2010年06月30日(水)  溶けちまう 梅雨の中日の 夢の国。
 
家族でディズニーランド。朝方涼しかったのでTシャツの上に五分丈で袖の折り返しの部分が水玉模様のお洒落なジャケットをまとっていったら夢の国に入った途端、容赦なく陽光が照りつけ北風と太陽の旅人の如く慌ててお洒落ジャケットを脱ぎベビーカーの上に放り投げておいたら客に揉まれるうちにいつの間にか紛失しており、あのジャケットあまりにもお洒落すぎて2回しか着ていないけれど安堵したのはここは夢の国だということで23区内ならまだしも夢の国で人の衣類をネコババする奴なんてのはひどい魔法をかけられるに違いないので帰りに遺失物センターに寄って数時間前にジャケットを落とした旨を伝えると本当に調べたのかっていう早さでこちらに連絡は届いておりませんと返答されたので諦めた。でも御ハナは終始目を輝かせて楽しんでいた。数十分にも及ぶ空飛ぶダンボの乗り物やトゥーンタウンのミッキーの家での写真撮影の行列にもよく耐えてくれた。そしてお風呂で今日の思い出話をいっぱいしてくれる。ジャケット1枚失くしたってどうってことない。ジャケット1枚なぞ全く惜しくない。炎天下に必要性を見出せず自らの意思で消えてしまったジャケット。2回しか着てないジャケット。全然惜しくない。あのジャケットどこにいったんだろう。高かったのにナ。
 
2010年06月29日(火)  脾肉の嘆。
 
とある学会で発表する論文の締め切りが迫っており今回は同僚のイケ原君も発表するらしく、「ヨシミさんプロなんだから論文の書き方教えて下さいよお」なんて猫騙し作戦に引っ掛かり、彼は綺麗な妻の力を借りて先日抄録まで書き終えてきやがったのでもう何も教えない。ちなみにイケ原とはイケメン原付の略である。私はとある1年分のデータを集め幾種かの統計を取らなければいけないのだが、たった3ヶ月分のデータ収集に5時間も要して愕然とした。データ収集はおさるのジョージでもできるような単純作業で強力なバーネットがいれば格段に早くなる作業なのに俺には強力なバーネットがいない。強力なジョシュ・バーネットがいない。強力な助手がいない。こんな思考回路だから一向に物事が前に進まない。
 
2010年06月28日(月)  フレンチ30。
 
御ハナは下の子が男の子だったら「クロスケ」という名前をつけたかったらしいが、二人目も十中八九女の子でしょうと健診で言われたとのことで、御ハナに女の子の名前も考えているのか訊ねたところ笑顔で頷くため、どんな名前か聞いてみたら「えとね、フレンチサンジュー」は? 「フレンチ30」何それ? 「えとね、女の子だったらね、フレンチ30にするの」と、何度聞いてもフレンチ30と言うので御ハナは本当に妹の名前をフレンチ30にするつもりらしい。なんという奇抜なネーミング。突飛なセンス。ただならぬエキセントリックフレンチ30。私もその名前がいたく気に入り、お腹の中の次女は本日より暫定的にフレンチ30。お腹のマッサージをしながら「フレンちゃーん」と呼ぶと下腹部でグニョグニョと動くようになった。
 
2010年06月27日(日)  その雅量、エレガンスでグレースな。
 
土曜の朝8時頃に教育テレビで「おさるのジョージ」というアメリカで製作されたアニメを放映しているが、飼い主の黄色い帽子のおじさん始め、おさるのジョージを取り囲む全ての登場人物がジョージに対して半端なく寛大なのが見ていて怖い。ストーリーは1話完結型で、人間の真似事をしたいジョージが猿知恵を使ってあれやこれやと工夫するが所詮猿知恵で時に家を壊滅状態にしたり街中を滅茶苦茶に汚したりとヤンチャを通り越して犯罪にもなりかねないトラブルを起こすのだが、登場人物はいかなる事態が起きても「まぁジョージったら」という一貫した深刻性の感じられない姿勢を取っており人間の底知れぬ寛容さ、清濁併せ呑み続ける黄色い帽子のおじさんの笑顔から現代のリベラリズムすら感じ取ることができる。私なんてのは気が小さいのでこの人達いつかマジギレするんじゃないだろうか。こういう日頃温厚な人達がマジギレしたとき私は職業人としてどのようにフォローすればいいんだろうかなどとヒヤヒヤしながらジョージの動向、周囲の反応を見守っているためなかなか番組に集中できない。
 
