったナースにヴィシソワーズとは何ぞと訊ねると「ジャガイモのポタージュのことですよね」と当然のように言う。俺は唐揚げにスープをかけてしまったのだ。ポテトにジャガイモのポタージュをかけてしまったのだ。新たに食堂に現れたもう一人のナースにヴィシソワーズとは何ぞと訊ねると、「あれですよね。玉ねぎとかジャガイモの冷たいスープですよね」と、やはり当然の如く答える。
 
私がおかしいと思ったのは自分がした行動ではない。皆が当然の如くヴィシソワーズという言葉を知っているということなのだ。ナースステーションに戻り、私を師と崇める部下の男性看護師にお前ヴィシソワーズって知ってるかと偉そうに尋ねると、「まあベルサイユのばらの登場人物的なやつですよね」と、俺の部下になったものだからこのような悲しい発想になるんだ。
 
2011年05月22日(日)  ONE PIECE ONE.
 
ONE PIECEは面白いので絶対読んだほうがいいと、事あるごとにいろんな人から言われるので一念発起。1997年に連載が始まり、現在単行本は62巻という気が遠くなるような量だが、1巻から購入して読み始めることにした。
 
購入しなくとも漫画喫茶などで読めばいいと思うかもしれないが、私は独占欲が強いのか、人から借りた漫画、小説、ゲームこれ全て集中して読んだり遊んだりすることができず、いつまで経っても「これいつか返さなきゃいけない」という思いが離れずに集中することができないので自分が興味があるものは全て購入することにしている。
 
単行本1巻は煙草1箱の値段よりも安いため、煙草の代わりに漫画を買うという考えようによっては生産的な行為だと思う。63巻原価で揃えると24570円。本日で禁煙54日目で使うはずだった煙草代は11550円。決して実現不可能な値段ではない。でもサンジを見るたびに煙草が恋しくなるので困る。
 
2011年05月21日(土)  幸福のおすそ分け。
 
禁煙53日目。iPhoneの禁煙支援アプリ『只今禁煙中』によると、使うはずだった煙草代11130円。短くなるはずだった寿命2日。本来吸うはずだった煙草の本数530本となっている。53日で11130円浮いているというのにちっとも懐が温かくならないのは、おそらくその浮いたお金で御ハナの洋服を買っているためだと思われる。幸福のおすそ分け。次のまとまった浮いたお金で今度は妻に何かプレゼントしようと画策中。
 
2011年05月20日(金)  敬語とタメ語の狭間。
 
先日、光ファイバーが開通した際、インターネットの接続設定をプロバイダーにリモートサポートという遠隔操作で設定してもらった。受話器越しでお姉さんが「それではヨシミさんのPCを操作させていただきます」と、突然マウスが勝手に動き出しあっという間に設定が終了するはずだったが無線LANの設定で少し躓き、「あれ……あれ? おかしいですね。うーん。おかしいな。これでいいはずなんですけど……。うーん、どうしたんだろ」と、受話器越しに敬語とタメ語が入り混じった男性的に高ポイントである困惑ボイスが聞こえ、PCのディスプレイではマウスが彼女の動揺そのままに縦横無尽に動いている。「ちょっとトイレ行ってくるんで受話器置いときますね」と言うと「どうぞ」とそれどころじゃない様子の返答があり、依然マウスは動き続けている。トイレで用を足し再び受話器を取って「すいませんでした」と帰ってきたことを告げると、「あ、おかえりなさい」と受話器越しにフランクなお姉さん。敬語とタメ語の狭間で、彼女のイメージは募り続ける。
 
2011年05月19日(木)  虎口。
 
半身浴ってそんなに気持ちいいものかと思っていたらあまりにも息苦しくて風呂上りにやり方をググってみたら上半身と下半身が逆だった。
 
2011年05月18日(水)  深夜、美少女。
 
突発事項が重なって帰りが遅くなった午後11時。心身共に疲れ果て帰りに行きつけの居酒屋で一杯飲んで帰ろうと画策していたら、私と同様、心身共に疲れ果てた美少女ナースが「私も連れてって下さい」と言うので、たまには違う客人を連れて行くのもよかろう。職場から行きつけの居酒屋まで歩いて10分。閉店が0時なので1時間も飲めないけれど愚痴をつまみに一杯やりますかと、二人で居酒屋に向かったが閉店日。むむむ。店主に美少女ナースを自慢しようと思ってたのに。と、このまま帰るのもつまらないので近所のラーメン屋に。
 
