電車の中で猫を見る。良いな。キャリーバックに詰めて持ち歩いて欲しいと思った。


私と笑う時の声は、愉快そうなのだけれど静かな雰囲気はそのままで、それを壊さず目を細めながら笑えるあなたを、一番素敵だと思う。

私を誉める声は暖かく優しい。頑張った、と沢山言ってくれて、とてもとてもほっとする。

私が困るような事を言う時の声は、深くて柔らかくて、少しやらしい。ほんの微かに混じるそれに、私はものすごく嬉しくなる。や、と困って言うとあなたは笑うから、私は困った声を出す。あなたはますます笑う。私はますます困ったようにする。ごめんね、確信犯なの。ね、あなたが好きよ。好きだからそうするの。私は抱きたいけれど一乃はどうしたいって訊かれた時、何も考えてないからそれで良いわって嘘ついてごめんなさい。咄嗟に言えなかったけれど本当は嬉しかったの、だって今でさえこんなにあなたに抱いて欲しいのだもの。

幾ら欲しい？自由と引き換えだから、良く考えて答えをお言い。

お金で私の自由を買おうとした人がいた。
それなら私はどれ程のお金でも要らない。


私の自由を奪えるのはあなたの愛だけ。

「いま　あなたに　どうしても　あいたい」
どの単語が重要なのかあなたは分かってる？


あなたが私の手を取ってから、絶望も希望も簡単に出会うものとなりました。あなたにとって私は何の為の人形なのでしょう。それが知りたいのです。私だけがあなたに出来ることって、何ですか。あなたは、私が必要ですか。

私は、私にとっては、あなたは。
あなた　だけが私を泣き止ませる事ができるのです。私にはあなたが必要なのです。
…と、二度目の季節が来る頃には、言えるといいと、思う。





愛して欲しいとあなたが願ってる事は知っています。あなたが私だけを愛するなら私はあなたを愛します。あなたは、あなただけを愛すると言う限定は求めていないのでしょう？私が他に愛するものを持っても何とも思わないのでしょう？思考の相違は誰との間にも存在する。けれど、他の相違とは異なって、その相違を赦せないと感じるのは何故？涙を流すほど口惜しいのはどうして？ねえ、私はあなたを一生赦さない。だから愛してる。有り難う。

ずるい。

私はあなたが好きで、あなたは私を好きと言い、私はあなたの隣にいてあなたは私を撫でてくれるけれど。
それなのにどうしようもなく口惜しいのは、私が想うほどあなたが想っていないから。
私のほうがずっと、あなたを好き。そんな事実に満足できるような回路は持ち合わせていない。私が願うのは、私をもっと好いて構って抱き締めて。もし願い事を一つだけ、なら、あなたの幸せはきっと願えない。会いたいのはいつも私で、帰りたくないのもいつも私。ねえ私の言う好きの量とあなたの言う好きの量ってきっとすごく違うんでしょう。私が持つこの思いは愛じゃなくて執着なんでしょう。
同じ強さで想い合えれば、こんなにも泣かなくて済むのに。


あなたが悪いわけじゃない。非があるわけじゃない。そんなの分かってる。
分かってるから責められずに、けれど人を愛すエネルギーは大き過ぎて持て余してもどかしくて、一人で泣いた。世界には沢山の人間がいて地に溢れていて、けれど私が泣いた事は、誰も知らない。そして例えあなたが知っても、あなたはただ、困ったように笑って宥め諭すだけでしょう。知ってる。

たった一度の裏切りで充分。

例えば、紙をナイフで切り裂けば、もう元には戻らない。子猫を蹴れば決して人間に心赦す事は無くなる。水に色を差せば透明には戻らない。羽をもがれた鳥は飛べない。


一人の男が犯した罪は、私に全ての男を疑わせた。どれだけ彼らの優しさに埋もれて救われても、結局の所、私は、その罪を彼らの中に見る。偏執なのか真実なのかなど分からない。そしてそんなのはどちらでもいい。二度と罪を犯さないと誓って。証明し続けて。


それほどその男を愛していたかと問われれば、そうなのでしょう。けれど、どれだけ笑い方を思い出しても、忘却を努めても、違う男を愛してその腕の中でも安らげなくなったのは、あなたの所為。初期不良の人形を作った、あなたの罪。愛が失せた後には罪だけが残る。そして私はあなたを憎悪する。


