かっしーのつぶやき
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2005年05月29日(日) オン・ザ・カントリー・ロード 2

がーん。
山形県には日曜朝のおたのしみ・「スーパーヒーロータイム」が無かったんでした。
詳しく言うと、山形県下では日曜日朝7:30からの『魔法戦隊マジレンジャー』の後には8:00から『提言の広場』(県政番組)放送のため、『仮面ライダー響鬼』を別枠で放送してるんでした。従ってこの東映特撮2タイトルを併せた1時間枠の総合タイトルである「スーパーヒーロータイム」というものは山形には存在しないことになるのでした。
がーん!

と、朝イチでTVの前で衝撃を受けた後(受けるなよ)、気を取り直して朝ごはん。
ヒソカに憧れていた夏の山形名物「だし」(漬物の一種)もいただけたし、俄然やる気に。

歩くぜ・バイパス13号!行くぜ・東北パイオニア!!


●バイパス13号

本当に本当に歩いている人なんか誰も居ない…(乾笑)

昨日に引き続き、明らかに「何か間違ってる観光客」テイスト丸出しでバイパス沿いを黙々と歩く私らは通り過ぎる車のドライバーズに奇異の目で見られているような気がして仕方がないけどでもこちらとしても仕方が無いんだ歩くしか。タクシーつかまえて「東北パイオニアまでお願いします」、ってのはどーしても・どーしても・恥ずかしくてできなかったんだよぉぉぉぅ。

広いバイパス道路、そして山形のドライバーズは、道が広いからなのか、もっっのすごいぶっ飛ばし系です。すぐ傍をかなりの高速で通り過ぎる車列は情け容赦なく砂埃と熱風を巻き上げては去っていき、その端の、アスファルトの割れた焼けた歩道を歩きつづける私らの気分は、もはやほとんど、修行僧。
心がもう歩くのは嫌だと感じ出す前に脚を一歩でも前に出せ!心に隙を与えちゃだめだ!感じる前に歩くんだ!!みたいな。

道路の熱気と渇きと道の単調さに頭がやや朦朧としてきた頃、ふと、路肩にずっと続いている緑の木々は、すべてさくらんぼの樹であることに気がつきました。よく見ればまだ青いさくらんぼが梢という梢にびっしり成っているではないですか。
見渡せば、そのさくらんぼ果樹園は延々と、広々と、遠く山裾まで続いているのでした。
このさくらんぼ、きっとあと半月もすると、みんな真っ赤に熟して収穫されるんだろうな。やがて梅雨の後、夏が来て、稲が実って、ラ・フランスが実って、秋祭りがあって…。
そして冬になるんだ。
去年、庄内で遭遇したあの猛吹雪の記憶はまだ脳裏に鮮やかです。そう、今眼前にうらうらと広がるこの景色が、真冬にはそれこそ情け容赦なく降り積もり吹きつける雪と氷とで白一色に塗りつぶされる時が来る。改めてそれを思えば、この町が、この町で暮らす人たちのために、車で移動するのが一番便利なように形成されていくのは当たり前、むしろ必然、必要なことなんだということに事ここに至って漸く思い至り、粛然となるアホな私でありました。


●東北パイオニア

大企業の工場って、どこも同じような雰囲気があるもんだなあというのが第一印象。
私の故郷も大企業の工場が多いとこなんですが、やっぱりこんなふうに田舎のとりとめのない田園風景の中に突如として工場が建ってて、その区画の部分だけやたらきちんとした柵と塀ときちんと刈り込まれた立派な並木が取り囲んでて、たとえ周囲がどれだけ田舎だろうと店が人家が少なかろうと、その区画内だけは大企業という名の別世界。

延々歩いてきたバイパス13号の角を柵沿いに曲がると左手にだだっ広い駐車場。
倉庫らしき建物前に、ああ、あの目にも鮮やかなレッドウイングスの紅いバスがある。
いつもはこうしてここに停めてあるのか。遠征の日の朝には、ここから皆が乗り込むのか…。