この美少女ナース。100人見たら103人が美少女と言うであろう規定外の美少女なので、ラーメン屋のL字型カウンターに座った途端、店員含め男性客のチラチラ覗き見る視線がハンパない。彼女は毎日どこへ行ってもこの視線を浴びて気が滅入ってしまうのではないかしらと横顔を見ると、ひたすら無邪気にラーメンをすすっている。彼氏だったらこの視線に対して誇りに思うか周囲にメンチを切るという攻撃性に出るのか。私は彼氏ではなく上司なので気にしなくてもいいのだが、慣れない種類の視線に落ち着かないままラーメンを食べ終わる。
 
店を出たら0時がまわっていたので自宅まで美少女ナースを送る。彼女は大通りよりも人気の少ない通りを選んで歩くので、毎晩この道を通って帰宅するのは危険ではないのかと訊ねると、「よく考えて下さい。大通りの方がよっぽど危険ですよ」と、美少女論を展開。しかし私は美少女ではないのでよく考えることができないまま美少女ナースを送って大通りを通って帰宅。
 
2011年05月17日(火)  少年よ、万物にへりくだれ。
 
最近の若い者は、なんて言葉は使いたくないのだが、職場で電話対応などに耳を傾けているとまあ滅茶苦茶な謙譲語を使っている。若い者ほど人生においてへりくだる必要がないので、適切な謙譲語を使うにはそれなりの人生経験が必要だと思うが、謙譲語は意識して使用しようとすると過剰な敬語となり滅茶苦茶になってしまうので、迷った時は万物にへりくだっている私を見ればいいと思うと部下のナースに言うと、「ヨシミさんはへりくだっているというよりへそが曲がってますよね」と、上司に対して尊敬語も丁寧語も謙譲語もない、ただの因縁である。
 
2011年05月16日(月)  ひらがなよめた。
 
御ハナが最近急激にひらがなを読めるようになったことが嬉しくて、これまでに買ったいろんな絵本を引っ張り出して御ハナに読み聞かせたり、ゆっくりと読んでもらったりしている。字が読めるということにより、これまでの世界はより意味のあるものとして広がりを見せる。ひらがなの読み書きなんて小学校で教わるので別段強要しようと思ったことはなかったが、読めるとわかった途端にいろんな言葉を文字で教えたくなる。私は意識していろんな言葉や表現を御ハナに使っているので4歳児にしてはボキャブラリーが豊かだと思う。これからもいっぱい本を読んで、いっぱいお話をして、絵文字を使わなくても感情が伝わるメールが書ける大人になってほしい。
 
2011年05月15日(日)  家族。
 
深夜、一人原稿を書いている際、隣の寝室で妻の咳が聞こえると、隣の寝室に妻がいるんだなあと思う。執筆作業は自分と真剣に向かい合う作業のため、不意に妻の咳が聞こえると、私には妻がいてその横には娘が二人いるんだなあと思う。同じ屋根の下で、4人もの家族がいるんだなあと思う。執筆という地味な作業を続けていると、時に周囲の風景がグレーに見えることがあるのだが、妻の咳払いによって一瞬にして彩りを取り戻す。だから隣の寝室で妻の咳が聞こえると、隣の寝室に妻がいるんだなあと思う。
 
2011年05月14日(土)  俺の派閥。
 
仕事帰りに他部署の後輩とラーメンを食べに行き、午前0時がまわっていたので帰ってから風呂入るの面倒くさいよねと言ったら後輩が、「俺お風呂朝入る派なんで」なんてそんな派閥があることにビックリ。じゃあ夜は顔も洗わないで寝るのかと訊ねると「まあパシャパシャっとは洗いますけど」と尋常な表情で申すので、風呂入らないで顔パシャパシャでよく眠れるねと言うと、「まあ、俺お風呂朝入る派なんで」なんてそんな派閥があることにビックリ。以来、派閥に関して他者の話を意識して聞いていると、「俺ベルトしない派」「俺カーナビ使わない派」「俺焼酎はお湯割り派」など、平穏な我が職場にも様々な派閥が跋扈していることにビックリ。そんな私は「俺Tシャツの下にもう一枚インナーTシャツを着る派」素肌出すとお腹が冷えちゃうからね。
 
2011年05月13日(金)  白いセメント。
 
目下歯科治療中なのだが、治療中の歯に埋める白いセメントのあの頼りなさに親近感を覚える。「とりあえず」のためだけに生まれ、その「とりあえず」が本来の役割であるという、あの白いセメント。ガムやキャラメルなどの粘着的なものにすぐに屈するあの弱さ。弄んでいると容易に強度が落ちるあの脆さ。ひとまず差し当たって暫定的にまずもってかりそめの間に合わせ。まさに私の役回りそのものである。人はそれを「好い加減」と評価する。決して好い加減なわけではない。繰り返す暫定の流れの中で、真実を見出そうとしているだけなのだ。
 