理不尽？知ってる。それが嫌なら、二度と私に近寄らないで。

相談と名の付いた愚痴。

いつも一緒に遊んでいるグループの中の、一人の男の子を好きになってしまって。でも、同じグループ内の女の子もその子を好きなんだって知ってる。女の子とも男の子とも友達だし、気まずくなりたくないし、別に好きだからってそれを言いたい訳じゃないし。

どうしたいの、と聞いたところで答えが返ってくるとも思えなかったから、ただ、紅茶を飲みながら聞いていた。最近、何故かこんな話をさまざまな知り合いから聞く。

一体何が欲しいの。
グループの和が保たれる事？友人の幸福？心の平穏？話を聞いてくれる友達？
答えを求めていないのなら、迷いがある訳では無いのなら、相談じゃないでしょう。だから私は黙って頷いて聞いている。あなたたちが求めているのは聞き手で、必要なのは時間で。


どうしても欲しくて欲しくて欲しくて仕方無い、と思える男に出会えたら。
それはとても幸運なのか、それとも不運なのか。






もし甘えたいのなら、甘える技術を磨きなさい。

何年か前に私が、多分、必要とした言葉。

遠い目の話は更に次回。



赤い痕、いわゆるキスマークですが、付いたり付かなかったりするのって何故なんでしょう。

市野は同じ個所でも付いたり付かなかったりするのです。変ですか。
体調や、身体の興奮状態に左右されたりするのでしょうか。今まで、自分は付き易い身体だと思っていたのですが、そうでも無いかもと思い悩んでいるのです。

何の痕も無い内腿。けれど先日、力一杯抓られた場所。痛痛痛、痛。

結構、昔の事ですが。

暗いお部屋で戯れていた時に、当然のようにキスをした訳です。
その時は相当夢中で、全く理性が飛んでたと思う。と言うのも明るい場所で身支度をして、鏡を見ると、

首筋にばっちり赤い痕。

しかも怪我かと思うくらい鮮やかな血色。

怪我だったら大流血。

なので、応急手当をしました。バンドエイドで。古典的。季節は冬、来ていたトップスがタートルネックだったのも幸いし、隠す事には成功。暫くタートルネック生活を余儀なくされましたが。

いや、馬鹿だってのは分かってます。自分でも思いましたもの。だから要するに何を言いたいかと言うと、それでも嬉しかったと言う事です。どうしてもキスが欲しかった相手から付けられた、血のような痕。勲章のようで誇らしくもあって。


それ以来、痕を付けられるのが好きです。
時にはねだってまで、付けてもらいます。
あなたが居ない夜は、それを見てあなたのキスを思い出します。




が。
それが後々、市野が遠い目をするようになった原因になるのですが、その話はまた次回。

おはよう。今日はお出かけですね。


01.顔は洗いましたか。

02.歯は磨きましたか。

03.下着は万全ですか。

04.ストッキングの代えは持ちましたか。

05.ウエストにパフュームは付けましたか。

06.メイクはウォータープルーフ仕様ですか。

07.脱ぎ易い、又は脱がされ易い服装ですか。

08.口紅は見た目がべたついていない物を選びましたか。

09.どんなイメージを作りますか。
　A.知的で大人っぽく
　B.天真爛漫でお茶目に
　C.病気、又は怪我で元気無く
　D.作らない

A.知的で大人っぽく
　01.待ち合わせ場所から、多少の移動で行ける範囲の、美術展・催事・博物館は把握していますか。
　02.食事する店、飲む店、連れ込まれる店を、それぞれ数箇所ずつ目星を付けてありますか。
　03.今日の朝刊は読みましたか。
　04.天気は把握していますか。
　05.優雅な微笑を作れますか。

B.天真爛漫でお茶目に
　01.本日の予定は決まっていますか。
　02.その予定を何処でちょろっと崩すか決めていますか。
　03.可愛らしい笑顔を作れますか。
　04.いざと言う時のフォロー用に、財布は豊かですか。

C.病気、又は怪我で元気無く
　01.メイクの色味は抑え目ですか。
　02.髪型は凝ったものにしていませんか。
　03.朝食は五分目で止めましたか。
　04.服装は寒色系でまとめましたか。