2010年06月26日(土)  ごね毒。
 
自らが持ち得ていないものに対して人は妬んだり僻んだり時に憧れたりするのであって世の中に「ごね得」という概念が存在することが気に入らない。私は過剰に他人の顔色を窺う傾向があるので、ごねて相手に譲歩させた分だけ得をするという手法をひとかけらも持ち合わせていない。そもそもごねる勇気がない。ごね得って世の中を渡るのに最強のテクニックだと思う。自分が傷付くことがなく、相手が傷付いたか否かなんて考えることもない。エゴを前面に押し出し勢いで利得する。しかも往々にして無意識。無敵じゃないか。でも自分では傷付いてるって平気で言っちゃう。やっぱり無敵じゃないか。
 
2010年06月25日(金)  すいませんごめんね。
 
そういえば僕って人に全然謝んないよね。「うん。あやまんないあやまんない」と、私は自分のことなのに「そういえば」という感じでで何があっても他人に謝罪しないことを思いついたというのに、看護師さんは「そんないまさら」といった具合で、私の閃きをサラリと流した。そういえば僕って人に全然謝んないよね。「はあ? 何急に。それじゃあ今までの分謝ってくれんの?」と、看護師によっては怒り出してしまう始末。しかし私は口癖のように「すいません」「ゴメンね」と連発しているはずだけどね。「あなたの場合言葉じゃないの。ココロよココロ。気持ちがこもってないの。女の人達はそういうのすぐ見透かしちゃうんだから気を付けなきゃダメよ」すいませんそういうことだったのかゴメンね。「だからそういうところ!」
 
2010年06月24日(木)  バーンとォ!
 
PSPのゲームアーカイブスでダウンロードした「俺の屍を越えてゆけ」を目下プレイ中。1999年のプレステ用のRPGで当時も寝る間は惜しまぬ程度にハマっていたのだが、このゲーム何が面白いってゲームしながらパソコン開いてエクセルのフローチャートでチマチマと家系図を自作することが面白くただ純粋に面白く、家系図といってもゲーム内のキャラの家系図で、こういうことを周りに言っても誰もわかってくれるとは思わないが、本当に面白くてパソコンに保存してある大切な自作家系図を誰かに見られたら小学校の頃に書いていたキン肉マンの「考えた超人ノート」を見られた級の恥ずかしさに耐えられず卒倒必至。
 
2010年06月23日(水)  アイムトラウマー。
 
「私ヨシミさんトラウマなんです」と部下の看護師。仕事中に突然何を言い出すかと思ったら何も意味がわからないことじゃないか。トラウマってことは貴女とまだ出会って間もないから私に理由があるわけではなく、あらかた昔付き合っていた彼氏に似ているとかそういう話を始めるのでしょう。その昔の彼氏がひどい暴力を振るっていたとか嫉妬深かったとか悲惨な別れ方をしたとか。それで私の顔を見る度に心的外傷が喚起され居た堪れない気持ちになってそのタイミングで丁度仕事が暇になったので私がトラウマだってことを告白したのでしょう。で? どうして私がトラウマなの? 「あ、全部言われちゃいました」あそうごめんね。
 
