| 2011年11月11日(金) |
千野隆司著「大川端ふたり舟」読了 |
図書館で借りた単行本 霊岸島捕物控というシリーズ物らしい。この著者は自然描写に心理描写を重ね合わせて表現するのがうまい。冒頭はこうである。「闇の中に軋み音を聞いた。何かが軋んだ大人の香、あるいは心の奥の響きだったのか、それはわからない。」こんな感じだ。前章で材木商で働くおくにが、盗みを働く盗賊の存在を知らせようとして殺される。本章が始まるのは、その後の話だ。おくにの娘のお妙は霊岸島に父親である岡っ引きの五郎蔵と二人で住んでいる。五郎蔵がおくにと離縁してからもう10年になる。大火事の場面から物語は始まる。家を焼け出されて、怪我をした人間が寺に集まっている。いつの間にかお妙も手助けをするようになっていた。淡々と病人を診てくれる医師の親子、薬剤商の手代の多助、五郎蔵が面倒を見ている小料理屋の女性、いろいろな人との関わりあい。お妙は母親のおくにを殺した盗賊について調べ、ついには真相をつきとめる。 江戸物にしては珍しくあっという結末が待っていた。てっきり調子のよい多助が賊で、朴訥な医師の息子の道也と最後にはまとまるのだろうと思っていたら、全くの逆の結末が待っていた。なかなか面白かった。次もこの作者のものを読んでみたい。
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