C.作らない
　01.連れ込む場所の目星は付けてありますか。
　02.鏡をなるべく見ないようにしましたか。
　03.勢いが肝心だと分かっていますか。






10.覚悟は完了しましたか。








では、出かけましょう。

私の持ち主はあなただけれど、あなたの言う事を聞くのは、私があなたの言う事を聞きたかったから。

したくない事はしない。絶対嫌。壊されても嫌なの。


だって私はあなたの物だから。このプライドはあなたの為にあるものなのだから。

ただいま、市野はお祭り中です。

女の子には月に一度お祭りがあるのです。約一週間。
その祭りを、血祭りと言います。


さて。
やる事山積みで、暇、等とは間違っても言えない生活の中、非常にばりばりと用事をこなして行きました。だらけるのが大好きな私にしては画期的。モーターの回転数がいつもの倍速くらい。
お祭り開催中は、全然したくなくなる人と、凄くしたくなる人が居るそうですが、市野は後者です。
非常に好戦的です。
その無駄に高いエネルギーの発散として、ばりばり働いてしまうのでしょう。ああ、このエネルギーを溜めておければ良いのにと痛切に思います。それくらい元気。



そんな時に限って、あなたから電話が掛かって来る。今、今、抱いて欲しくなる。
それでも、私には明日と言うものがあって。電話口の向こうもそうで。身体の熱から目を逸らして、独り眠るしかないのです。

お互いがお互いの生活を持ち、そこから抜け出して触れ合うのが幸せな時。
声だけで共通点を作る方法、電話。

少しお喋りして、それからシャワーを浴びて眠ろう。そう思って掛けた電話で、声を聞いた瞬間に思考が止まって。
会いたい。明日じゃなくて、一週間後でもなくて、今この瞬間、会いたい。電話を切りたくない。独りで眠りたくなんてない。
何処から来たのか分からない衝動に、勝手に涙が出た。会いたくて会いたくてたまらなくなって泣いてた。今すぐ横に居て。キスして、名前呼んで、撫でて、抱いて。
泣く程に、そんな風に思えた瞬間があると言うのは、女として幸せなんでしょう。
例え意味の無い音だって、その声だったと言うだけで、そんなにもそんなにもその人を縛れるのです。或いは自分を失えるのです。


その時の私は、何処かの回路が壊れたのでしょう。不思議な衝動でした。

口と言えばまず真っ先に思い付くのはキス、それから口で含んで気持ち良いよと言ってもらう行為ですね。フェラって言うんですか。世の中にはそれが大好きだと言う「女性の方」が、結構いらっしゃるらしいのですね。

私も嫌いではありません。余す所無くキスをして、含んでと請われるととても満足感がありますし、その後ゆっくり口に入れた時に吐息を洩らされると、それだけでぞくぞくします。口を動かして、気持ち良いよと言われるのも大好きです。

が。
市野の体力不足でしょうか。非常に疲れます。疲れるのは如何ともし難くて、直ぐに口から出してしまいます。数秒休憩してから咥える。また出す。また含む。大抵、4、5回は繰り返しています。
鍛えればもっと耐えられるのでしょうか。疲れきると、歯をガードするのが疎かになって居る気がします。痛いと言われた事は…無いとは言い切れませんが滅多に聞きませんが、痛くないから言わないだけではないでしょうし。

男性からしてみると、これってどうなんでしょう？動かされて、直ぐ出されて、また口に入れる、と言うのは。ご意見下さると嬉しいです。

楽しかった？と問い掛けると、ああ、と頷きが返って来る。

私が問いたいのは楽しかったかどうかではないのだ。楽しかったかと言う問いに、頷いて欲しかっただけなのだ。その我儘を聴いてくれるか確かめたかったのだ。そんな人形を赦してくれるかどうか、確かめたかっただけなのだ。

愛しい人と何をするのが好きですか。

ふと考えてみた。

一番好きなのはキス。
キスは元から大好きなので、ましてや愛しい人となら即、幸せ一杯状態に突入します。言葉を奪って深く口で繋がれるのも、そうっと軽く触れるだけでも、キスはそれだけで私を幸せにしてくれるのです。

それから、手を繋ぐ事。
男の人の手の平って、温かくて厚みがあって大きくて、何て素敵なんでしょう。手を繋がれると体温が段々上がっていきます。それはとても心地良いのです。

身体をぴったりくっつける事。
あなたが、ちゃんとそこに居ると言う事。強い力、重い身体、息が止まるくらいの安心感。

名を囁かれる事。
耳元で笑いながら囁かれると、言葉にならない程嬉しい。言葉に出来無いからとてももどかしいけれども。






抱き合う事は好きでは無いのかって？
抱き合いながら、それらの事をするのが好き、なのです。

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