2010年06月22日(火)  煮ても焼いても食えない話ゴールデン。
 
職場に私を師匠扱いする部下がおり、私は弟子扱いするつもりはないのだが何をやっても「やっぱヨシミさんすごいっスねぇ!」と感嘆敬服するため扱い易いこと此の上なく、職場で説教しては週に1回行き着けの焼き鳥屋で酒を飲み、二人して何らかの特許を取って楽して生きようぜ。「俺新しいアイデア持ってます絶対売れます」なんだ言ってみろ。「耳かきありますでしょ。あれを指に装着させるんです」で? 「で? ってまぁそれだけです。指で耳掻いたりしますでしょ。だったら指に耳かき装着したら指で耳掻きする感覚で本格的に耳掻きできるっていう」よし採用だ。お前は生涯掛けてその簡易耳掻きを成功させろ。俺は妻の風呂上りのお腹マッサージがあるから帰る。「マジっすか。ゲーセン行かないんスか」高が知れてる。「俺、今日は勝つ自信あるんですよ。なんかマジで」と、職場で説教、焼き鳥屋、ゲーセンというどうしようもないコンボが存在するのだが、ゲーセン行って何するかというと、クイズアンサーアンサーやマジックアカデミーなどのネットワーク対戦型クイズゲームをするのであって彼との戦歴は30勝2敗というほぼ10割近い勝率で勝ち続けており、有名大学を出ているくせに商業高校卒業の俺に敵うものはないのかと煽ったところ、バスケ部だったんでバスケだったら勝ちますと、無尽蔵にネット目掛けてボールを投げるゲーセンのバスケゲームをプレイしてやはり圧勝。「やっぱヨシミさんすごいっスねぇ!」と、彼の中だけ私の評価は上昇し続けるという煮ても焼いても食えない話。
 
2010年06月21日(月)  脱力からWar!
 
ワールドカップ会場の大画面スクリーンに各国のサポーターが映し出されることがあり、スクリーンにサポーターが映し出される時は試合が動いていない時が多いため、だいたいのサポーターは完全に油断しているのだが、スクリーンに映ったと気付いた瞬間に無理矢理盛り上がった恰好をするので不自然に映ることが多いのだが、先日のギリシャ戦の時などは、ギリシャ兵士の鎧をまとったサポーターがハーフタイムで顔まで覆われる兜を半分脱いでおり脱力している場面を映され、隣に立っていた友人が、「オイ! 俺たち映ってるよ!」と脱力兵士に声を掛け、スクリーンを見た脱力兵士は急いで兜をかぶり直しウォー! と盛り上がりアクションを演じようとした瞬間にスクリーンが切り替わるといった、今回のワールドカップはスクリーンに映ったことに気が付いて脱力状態から盛り上がった瞬間にカメラを切り替えるというどう考えたってわざとやってるだろうと思うような場面が多く見受けられ、行き場をなくした盛り上がりアクションをどう処理するのか各国のサポーターの心境を考えると、心境を考えなくたって試合が夜中にあるものだから毎日眠くてしょうがない。
 
2010年06月20日(日)  茫々ドーム。
 
職場の上司と仕事帰り巨人-中日戦を観戦に東京ドーム。定時直前の救急車対応にも屈せずというか若干屈し1時間残業してしまったが野球観戦しながらビール飲めるのでどんな困難にもくじけずに東京ドームに到着すると巨人のピッチャー内海が滅茶苦茶調子良くて既に7回表。あれよあれよと2安打完封勝利で速攻試合終了。やべ、やべ、と、試合を見たいんだかビールを飲みたいんだか試合終了までの束の間の時間に生ビールを2杯飲み、完全不完全燃焼というモヤモヤした状況になり、そのまま水道橋の中華料理屋で酒を飲みワールドカップを見ながらピッチャー内海の好投について議論というよくわからない事態のまま終電で帰宅。
 
