かっしーのつぶやき
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| 2005年05月28日(土) |
オン・ザ・カントリー・ロード |
♪天童よいとこ一度はおいで 酒はうまいしトモさんは綺麗だ♪<罰当たり というわけで「行っちゃえ天童・天衝く新緑バカツアー」、詳細はtimutaんの日記を参照のこと。
●JR天童駅
駅に着いて、改札を通って、まず思ったのは「こんなに小さな駅なんだ…」。 でも天童市の人口:6万3,503人(平成15年)、そして日本一モータリゼーションの進んだ県:山形県という線からすれば、やはり新幹線が停まるだけあってきちんと整備された小奇麗な駅。
駅からボストンバック持ったまま歩き出す。 ひ、人が歩いてない…。 タクシーの運転手さん達が心なしかぎょっとしたような目で私らを見ているような気がする。 桜&つつじ後・さくらんぼ前、というこの端境期にわざわざ天童にやってくる私らはよほど酔狂な観光客なのか…<実際そうだろう<酔狂
●天童市立旧東村山郡役所資料館
うらうらと晴れた、まだ朝の気配を残した午前中の天童の旧い町並みをてくてく歩いて、舞鶴山のたもとへ。 石段の上に緑の舞鶴山を背にして、なんとも愛らしい明治の初期ふうな洋館が建っています。それが天童市立旧東村山郡役所資料館。 このテの郷土資料館的な公共展示系にどうも弱い私ら。
受付ですみませーんと声をかけると、事務所の中で山形新聞を読んでいた小父さんがびっくりしたようにこちらを見て、一瞬の間ののち、 「お、おおーおーおー!」 いや驚いたこんな早ぐから(早い時間から)お客さんとは、と感嘆とともに窓口に出てきてくれる。 お客さんはどこから、と聞かれたので千葉からですと言うとまた「おーおーおー、そーれはまた、遠ぐからー!」。 その歓迎ぶりがとっても素朴な感じで温かく、いきなり胸にズギューンな私。お国言葉でこんなふうに優しくされると無条件で弱いんです。 よければお荷物お預りしますよと優しく言ってくれた受付のお姉さんに甘えてバックを預けて、展示室へ。無論、見学者は私らだけ。
展示内容では、はからずも幕末の天童藩の変転、つか奥羽列藩同盟の紆余曲折の歴史をトレースし直してしまった。ううう。 わーん、吉田大八ー。うわー、世良だー!!
大変だったんだよ。あの頃のこのへんは。いろいろあって、…大変だったんだよ!!(涙)
休憩室でセルフのお茶をいただきながら(市立なんだからこのお茶も天童市民のみなさんの血税から出ている一部だ、いただきます)、「郡役所だより」みたいなワープロ手作りのミニコミ紙のバックナンバーを眺めていると、4月頃の来場者記録に、私らが今晩泊まるお宿の「湯坊いちらく 新入社員研修」という文字が。ちゃんとこの町の歴史を勉強するんですね。素晴らしい。この資料館は、街の歴史を知るための展示が非常にコンパクトにかつリアルな感じでよくまとまっていて、よそから来た人が天童という街を知るのにはとてもいいところだと思います。
たっぷりゆっくり天童の歴史を堪能して、なんだかものすごく和んだ気分になって受付へ戻ると、先ほどの小父さんがにこやかに 「いやー、じっくり見てってくれてぇ、ありがとねー」 と労ってくれる。預けた荷物を出してくれた受付のお姉さんも笑顔で「またぜひ来てくださいー」と言ってくれて、もうなんだか半泣き。 だって外は初夏の風さわやかな午前中、オルガンの響きがするような古い木造建築、板張りの床にスリッパの音、公務員の人にお国言葉で飾り気のない優しさを示されて、なんだかもういきなりこの時点で天童・郷愁モード全開です。
●醸まん&わらび餅 at 腰掛庵
コドモが食べたら絶対酔う>「醸まん」(じょうまん、と読みます。「かもしまん」と読んでお店の人に訂正された…とほほ)。 そのくらい濃い酒饅頭。こんな濃い酒饅頭、初めて食べました。もうこれは、左党の方には絶対おすすめ・花マル印。 ひとくち食べた途端、ものすごく濃厚で甘いお酒の香りが口じゅうに広がって、華やかに鼻に(洒落でなく)抜けていきます。 中に入ったこしあんも、絶妙な甘さと品のいい引き際のよさ。 たかが酒まんじゅう、と侮るなかれ。さすがは天下の出羽桜酒造のお膝元の酒饅頭。素晴らしい!!
