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2003年07月25日(金) 悪役の僕

最近、テレビドラマを見ていて思う。
僕が登場人物だったら、間違いなく悪役だ。

テレビドラマの主人公は基本的にワカモノである。
「会社モノ」だと、主人公のワカモノが理不尽な上司に向かって反抗し、最後は上司をぎゃふんと言わせる。
「アナタだって、若い頃はこんなんじゃなかったハズだ。思い出してくださいっ!」みたいな。
僕はそのワカモノから反抗される側である。

次に、僕のような外資コンサルが描かれるとしたら、冷酷なビジネスマン役だろう。
熱血の主人公は冷酷な外資コンサルのやり方に怒りをおぼえる。
「ビジネスは数字だけじゃないんだ。リストラされた人の気持ちがアナタにはわかるんですか?」みたいな。

理不尽な上司も、冷酷なビジネスマンもワカモノの言葉にハッと気づかされ、最後には人間性を取りもどす。

僕はテレビドラマを見ていて、悪役が出てくるたびに、妙にシンパシーを感じたりする。
やっぱりドラマはドラマ。
現実とは違う。
悪役が言ってる事のほうが正しいぞ。
ビジネスを全然わかってないガキに説得されてどうする?

テレビドラマってワカモノが見ているからしかたがないんだろうけれど、リアリティーのあるドラマを見てみたい。

主人公は外資のコンサル。
業績不振に陥った企業のリストラを進める。
工場を閉鎖し、支店を閉店する。
不採算部門を売却。
給与が見合っていない中高年をガンガンくびにする。
既存の社員をくびにする一方で、外部から優秀な社員をどんどん採用する。
資本の論理にしたがって企業改革に邁進する。

企業は自分のものだと信じて疑わず、自分達の生き残りしか考えていない現場の社員は事あるごとに主人公に反発。
リストラ候補の中高年社員は主人公の仕事を妨害する。
主人公は現場の反発にも負けず、経営陣や銀行とともに企業の再生に向けて闘い続ける。

主人公は叫ぶ。
「会社はあなた達社員のものじゃないんです。株主のものなんです。私達は株主のため、戦わなければならないんです」

最終回は企業の業績が劇的に回復し、主人公は復活させた企業の経営陣に迎えられる。
主人公を妨害しつづけた現場の中高年はリストラされ、ハローワークでも冷たくあしらわれる。
家族と住宅ローンを抱えた中高年社員は、ファミレスで皿洗い。
めでたしめでたし。

そういうドラマを見たいなあ。
絶対ないな。




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