2010年06月19日(土)  清水寺からアロマ湯気。
 
無印良品の超音波アロマディフューザーを購入したのは、無印良品に行くたびにあの良い香りがする湯気を出す装置に心惹かれており、いつの日かあのオシャレ感を我が家にもと夢を抱き続け遂に清水の舞台から飛び降りる勢いで小遣いをはたき本体とエッセンシャルオイル計5000円を支払う。33歳にもなって清水の舞台から飛び降りる勢いを得なければ5000円も支払えない人生に愕然とするが、清水寺の古文書調査によると清水の舞台から飛び降りた時の生存率は85.4パーセントだそうで意外と高く、人生での意を決する判断なんてまぁそんなもので5000円であのオシャレ感が演出できると思えば安いものじゃないかと思うけれども無印良品の商品は往々にして日常生活に混在した途端にオシャレでも何でもない普通のなんというか無印な良品に成り果て己のセンスを試されているようで何とも不気味。
 
2010年06月18日(金)  ハートピカピカ。
 
先日までアンパンマンアンパンマン言っていたと思ったらいつの間にかプリキュア一色である。大地に咲く一輪の御ハナは靴もプリキュア、パンツもプリキュア、お風呂上りはプリキュア変身パジャマである。プリキュア変身パジャマは夏用と冬用があって、4月頃に冬用を購入したら暑くなっても頑なに冬用変身パジャマを汗だくで着ようとするため先日半袖で生地も薄い夏用変身パジャマを購入。これで四季を通して夜はプリキュアである。時にパパは悪役となりプリキュアパジャマを洗濯し、キティちゃんやアンパンマンパジャマを何とか口実をつけて着せて乗り切るのである。
 
2010年06月17日(木)  露払い力。
 
近所のスーパーで夕食の材料を購入し商品をレジ袋に入れようとしたところ、あまりにもレジ袋が小さく絶対に入らないサイズだったため、レジ袋をもらいにレジに戻ろうと思った瞬間、「小さかったら言ってね! 袋あるから!」とレジのおばちゃん。クレーム回避に長ける人はこういう相手の先手を打つ台詞を自然に出せるものである。
 
要するにレジ袋のサイズの選択を間違ってしまった、というか小サイズか中サイズ、どちらにするか迷ったのであろう。しかし僅差で小サイズのレジ袋に入りきると踏んだのだ。私に小サイズのレジ袋を渡しこのまま小レジ袋に商品を全て入れ帰宅すればOK。ギリギリのサイズで地球にも貢献した結果となる。しかしおばちゃんの読みは間違っていた。商品を入れようと袋を開けた瞬間の私の怪訝な顔を見逃さなかったのだ。
 
これ小さいので取り替えて下さいと客から言われるよりも、その袋は小さいかもしれんけど小さければ大きいサイズにすぐ取り替えることが可能であるし小さい袋に無理矢理商品を詰め込もうとするお客様の無頼な姿勢には感服するがそれではあまりにも商品が可哀想な気がするし強いてはお客様への不幸にも繋がりかねない。よって私は貴方を心配して声を掛ける。「小さかったら言ってね! 袋あるから!」
 
自らの過ちを訂正し更に感謝までさせようとする手法。職場でクレーム対応を行う際、是非このおばちゃんの台詞を思い出してもらいたい。
 
2010年06月16日(水)  イモーラル。
 
職場のエレベーターが閉まる直前に滑り込むように看護師が入ってきて恥ずかしそうにヨシミさんに聞きたいことがあったんですと申すのでなんだいなんでも言ってみなさいと快く応じ、私がなんだいなんでも言ってみなさいと言う時は、さっぱり真剣に考えない時で対応する者は黄色のシグナルを照らすべき状況なのだが看護師は意を決した様子で顔を上げ、「下の毛がない女性ってどう思いますか?」と恥ずかしそうに申すので、うら若き女性がエレベーターに滑り込んできて唐突に下の毛の話をするなど、昨今のAVでも考えられないシチュエーションであるが何をご乱心なされておるのかと看護師に訊ねたところ、「流行ってるんです」と。下の毛がないことが流行っているのですかと確認したところ、「ええ流行ってるんです。周りの友達の中で」と。流行っているんだったら話は別です。剃りゃあいいじゃないですか。剃りゃあ。すると「剃るんじゃないんです。抜くんです」と追随。抜くの? 抜くのはなぁ。へえ。抜くの? ひゃぁ。痛そうだなぁ。と、下半身をもぞもぞさせているうちにエレベーターが1階に到着し双方通常業務に戻る。
 