2011年05月12日(木)  垢抜け。
 
私の好きな言葉はアイスキャンデー。次いでミルクセーキ。背伸びしたオシャレな言葉。洗練はされていないが垢抜けている感じの言葉。アイスキャンデー、ミルクセーキ。発音するだけで少し満たされた気分にさせてくれる。ケンタッキーのコールスロー。これもまた垢抜けている。私はコールスローと名がつくものはケンタッキーのものしか食べたことがない。よってコールスローイコールケンタッキーのコールスローなのだ。昼食にケンタッキーのチキンとコールスローを食べていたら、今度妻が作ってみると言った。「でもこの味は家庭では出せないよね」と私が言ったら、妻は「私のコールスローはケンタッキーでは出せないわよ」と言った。相変わらず発言が垢抜けた人である。
 
2011年05月11日(水)  キャッキャと笑う。
 
御ココ、大学病院受診日。定期受診日は必ず夫婦で行っていたのだが、妻が仕事のため、初めて二人で大学病院へ。それだけ御ココの容体が安定してきたといえる。縦横無尽に寝返りを繰り返し、顔を上げてニッコリと笑っている。毎朝浣腸をしなければ排便することができないが、それを除くと他の乳児と全く変わらない。むしろ愛想の良さは周囲を圧倒しているとすらいえる。
 
浣腸も毎朝行うようにと医師からの指示はあるが、浣腸しなくても自力排便がある時もあり、今後は浣腸の間隔を隔日にするなり試してみてもいいかもしれない。主治医は「少し便秘気味な子になるかもしれないが、大きな問題はありません。必ず自力で排便できるようになります」との見解。医療の世界に100%はないというが、小児外科の世界では高名な医師である、御ココの主治医の言葉に間違いはないと思う。彼はいつも静かな視線に誠意と自信をみなぎらせている。
 
家に帰り、仰向けになった御ココの少し張り気味のお腹に口をつけ「うんち出てこーい!」と言うと、振動でくすぐったいのかキャッキャと笑う。「うんち出てこーい!」とキャッキャと笑う。親も御ココもうんち出てこーいとキャッキャと笑えるようになった。
 
2011年05月10日(火)  コアとクラッドとパルプ生産量。
 
我が家に光ファイバーが開通した。光ファイバーとはガラスやプラスチックの細い繊維でできている光を通す通信ケーブルのことだそうで、なぜ光が通ってインターネットができるのか皆目見当もつかないが、どうして冷蔵庫ってものはああやって一日中食べ物を冷やし続けることができるのだろうかと生まれてこの方一度も真面目に考えなかった者に光ファイバーなど未知の世界。そもそも私は紙の原料といわれるパルプとはどのような物かすら知らない。色も形も大きさも知らない。パルプ生産量一位なんて言われても何のイメージもできない。世の中には知らないものが溢れていて、知っているものは自ら選択したものだけで、選択したものに囲まれて安心だ安全だと言っているものだから放射能だなんて急に言われても、ねえ?
 
2011年05月09日(月)  2位じゃダメ。
 
新居の書斎のカーテンを変えたいのだが、妻曰く「無駄遣い」と一蹴。「ブラウンじゃなきゃダメなの? 今のベージュじゃダメなの?」ヘアスタイルはセミロングだが明らかに彼女には蓮舫が宿っている。徹底した仕分け作業で早期の住宅ローン完済を目指している彼女にカーテンを変えたら書斎のライトも変えたいということは口が裂けても言えない。家計からの捻出が絶たれた今、印税での購入を目指す。
 
2011年05月08日(日)  淡い期待。
 
仕事中、PCに向かっていたら部下のナースが私の元へ。
 
「ヨシミさん、あれから煙草、吸いました?」
「え? え? す、吸ってないよ」
「ホントですか!?」
「ホントですよ」
「じゃあいいです」
 
と、去って行った。まだ私の禁煙に期待を寄せている部下がいる。嬉しくなって一服したい気持ちに襲われる。
 
2011年05月07日(土)  恩恵よりも。
 
久々に一人カラオケ。誰かを誘って一人カラオケの素晴らしさを説きたいのだけれど、それだと一人カラオケではなくなるので説けない。あんなに素晴らしいのに。いつもは1時間歌えば充分というか1人で立て続けに1時間も歌えば咽喉が枯れて身体的に延長が不可になるのだが、今日は咽喉の調子が良くてまさかの1時間延長。いくらでも声が出せてこれはどういうことだと狼狽えていたがピコーン! これが禁煙の効果なのかもしれない! と、ようやく禁煙の恩恵を自覚することができたのだが、恩恵よりもやっぱり煙草が吸いたいよ。
 