そして更に特筆したいのがここの「わらび餅」。 今まで私がわらび餅だと思って食べていたものはいったい何だったの、と目から鱗が落ちる味。 確かに甘いのに、きなこもかかってるのに、でもものすごく澄きとおったものを食べた感じがする。 食べるとね、すうっと体にしみこむ感じで、融けていくんですよ。きれいなお水を食べてるみたい。 本当においしいお水って、飲む時もぜんぜん舌にたてつく感じがなくて、すうっと入っていっちゃうじゃないですか。あんな感じ。
お店はとてもこぢんまりとしていて、入り口も普通の古い家みたいです。庭には趣味のよい野花、あじさい、昔のお蔵をそのまま使ったお店の中は適度にひんやりとして、夏の日盛りなんかに入っていったら、腰が抜けるほどほっとしてしまうのじゃないかなあ。 お店出て外を歩き出した時、なんだかちょっと別世界に行っていたみたいな感覚に襲われました。いいお店です。ずっとこのまま続いてほしい。
●舞鶴山
天気もいいし、すぐそこだし、歩いて行っちゃえ〜、と気軽に歩き出したはいいものの…。 歩いて登る人なんて滅多にいません!いませんたら!!(涙) 標高241.8m、きちんと舗装された緑涼しい並木道、とはいえ日頃ろくに運動もしていない私のナマクラな心身にはけっこうな距離だったですハイ。
さんさん徒歩で登ってきて、だいぶ汗かき息切れモードになったころ、展望台がありました。 明治時代に山形を通り東北〜北海道を旅して「日本奥地紀行」を著したイザベラ・バード女史の記念碑が立っています。
その場所から天童の、山形の地を見渡せば、果樹の緑、水田の緑、山並みの頂きにまで緑溢れて、まさに彼女の言うとおり「ほれぼれとして見たくなるような」景色。
イザベラ!あんた正しいよ!!<友達かい
そしてふと思いました。トモさんがこの地に初めてやってきて、周囲を見回した時、どんなふうに思ったんだろ、と。 移籍の日付は夏頃だった、そうするとやっぱり実際に来たのも夏の日だったのかな。その時も、天童はこんなふうに緑に溢れていたんだろうか。いろんなことがあって、よその国まで行って、帰国してからもやっぱりいろんなことがあって、そして巡り巡ってこの地にやってくることになった彼女の、トモさんの目には、心には、この景色はいったいどんなふうに映ったんだろう。
万感胸に迫る、というような気持ちに突如襲われて、しばし絶句。
桜の時期には人間将棋が行われるであろう頂上付近の駐車場にも今日あたりは人影も少なく、最上義光(山形の誇る名君、しかし私らの中ではどーしても原田芳雄の顔)の建てた神社あたりで一服の後、今度はてくてく下り道。 でもやっぱり歩いて降りる人なんていません!いませんたら!!(もはや泣き笑い) ふもと近くになってやっと地元の人らしき女性が歩いているのに遭遇して、「ひ、人だ!人だよ!!」と軽く感動してしまうくらい、本当に人通りがなかった…。でもよく見回せば、けっこうな山道なのにガードレールも街灯も最小限で、確かにちょっと日が傾いたらあっという間に歩行には適さなくなる感じです。街中にあってもお山はお山。徒歩で行く人はご注意のほどを。 (…だから歩いて上り下りする人なんて以下同文)
●水車そば
ようやくお山を降りて、さらに市街地をさんさんと歩く。 「女将のいやし傘」の通りをしばらく行くと、見えてきました名店「水車そば」。
こ、こんなおいしいお蕎麦、久しぶりに食べましたよ大将…(落涙)
常陸秋蕎麦をけんちん汁で食うのがデフォルトの環境に育った私の五感に、ここのお蕎麦はズギャーンとキましただ。 ああ!お蕎麦って、そうだよこんな風においしいものだったんだよ!思い出したよ!! 「つゆがいらない、むしろ余計」とまで思うほどおいしい蕎麦そのものって、ある意味初めて食べたかもしれません。 食べたそばからまた食べたくなって、ああでもこれを食べるには天童まで3時間新幹線に乗らなければ食べられないんだ、といきなり哀しくなる、そういう凄まじい引きのあるお蕎麦。 すごいぞ山形。蕎麦王国山形。
●フルッティア
そして山形で蕎麦を食べたなら、フルーツも食べずばなりますまい。 今回、どうしても行きたいお店があったんですよ。それが「フルッティア」。