そして右手に正門。
わー、せいもんだー(笑)。ホントに大企業の工場って、どこも面構えがおんなじだ。
(って、初めてここに来て門をくぐったトモさんももしかしたら思ったかもしれない、と茹だった頭でふと考えた…)

その正門に向かって右側に、体育館らしき建物。あれが、あれが二重橋、じゃなかった練習場、なのかな…。
timutaんが携帯で記念の写真を撮ろうとしていたので止めました。
企業ってさ、ホラ、良くも悪くも、「企業」だから。


それにしても。
実際に、その場にたたずんでみて、つくづく思ったのですよ。


こんなのどかな田園があたり一面に広がる途方も無い田舎で、さくらんぼ果樹園の中に突如建てられた工場の敷地内の素朴な体育館で、そこから、その場から、あやまたず「世界」に向けて自分の標準を引き絞りつづけるなんて、闘争心を高いポテンシャルに保ちながら常に心・技・体を研鑚しつづけるなんて、そんなこと、常人にできることじゃない。

それは、内省に裏打ちされた柔軟な自信と、ダイヤモンドのように揺らがない豊かな経験値と、そして何よりバレーボールというものに対する天より高いプライドと深い愛がなかったならば、絶対にできることではないんだと。


つくづく、そう思ったのですよ。


さて、どんなに遠路はるばる歩いてこようと辿り着いたそこに誰が待つわけでもなく、休日の工場の正門前で半ば茫然と体育館らしき建物を見つめる私らはどこからどう見ても怪しげな観光客、つか痛いファンの姿以外の何者でもなく。
ほんとにバカだよねえあたしらは、とちょっと苦笑いしながら、東北パイオニアの社屋群を後にしたのでした。


●フルッティアふたたび

もうここまで来たなら絶対寄ってくよね!フルッティア!!
というわけで、恥の旅は、もとい旅の恥はかき捨てとばかりに、またしてもフルッティアさんへ。

来る時とは違うコースを歩いてみる。少し新しい一戸建てが立ち並ぶ、閑静な住宅街。
…でも、途中の曲がり角や交差点で、ギョッとするような速度で突っかかってくる車に何度か遭遇。別に走り屋さんなわけじゃなくて普通の人が乗ってる普通の車なんだけど。
たぶん、運転してる人はもう基本的に「歩いてる人は滅多にいない」って頭で運転してるんだろうな、とか思う。<実際そうだし
皆さん、天童に行ったら、車は基本的に皆カミナリだと思って交差点等ではくれぐれも注意しましょう。

さて再訪したフルッティアでは、お店の方はもちろん私らのことを覚えていてくれた(当たり前だ、これだけ不審なら…)。

私がカフェ席でボーっとしてるうちに、timutaんは例のレッドウィングスの直筆サイン色紙を写真に撮らせてもらいにかかってました。うーむ、私ももうここまできたらかける恥はすべてかいて帰ろうとばかりに、お店の方が優しいのをいいことにあれやこれや聞きにかかる。

「パイオニアの選手の方もよく(このお店に)来られるんですか?」
「ええ、よくいらっしゃいますよー、ほらやっぱり、近所だから。斎藤真由美さん?なんかは、ご主人とお二人でいらっしゃったりしますよー」
「ああ、斎藤選手!」
「そう、ねえ、あの方、綺麗な方ですよねえ!」
「そうですよねー、芸能人みたいですよねえ!(力説)」

