日々の泡

2011年11月09日(水) 北原亞以子著「深川澪通り木戸番小屋」読了

先日読んだ「灯ともりし頃」はこの続編にあたる。表題の短編の他に7編入っている。冒頭の木戸番小屋では、火消しであった勝次が、怪我が元で火消しから賄の仕事に回されてしまうが、たまたま遭遇した火事を消したことによる周りからの賞賛が忘れられず、放火をしてしまう。しかし、その現場を目撃した娘が、なぜか勝次に恩義を感じて食事などを作りに通ってくる。しかし、家の貧しさから結局は売られていくことになり、その時になって勝次はその娘が、実は家の借金を帳消しにしようと、金貸しの家に放火しようと隙を狙っていたところ、勝次が先に放火をしたため、自分は罪を犯さずに済んだという理由があった。勝次は、火消しの栄光をあきらめ、娘と一緒に生きていくことを決心する。両国橋から」花火の話だっただろうか。貧しい夫婦の話が語られるが、実は大店の息子でありながら花火にうつつを抜かしたために感動になった清太郎とやはり何不自由なく育てられながら幼いころからの許婚者であった おうのであるが、お互いに なぜ一緒に逃げてきてしまったのだろうかと後悔している。 しかし、ついに清太郎が打ち上げた花火により、二人は、愛を取り戻すことができたという一編。さらさら筋を書いているが、もちろん木戸番夫婦が、悩みを抱える人たちの手助けをして、幸せにつないでいっているのである。お捨が作る、何気ない料理が苦しむ人に勇気を与えることがある。 なぜか煮物を上手に作れるようになりたい、などと思った。 この花火で、夫婦が花火を見た後で木戸番のお捨が作った コメの代わりに油揚げにおからを詰めた稲荷寿司が出てくるが、おからなど見るのも嫌だと言っていたおうのが、美味しいと言って食べる場面があった。普段の食べ物に一手間かけることによって、華やいだものになるのだということを、ふと思った。「ともだち」も面白かった。50代の孤独な女性が、たまたま知り合いになって月に1回会う約束をする。 紆余曲折あった後、お捨も交えて語り合う場面で終わるが、これも良かった。

 木戸番夫婦の過去が語られていた短編があった。ちょっと拍子抜けだったが。 京王線で読み終わり、余韻冷めやらぬ内に大江戸線でアーヴィングの「ブレイスブリッジ邸」を読み始める。こういうのは丁寧な生き方とは言えないような気がする。


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