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2006年01月25日(水) I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes.

このページの下に「I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes. 」という言葉がずっと以前から書いてあることに気付いている人はいるだろうか。
日本語訳は、「僕は唖でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ」である。

J.D.サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の主人公であるホールデンの言葉だ。
この前後を白水社文庫版から引用する。

引用ここから


通りかかった車に乗っけてもらって、次から次へと乗りついで行けば、数日のうちに西部のどこかに着くだろう。そこはとてもきれいで、日はうららかで、僕を知ってる者は誰もいないし、そこで僕は仕事を見つけるつもりだったんだ。どこかのガソリンスタンドに雇ってもらって、ひとの車にガソリンを入れたり、オイルをつめたりして働くことを考えた。でも、仕事の種類なんか、なんでもよかったんだ。誰も僕を知らず、僕のほうでも誰をも知らない所でありさえしたら。そこへ行ってどうするかというと、僕は唖でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ。そうすれば、誰とも無益なばからしい会話をしなくてすむからね。誰かが何かを僕に知らせたいと思えば、それを紙に書いて僕のほうへおしてよこさなきゃなんない。そのうちには、そんなことをするのがめんどうくさくなるだろうから、そうなれば僕は、もう誰とも話をしなくてもすむだろう。みんなは僕をかわいそうな唖でつんぼの男と思って、ほうっておいてくれるんじゃないか。

引用ここまで


さて、と。

まあ、そういうことです。

ネットで情報を配信することはとても恐ろしいことだ。
僕がこのサイトを始めた頃に考えていた以上にネットの力は大きい。
極北の個人のブログであったとしても。
僕の言葉のひとつひとつは本人の記憶にあろうとなかろうと、永遠にキャッシュされ、アーカイブされ、リンクされ続ける。

そして、僕はそれが怖くなり、ときどきホールデンと同じような気持ちになる。

「僕は唖でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ」。

でも、僕は唖のふりもつんぼのふりもしない。
眼と耳を開き、そして、書き、叫ぶ。

「僕は唖でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ。・・・でもそうしないことに決めた」





・・・電脳硬化症に苦しむ人間が一度は考えることですね。
村井ワクチンを認可してくれ。

■電脳硬化症
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E8%84%B3%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7%97%87




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