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2005年11月20日(日) スローキャリア、あるいは負け組み宣言

「スローキャリア」という言葉があるのだそうだ。
スローライフ、だとかスローフード、だとかそのあたりのジャーゴンと何の差異も見られない言葉だと思う。
スローライフにも、スローフードにも、どうも合わない僕だけど、スローキャリアは、なんだかしっくりとくる感じもしないではない。

誰が作ったんだかわからないのだけれど、あちこちで見かけるコピペ寓話。



メキシコの田舎町。

海岸に小さなボートが停泊していた。
メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。
その魚はなんとも生きがいい。
それを見たアメリカ人旅行者は、「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」と尋ねた。
すると漁師は「そんなに長い時間じゃないよ」と答えた。
旅行者が「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」
と言うと、漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」と旅行者が聞くと、漁師は、「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」。

すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。それであまった魚は売る。お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」
と旅行者はにんまりと笑い、
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」

「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。どうだい。すばらしいだろう」



結局のところ、こういうことなのだろう。
キャリアアップなんて、何の意味があるのだろう?個人として競争に勝つことに本当に意味があるのだろうか?と思う。

でも、不漁のときに備えた貯金があったほうが安心ではないか、とも思う。
とりあえず、リスクヘッジをできるだけのお金を貯めたら、とりあえず生活できる最低限のお金を得られる程度の仕事について、スローな生活をしてみたい、と真剣に思う。




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孤独に歩め 悪をなさず 求めるところは少なく 林の中の象のように

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