純文学小説 作者:現代 日本 出版社・値段:講談社 1,748円 [ダディー購入時カムフラージュ本 死ぬ間際に自分は必ず転生するから探してほしいと言い残した妻の言葉に半信半疑ながらも妻をさがす旅に出る男をはじめとしてインドツァーに参加した数名の男女にスポットを当ててその心の旅を描いています。 死と再生、そして宗教と愛が語られていきますが、作者自身の探求の道であったであろう事は間違い在りません。 現代では[死]は誰もが避けられないものであるにもかかわらず、覆いをかけられて日常からは隠されているため、生と死があまりにも隔絶しているように思います。(それだけに死が恐怖の対象となっているのでしょう) 作中、[(ガンジス)河は相変わらず黙々と流れている。 中略 ここでは死が自然の一つであることが顕然として感じられるのだった] という文章に、飛行機嫌いの私ではありますが、いざとなったら死期が近づいた象が象の墓場に行くようにインドに行こう...などとふと思いました。 河にちょっと足を踏み入れるように[死]に入っていけるのであれば、人間はどんなに幸せに生きられることかと思います。 学生時代、何冊か遠藤周作の宗教物は読みましたが、そのころはまだ基督教的神の愛に重点が置かれていたように思いますが、ここに至って、すべての宗教の垣根を取り払ったところに真の神の姿を求めようとする作者の思いを感じるように思いました。 作中人物はそれぞれの苦しみを持っているのですが、その救済としてたとえば[鳥]やボランティアの青年が登場します。 神はあらゆる物の中に存在するという文中の言葉が単に表面上の言葉ではなく、妙に説得力をもって読了後の余韻として残りました。 1998/4/29
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