2010年06月15日(火)  幸福ブルジョアジー。
 
いとこの夫は年商百億数十億の企業の社長さんでたまにテレビで見かけるが、見かけるのはテレビだけで未だに会ったことがない。暮らし振りを伺うと尋常ではない豪勢かつブルジョアジーの極みを感じるが俺は白衣を着たプロレタリアート。生産手段を所有しないため、今日も自転車で職場へ行って患者さんから職員までいろんな問題を解決した労働で得た賃金で生活し、その範囲内で幸福とはなんたるかを熟考し範囲外の幸福を得ようとする我が家の中では俺が資本家で俺が地主の有産階級。いわば幸福ブルジョアジーでありこれはこれでとてもいいような気がする。
 
2010年06月14日(月)  共鳴ロマンスグレー。
 
昨日行った宿の朝食は部屋食ではなく他の宿泊客と共に大座敷で食べるスタイルで、座敷に入ると人数を告げると仲居さんに案内されて座るのだが、ちょうど私達が座った後に初老の男性が入ってきて何名様でしょうかと仲居に訊ねられ、えっと何人だっけと即答できず、ご予約されたお客様名を教えていただけますでしょうかと訊ねられ、誰で予約してんだっけとこれまた即答できず、お部屋番号伺ってもよろしいでしょうかとこれも何号室だっけと連れの家族より先行して朝食会場に乗り込んだが何一つ有意義な情報を持ち得ておらず、結果家族の到着を待つという初老の男性の後姿を見て焼き魚をつまみながら憐れみを感じていたら「あなたみたいね」と妻。ハッとした私。これは憐れみではなく同情であったと気付いた瞬間であった。
2010年06月13日(日)  仁王リバティ。
 
伊豆の温泉宿に一泊。東京から浜松まで4時間、同じ静岡県内だというのに浜松から伊豆まで4時間と大移動で疲憊した身体を温泉に浸らせる前に御ハナの体を洗い、温泉は誰もいない貸切状態だったため、御ハナを湯に浸らせてアンパンマンだーなんつって温泉内で手を引っ張ってバタ足させるなどして遊んでいると家族で伊豆に旅行に来ているという幸福感は味わえるが疲労が回復しないため、部屋に戻り豪勢な夕食を摂り酒を呑んだ後、再びゆっくりと温泉に浸る。露天風呂じゃないので夜空は見えないが、浴室の窓から隣の宿のロビーが見える。俺は素っ裸で大丈夫なのだろうか。大丈夫なのだろうかと、訝しながら浴室の窓の前に仁王立ちするこの辺りが旅の開放感って奴なの?
 
2010年06月12日(土)  お櫃!

「静岡のうなぎのお茶漬け食べたーい」と、何でもない夜に突如発せられた妻の要求に応えるべく、それじゃあ連休なので旅行がてらうなぎ食べに行こうと、伊豆に宿を予約して、早朝5時に静岡に出発。まず浜松へ向かい親戚の家に顔を出して御ハナの元気な姿を見せてから、浜松駅近くの有名なうな丼屋でお櫃鰻茶漬けを食らう。何て読むのかは知らない。値段も3000円ばかりして高いこと此の上ないがグルメではない私も値段相応の満足感が得られる一品。親戚の家で「せっかく来たんだからお昼くらい食べていきなさい」との善意を断ることができず、昼食を摂ってしまった直後だったがそれでもペロリと平らげてしまうこの美味さ。一杯目はうな重風にして食べて二杯目に薬味を乗せて土瓶に入った昆布だし入りのお茶を注いで食べるという一回で二度美味しいエンターテイメント感。これは何でもない夜に突如食べたくなるのもわかる逸品である。
 