2011年05月06日(金)  失望の眼差し。
 
煙草を1本吸ってしまったことを告げた時の部下達の失望の眼差しがハンパなかった。ショックで涙ぐんで何度も本当に吸ったのか確認する者もいた。失望の対義語は期待であるからして、あの部下達の失望の眼差しから換算すると禁煙を成功したときの称賛の眼差しは、やはりハンパなかったのかもしれない。惜しいことをした。しかし、禁煙失敗したことをまるで自分の悲しみや痛みのように、仮にそれが演技であってでも表現できるのは看護師という職業人として合格だと思う。
 
2011年05月05日(木)  平身抵当権。
 
禁煙38日目。仕事のストレスに負け、遂に煙草を1本吸ってしまう。遂にこの1本に手を伸ばしてしまった。たかが1本、されど1本、しかしたかが1本。まだまだ大丈夫。ちょっと魔が差しただけである。悪魔にそそのかされただけである。仏教思想上、「悪魔」とは仏道を妨げる悪神のことであり、「魔」は人の善事の妨害をなすものであり、すなわち、「魔」は「悪魔」の心そのものであるからして、私の心にも悪魔が棲みつき、どうにも気持ち悪いので煙で燻ってやろうとバルサン的な気持ちで吸っただけなので後悔はしていない。むしろ前途を見据えた建設的行為である。文句がある奴には平身低頭謝罪します。
 
2011年05月04日(水)  ポティロンェ……。
 
GW唯一の休日。御ハナと公園で草スキーがしたくて茨城県稲敷市にあるポティロンの森という農業公園に行ったのだが失敗しました。午後1時頃到着し、お目当ての草スキー場に行ったのだが、GW中のためあまりにも人が多すぎて入場制限がかかっており、次の入場可能時間が午後4時半だという。では残り3時間半を耐えられるほどのアトラクションがあるかというと、草スキー場に隣接するボート乗り場も数時間の順番待ち。公園ではゆっくりできるほどのスペースがない。食事もあまり美味しくない。「……これほど”失敗した”って思う休日は初めてかもしれないわね……」と、妻が呟き土砂降りの帰宅途中、全長120mある牛久の大仏が鎮座しており、巨像恐怖症の私は運転に集中できず妻と運転後退。「怖いねえ。大仏って怖いよねえ。あんな大きくすることないのにねえ」と、妻と御ハナに交互に話し掛けるも同意を得られず。
 
2011年05月03日(火)  新パートナー。
 
9年間使用したデスクトップPCから先日購入したノートPCへのデータ移行作業が終了。この9年間、全く故障せずに毎日よく頑張った。私の著作物のほとんどはこのパソコンから生み出されたのだ。とうの昔に元は取れたと思われるほど高い生産力を発揮したこのSOTECのパソコン。SOTECという会社がなくなった今も私の部屋で毎日起動してくれた。今回購入したノートPCは、まだキーボードの配列と感触が慣れなくてじりじりするけれど、これからも新たな作品を次々に書けていけたらと思う。差し当たっては電子書籍の新作の追い込み作業。さあ新たなパートナーよ。私が使用するのは概ねネットとメモ帳だけなのだが、いじけることなく今後とも宜しくお願いします。
 
2011年05月02日(月)  いけずな女将。
 
仕事帰り、部下と行きつけのカウンターだけの焼き鳥屋。酒を飲むとどうしても煙草が吸いたくなる。これはこれまでの依存が抜けきらないということと、酒の席でのお前の話がまったくくだらないからだと部下を当たり散らしていたら、店主に禁煙失敗すると次の禁煙がより難しくなるからここは我慢しなさいと咎められた。
 
「俺は中学から1日80本吸っていたが今はもう吸っていない。あの頃は軽い煙草なんてなくってな。ショートピースを吸ってたんだ。1日80本」と、焼き鳥を焼きながら喫煙話を始めた店長を尻目に、カウンターの段で顔を隠して部下に「あれは、てんで嘘だぜ。中学で80本だなんてどんだけいぶりがっこwww」と、ニヤニヤしながらこそこそ話していたら、「はいどうぞぉ」と、女将さんが先ほど注文した冷奴と一緒に、女将さんの煙草を1本差し出した。意地悪な人である。
 
2011年05月01日(日)  新調。
 
9年振りにパソコンを新調。ただいま引っ越し作業中。人生初のノートパソコン。スペックは茶色。え? そういうんじゃなくてスペックは? 茶色。ブラウン。
 

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