果物の味に喜び値段に感激し、そしてレッドウィングスのちょっとしたご当地ネタにもホクホクしている私らに、お店の方も喜んでくれたようでほんとにいろいろ親切にしてもらいました。
試作品だというフルーツケーキの試食もさせて下さいました。しっかりしたまっとうなお菓子の味で、これがまた商品ラインナップに加わったら嬉しいなあ。
ただ美味、というだけじゃなくて、まっとうな味がするんですね。余計なものが加えられてない生粋なものを食べさせてくれてる感じ。色とりどりの果物メニューを見ているうちに、私も育ち盛りの甥っ子様(7歳)のことを思い出し、ああ、彼もこういうものを食べてそして大きくなってくれたらいいなあ、と何やらものすごーくピュアな気持ちになり、思わず自分の実家宛に「フルーツポンチッチ」を送りつけてしまったです。
うまく言えないけど、そういう気持ちにさせるおいしさなんですよ、このお店。

帰り際には、ちょっと金太郎さんに似た若社長さんとお店の方とが「またぜひお立ち寄り下さいね!」と、とても温かく見送ってくれました。
ああ、お名残惜しや、フルッティア…。次の機会にはぜひフルーツ・ジェラートを!いや、ふわふわチーズケーキを!しっとりショコラを!ああああ、でもやっぱりまたマスクメロンパフェ食べちゃいそうな気がする…。

というわけで、もしもこれから天童へ行かれる方はぜひぜひお立ち寄り下さい「フルッティア」。
パイオニアレッドウィングス御用達(と、この際あえて言ってしまおう)。
このジェラートを、このパフェを、君の贔屓のあの選手も、もしかしたら食べたかもしれないぞ!
みんな、天童に来たなら久野本のフルッティアで果物三昧だ!


さて、フルッティアさんでリフレッシュした後は、となりの山形市は立石寺へ行くことにしました。
駅から乗ったタクシーの車窓から見える景色は行けども行けどもひたすら緑、緑のさくらんぼ果樹園。
タクシーの運転手さんは
「ハウスもんはもう出荷始まってるけど、このへんのいわゆる露地もんはまだまだだねえ、今年はちょっと遅いから、6月の10日あたりからじゃないかねえ」
その頃になると観光のお客さんもいっぱい来るねえ、と楽しそうでした。


● 山寺(宝珠山立石寺)

か、…かいだん… せん・じゅうごだん…(昏倒)

恐ろしげな案内図を前にどどどのへんまで上がるもんかねえ、と遠まわしに聞いてみた私にtimutaんはあっさり「え、上まででしょ」と答えた…。
ええい、ここまで来たら毒食らわば皿までだ!登る!登るよー!!(涙目)

(約30分後)

な…なんだ… け、結構、登れるじゃないか俺… <島本和彦調に

登って汗だく・降りてヘトヘト、ようやっと休憩しに入った茶店で、飲んだお抹茶はまさに甘露、食べた名物「福餅円仁さん」は餅のやわらかさも餡の甘さもしみじみと胸に染み入るおいしさ。
ああ、こういうところにこういう寺建てたお坊さんは偉い。そして凄い。人の心の弱さ脆さ、そして愛らしさというものを熟知し尽くしている…

ところで。
山上の五大堂からふと駅方面を眺めていたら、昔の蒸気機関車のターンテーブル(転車台)の跡が今も残っているのに気が付いて驚きました。こぢんまりと素朴なJR仙山線の山寺駅ですが、往時にはここで蒸気機関車が折り返したこともあったのだそうです。最近、この遺構を修復保存して地元の観光資源にしようという気運が高まっているとか。いつか、この緑豊かな山あいに、懐かしい蒸気機関車の勇姿が見られる日がくるかもしれません。
…てか、そんな日が来たらもう絶対絶対、乗りに来ますから!!(すでに涙目)


● オン・ザ・カントリー・ロード

後から計算したところ、この2日間の私らの歩行距離、約15キロ(※舞鶴山と立石寺のアップダウンを除く)。
いやはや、よく歩きました。

帰りの新幹線のクッションの効いた座席に座るとさすがに脚がじーんとして、さすがに疲れて、あとはうとうと。
まことに満喫したりもしたり、山形・カントリーロード。
「また来るよ…また来るからね、山形…」と呟きつつ、夢路、もとい家路についたのでありました。

 ♪ Country road, take me home
    To the place I belong,…


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