2010年06月11日(金)  この戦争が終わったら。
 
出勤時からずっと便意を催しており、この仕事が片付いたらトイレに行こうと考えながら業務に従事し、この仕事が片付いたらある業務が発生しある仕事が落ち着いたら新たな依頼が勃発するという、週に数回発生するジョブスパイラルに巻き込まれたが決して屈することなく、いつの日かトイレへ駆け込む時を夢見て、この戦争が終わったら結婚するんだという死亡フラグにも似た悲愴感を持って業務を捌き、その勢いでタイムカードを押し退勤し、我が家でファミ通読みながらゆっくりとトイレに入るんだーと意気込んで自転車を漕ぎ万事休す。帰宅途中のセブンイレブンに急遽ピットインしトイレを借りて絶望に打ちひしがれながら大便。
 
2010年06月10日(木)  脳内パラダイス。
 
先日のAKB総選挙のメンバーの面々を見ていたら、こういうことは言いたくないし言うこともないと思っていたが、全員が同じ顔に見えるというミドルエイジ・クライシスに直面。ひどくショックを受けた。モーニング娘が流行っていた頃に年配の看護師さんが皆同じ顔に見えると言っていて、どこをどう見てメンバー全員が同じ顔に見えるんだ。なっちと飯田香織の判別がつかないなんてどんな神経してんだと訝ったりもしていたが、私もそろそろ三十半ばを向かえ、まだまだ若いと思っていても心と体は老化を始めており、そのギャップを受け入れられないものだから自らを防衛する為にAKBを鼻で笑い、親子リレーで転倒するのであろう。
 
2010年06月09日(水)  固定観念スプレー。
 
小奇麗な店のトイレに行くと、大抵置いてある便座除菌クリーナー。私は便座除菌クリーナーはスプレータイプであるという固定観念から脱却できず、除菌スプレーを出す勢いでボタンを何度もプッシュするとスプレー的手応えを感じず、あれ? スプレー切れてんのかしらと折り畳んだトイレットペーパーを確認するとそれは濃縮ジェルタイプの除菌クリーナーで、ジェルタイプは2回ほどプッシュすると十分な量が出るのだが、スプレータイプの勢いで4・5回プッシュしたものだからトイレットペーパーの上でジェルがでろでろになっており、しょうがないのでジェルでろでろのトイレットペーパーでもって便座を拭くと、今度は便座がでろでろになってジェルが乾くまで呆然と立ち尽くすまでの間に往々にして糞を漏らす。
 
2010年06月08日(火)  少しつらいラー油。
 
桃屋の辛そうで辛い、辛いようで辛くない、え、なんだったっけ。辛そうで辛くない辛そうな、いや違う。辛そうで辛くないちょっと辛い、え? そうそう。辛そうで辛くない少し辛いラー油がどこにも売ってないので、手に入らないという事実が拍車を掛けて禁断症状が出て辛い。あれは辛いって書いてるけどつらそうでつらくない少しつらいラー油だ。つらい。寂しい。類似品に浮気をしてしまった自分を後悔している。お願いだから早く再出荷してほしいなんてことをナースステーションでまくし立てていたら年配の看護師さんが「じゃあ私作ってきてあげる」なんつって、だーかーらー類似品じゃダメなんだよー。桃屋のラー油がいいんだよー。なんて言えるわけがなく、「え? ホントっすか!」と、くだんの調子でヘラヘラ笑いながら依頼し、でも桃屋がいいんだよなーと無礼至極なことを考えながら翌々日を迎え、「はいラー油。お待ちどう様」と看護師さんに渡されて、でも桃屋のラー油がいいんだよなーという思いを払拭できぬまま夕食に手作りラー油を食べたところ、桃屋のラー油の10倍美味しかったので桃屋の思いを払拭できずに看護師さんの手作りラー油を軽視していた我が身を恥じ、翌日看護師さんに「正直桃屋のラー油には勝てないと思っていましたけど、桃屋のラー油が東京タワーだとしたら、手作りラー油はスカイツリー、いや、エッフェル塔クラスでした」と、この熱き思いをイマイチ伝えきれず2010年初夏。
 
2010年06月07日(月)  勇気!気概!ジャスティス感!
 
