かっしーのつぶやき
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2005年04月18日(月) 吉原殿中の思い出

で、またしても田舎から銘菓・吉原殿中を買って帰ってきたわけですが(バカだ!俺は本当にバカだ!!)。
今回、買ってきたのはあさ川製菓の吉原殿中。
なんであさ川のを選んだかと言うと、味が好きなのもあるけど、実は私にとって非常に思い出深い一品だからです。

実は私の「はじめてのおつかい」の思い出といえば、この吉原殿中なのでした。

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あれは幼稚園の時だったか小学校低学年の時だったか、とにかくまだ小さい頃のこと。
おばあちゃんが私にお金を渡して、言いました。

「でんちゅう1個、買ってきて」

子供だった私にとっては、近所の雑貨屋へのおつかいは文字通り大冒険。途中には国道だって渡らなきゃなりません。子供心にとてもとても緊張して、渡された岩倉具視の青い500円札を握り締め、近所の雑貨屋へ一目散に走っていきました。
走りながら、忘れないように心の中で「でんちゅう、でんちゅう、でんちゅう…」と必死に唱えつづけていたのを今でも覚えています。

かくしてなんとか無事に雑貨屋へたどり着き、お店の人に向かって言いました。

「でんちゅう、1個、下さい!」

が、お店の人はレジの向こうで、きょとんとしています。

「でんちゅう?…でんちゅう、って、何?おじょうちゃん」

この瞬間、私はおばあちゃんに言いつかった「でんちゅう」というものがいったいどのような物品であるのかを、自分がまったく知らないということに初めて気が付いたのでした。
最初に気付けよ、あらかじめ聞いとけよ、というのはまあオトナになってから思うことであって、あの時は何しろ「はじめてのおつかい」で必死だったので、言われたままを伝えてお金を渡せば当然それが買えるのだと思い込んでいたのです。

さあ困った。私も困ったがお店の人も困った。突然子供がお店に飛び込んできて「でんちゅう下さい」、ってそりゃ困りますわな。他の店員さんもわらわらと集まってきて、「でんちゅう、って言ってもまさか電信柱のことじゃないだろうし…」と相談が始まってしまい、子供の私は不安と恥ずかしさとでその時点でもう既に半泣き状態。

やがてある店員さんが、パッと明るい声で言いました。

「わーかったぁ!でんちゅうって、吉原殿中のことだ!」

そう、さすが地元の銘菓、誰でも知ってる・どこでも売ってる・それが吉原殿中。ああそうだでんちゅうと言えば吉原殿中のことじゃないか、なあんだ気が付かなかったよ、と店員さんたちは皆笑顔に戻りました。私も、そうかでんちゅうとは吉原殿中というもののことだったのだなとすっかり安堵し、かくしてお店のお菓子売り棚から店員さんが出してきてくれた「あさ川製菓」の吉原殿中(9個入り)を買ってしっかり胸に抱き、泣きべそをかいた目をこすりこすり家へ帰ったのでした。

だがしかし。この話にはなお続きがありまして。

家へ帰って、お釣り銭と一緒に「はい、でんちゅう」と差し出したところ、おばあちゃんはなんとも拍子抜けしたような呆れたような表情になって、言いました。

「あらあら違うわよ、殿中じゃなくて電球を買ってきてって言ったのよ」

電球!
それなら私だって知ってた!
買ってこなきゃならなかったのは、でんちゅうじゃなくて吉原殿中じゃなくて、
「電・球」!!

我ながらアホらしくも衝撃的な聞き間違いに、結局その後どうしたのか記憶がありません(笑)。
あんまりおバカな間違いだったので、笑われはしても叱られはしなかったと思います。

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このあさ川製菓の「吉原殿中」は、おそらく30余年前からパッケージデザインがほとんど変わっていないと思います。あの不思議なしっとりした手触りの黄な粉色の包み紙に、ちょっと素朴な堂々とした字体で「吉原殿中」。枕木みたいに9個並んで1パック。子供の頃の私が必死な思いで買いに行き、大事に大事に持って帰った、あの時のまま。

だから今でも、私にとって吉原殿中といえば、忘れられないあさ川製菓の「吉原殿中」なんです。


バリキャリ御殿女中の吉原さんは草葉の陰で、さても間抜けな子供よのう、と苦笑してたかもしれません。とほほ。


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