フルーツ王国・山形に行ったらやっぱりおいしい果物が食べたいじゃないですか。でも、それほど大量に買いたいor送りたいわけじゃなくて、観光果樹園に行って取り放題とか食べ放題とか力いっぱいやりたいわけでもなくて、単に山形でおいしい果物を気持ちよく食べて帰りたい、と思ったときに、案外そういうことがサラッとできるお店って少ないんですね。そんでネットで探して、見つけたのがここ。 決して「東北パイオニアの近所のお店だから」って理由で行ったわけじゃないんですよ、ええ…、今さら誰も信じないだろうけどな…(遠い目) だいたい、近所って言っても天童的に近所って意味だから歩いて軽く20分はかかるけどな…(更に遠い目)
市役所前の通りを歩く歩く歩く。道は広いしまっすぐだし平らだし歩きやすいけど、とにかくもう、人が…人が歩いてない… 車はそれなりに通るけど人は歩いていない… さんさん初夏の日照りつける道路をボストンバック持って歩きつづける私らはもうどこからどう見ても勘違い観光客(涙)。時々通り過ぎるチャリの子供さんですら不審者を見る眼で私らを見ているような気がする… 暑い… 道はどこまでも乾く… まさに気分は「スタンド・バイ・ミー」… ああそういえば佐々木って何となく少年時代のリバー・フェニックスに似てるよね…<意識混濁気味
「つ…着いた…着いたよ…」かくしてなんとかお店前まで辿りついた私らはほとんど涙目、つかもう汗やら涙やら。 お店に入ると、いきなりカウンター内の棚にパイオニアレッドウィングスのサイン色紙とオフィシャルリーフレットが飾ってありました。 この過酷な状況下で予想外に目の当たりにしたその色紙が、トモさんの生サインが、どれだけ値千金の麗しい文字に見えたか思えたか、これはもうもはや言葉にできない次元のことでございますよハイ。
自分へのご褒美としてマスクメロンパフェ。 お店の方がまたなぜかとても嬉しそうに応待してくれて。「おまけね、大盛りねー」と言って運んできてくれたマスクメロンパフェは、まあ本当にメロンてんこ盛り。 メロンは完璧な熟し具合、アイスクリームはフレッシュ、後半は絶妙な甘さの冷たいメロンミルクになって、もうひたすら陶然… こ、これと同じレベルのパフェを東京で食べようと思ったら多分千疋屋で倍額以上出さなきゃ食べられません。ええもうほんとに。素晴らしい。 すごいぞ山形。フルーツ王国山形。
天童はきっと、おいしいお水のあるところなんだと思います。だから、食べ物を作る人の舌が、なんだか澄んでるような気がします。 あれやこれやと工夫細工を乗っけていくんではなくて、余計なものはいらない、おいしいものをただ、ただ、おいしく。食べ物の味全般に、そんな気風を感じます。 お菓子もお蕎麦も果物も、余計なものが全然乗ってない、シンプルで深い、真水で磨いたような味がしました。
これじゃあ、そりゃお酒もおいしいはずだよ…(茫然)。
●桜桃の宿 湯坊いちらく
さくらんぼビール!さくらんぼビール!!
というわけで本日のお宿「桜桃の宿 湯坊いちらく」さんは、天童ブルワリーという自家製地ビールの製造所を持っていて、そこで山形名産のさくらんぼを使ったフルーツビールを造ってるのでした。 私、天童行きのイメージトレーニングと称して先日来事あるごとにベルビュークリーク(ベルギーのさくらんぼビール)を飲んでいたんですが、ベルビュークリークはいわゆるブラックチェリーが原料なので色も甘味も濃いくちなんですね。例えば、こっくりしたチーズケーキなんかと一緒に飲んだら合うだろうなあ、みたいな。 それに対して、この天童ブルワリーさんの作る「聖桜坊(セイントチェリー)」は、実に淡麗でさっぱりとした味わい。ちゃんとフルーツビールなのに、食事と一緒にも飲める感じでとてもおいしい。日本人の口に良く合いそうな、まさにニッポンのさくらんぼビール。現在品薄中でたくさんは飲めませんでしたが、今年のさくらんぼのシーズンが過ぎればまた新酒が仕込みに入るでしょう。楽しみです。
それにしても、さんさん日盛りをひたすら歩き回り続けたその後に、旅装を解いて、ざんぶりつかったお部屋付き露天風呂の、気持ちよかったことと言ったら…。 風呂上りに飲んだビールの、おいしかったことと言ったら…(絶句)
夕食のお料理も大きなほうのお風呂も素晴らしく、もはや夢遊病者の如く「いいとこだ…超いいとこだよ天童…」と口走りつつ就寝。 明日に備えて脚力のリカバリーを図るため、足の裏に「休足時間」を貼って寝る私らでした。
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