腕時計の電池が切れたので近所のショッピングモール内の時計屋に電池交換に行ったところ、これはスイス製の時計で当店では交換できないので外注となり、三週間ほどかかると店員に言われ、ふぅんそんなものなのかとじゃあお願いしますっつって交換を依頼したところ、電池交換をした際、防水機能が失われるので再度防水機能を付与するには追加料金が掛かり正味五千円となると尋常な表情で申すので、なんだか滅茶苦茶な話のような気もしたが、じゃあなんでもいいのでお願いしますっつって器の大きさを泣く泣く示すに至ったのは、スイス製の時計の電池交換が五千円もするわけがないということを論破する自信がなく、要するに様々なクレームなんてのは相手の土俵に踏み込んでいく勇気がある人で、私が従事している医療の仕事でも時々クレームが発生するが、クレーマーは医療界の常識では到底考えられないことをさも当然のように要求してくるものであって、手前の常識なんざ関係ねぇ俺の常識は業界の常識を越え社会通念として真っ当なことを言っている。業界の常識と社会通念、どっちが正しいと思うか。社会通念だろ。社会通念だろー。と、時に畏敬の念まで感じてしまうような勢いがあり、クレームの内容はともかくその勇気、気概、ジャスティス感はある意味見習う価値があるんだよなあと考えながら電池交換代五千円を支払う。
 
2010年06月06日(日)  フィッシュハート。
 
先刻、数年振りに知人から電話があり、私は気が向かないと誰からの着信にも応答しないという非常に我侭な人間なのだが、今夜はたまたま気が向いたので数年振りに話してみたら、この知人は鹿児島の病院で一緒に働いていた男性で、歳が一つか二つ上で、鹿児島にいる頃はよく飲みに行っており、私が上京した一年後くらいに彼も上京して、東京でも二度三度飲んでいたのだが、私が転職やら結婚やら出産やら育児やらで何となく疎遠になってしまい、なんだかんだで三年の月日が経っており、こうやって私も気が向いて電話をとったので久し振りに飲みに行きましょうと打診すると「君は相変わらず我侭な人間だ」と笑って済ませてくれたので、私の周りには笑って済ませてくれる人が結構いるので助かります。今どこに住んでるのと訊ねたところ、四駅しか離れてなくてこんなに近くてもこんなに疎遠になれるんだねえ。なれるんですねえ。なれるんですかねえ。と、三年振りに微妙に年上の昔の飲み仲間と話すものだから三年前に敬語を使っていたかタメ語を使っていたか思い出せませんでした。
 
2010年06月05日(土)  見て下さいこのボディ!
 
とある女子大で開催される就職説明会に参加。いいかい。私が言うことをよく聞いておくんだよ。就職説明会なんてのは学生が就職を決める場所ではない。就職してみてもいいかなって興味を抱かせる場所なんだ。私の説明をよく聞いておきなさい。十人いれば十三人興味を持つ説明をしてみせます。十三人というのは、十人のうちの誰かが三人の友達をも連れてくるって意味でね。と、お付きの人事部の女性に説明するが、本当ですかぁそんなこと言っちゃってぇお願いしますよぉと半信半疑でヘラヘラ笑うばかりで、悪しき心を持ったならば高額の壷をも安易に売り飛ばせるこのトーク術を見るがいい! と、十数名の学生の前で卓越した就職説明トークを如何なく発揮。「それでは続きは駅前のドトールでね」と、学生の笑いを誘って説明会を締めて、どうだい。なんとなくすごかったでしょと、人事部の女性に胸を張ったところ、「お世辞抜きにあの学生さんみんなドトールに来る勢いでしたね」と、驚きを隠せぬ様子。嘘は吐いていけない。脚色してはいけない。限られた事実を元に、それをどう表現するか。「どうすればあんなに話せるんですか」毎日日記を書けばいいのです。
 
2010年06月04日(金)  心のビートウォッシュ。
 
大抵、多忙を極める職場で燃え尽きて日々這々の体で帰宅するのだが、気力が余っているとだらだらと小説を読みながら晩酌をすることを興趣としており、更に気力が余っていると夜のうちにお洗濯しとくと明日の出勤前はより優雅に過ごせるよねと、全自動洗濯機のスイッチを入れてソファーに寝てんだか起きてんだかの姿勢で塩味トップ豆を食いながら酒を呑み小説を呼んでいると酔いも回ってきて次第に眠くなり、よし、歯ぁ磨いて寝るかと立ち上がろうとした矢先、パァーファファファーファ、パーファファファーファ、ピーヒャラピヒャラパッパッパと、全自動洗濯機が洗濯を終えたことを告げる電子音が鳴り、酒を呑み小説に耽るうちに洗濯していたことなどすっかり忘れ、もはや部屋干しする気力は残っておらず、然し洗濯槽に放置すると洗濯物が臭くなり妻から説教を食らうのでHDDに録画していたあらびき団を見ながら半覚醒状態で部屋干しトップ豆。
 
2010年06月03日(木)  苦汁。
 
今夜も酒のつまみに塩味トップ豆を食らう。一個食べたら止まらない、翌日の一つや二つの吹き出物なんて関係ない。俺はこの一杯の麦酒、乃至発泡酒、乃至第三の麦酒に命を懸けると、刹那的な思いに身を委ね、夜な夜な塩味トップ豆を食らい続けるが、俺が長年好んで食らい続けている此の塩味トップ豆とは一体何ぞや。と、丁度パソコンの前に座っていたので「塩味トップ豆」と検索してみたらイマイチ納得のいく答えがヒットせず、「トップ豆」で検索してみたら絶望的な検索結果で、「トップ」と検索したら酵素パワーで汚れをナノレベルまで洗浄除去する時代になっていた。部屋の窓から建設中のスカイツリーが見える。
 
2010年06月02日(水)  鬼畜の所業。
 
コンビニで御ハナの朝食用の3個入りプリンを購入した際、店員がレジ袋にその3連プリンを縦に入れた刹那、気が遠くなるほどショックを受け、静かに憤怒した。
 
三つ仲良く肩を並べて生きてきた者を! 縦社会という陳腐な枠組みに洗脳され! いや応なく縦に詰め込まれた挙句! その艶やかな内面までグシャグシャにされ! 更に封開く前からカラメルと混在させられ! 呆然と立ち尽くす客にありがとうございましたと不敵な笑みを浮かべて感謝の辞を述べる! その姿下衆の極み!
 
2010年06月01日(火)  辛い怖い。
 
妻と御ハナと近所のお好み焼き屋で夕食。それにしてもモダン焼きってどうしてモダン焼きって言うんだろうね。「焼きそばが入っているからよ」と、妻のシンプルな才覚に感銘を受けながら、お好み焼きともんじゃ焼きを食らい、今日はまだ食べられるような気がするね。と、メニューを見ると激辛もんじゃ焼きというものがあり、激辛いってみる? なんて少年の悪戯心にも似たような気持ちで激辛もんじゃを注文してみて一口食って悶絶。何が入っているか皆目見当もつかぬが暴力的に辛い。そもそも飲食店に於ける辛さってのは一種のエンターテイメントとして成立するのであって、辛さが前面に出ていたとしても、その背景にある元の素材を引き立てるものだと思うのだが、このもんじゃは徹底して辛い。全くもんじゃとして成立していない。「私、何をしたっていうの?」と、妻も涙と鼻水を流しながらチビチビと口に入れ都度悶絶している。御ハナは先刻からモダン焼きの焼きそばの部分のみを食べている。子供が口にしたら三日三晩泣き止まぬであろうこの辛さ、分量を間違えているのではないかしらと店員をチラと見たら髪の毛を鮮やかな金髪に染め上げているので怖い。髪の毛を鮮やかな金髪に染めるに至ったエピソードを考えるだけでも辛いのに。
 

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