ディリー?闇鍋アラカルト
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2003年05月13日(火) 植物性100%という欺瞞2

石鹸を売っていると、「植物性の原料だけの石鹸はありますか?」と聞かれる事がある。僕は「有りますけど、植物性の原料だけの石鹸という事が、肌への適性という点でそんなに積極的な意味を持っている訳じゃないですよ。」と答える。
実際の話、「植物物語」などというネーミングは植物性の商品なら肌に優しいだろうという自分で原料の性質を調べた事もない人たちを相手にすれば受けるだろうという下心丸見えと言えるし、その製品が出回る事で一層誤ったイメージが普及してしまうのだ。
石鹸の場合オーソドックスな市販の石鹸は牛脂80%ヤシ油20%である事が多いらしい。殊更(ことさら)に植物性をうたった物では、牛脂の変わりにパーム油を使っている。
それで肌にやさしい石鹸になるのだろうか?
使い比べてみた方なら、優しくなったとは感じなかったのではないかと思われる。
実際、牛脂とパーム油の脂肪酸組成を比べてみるなら、石鹸にした場合の肌への適性が△のパルミチン酸はパーム油の方が多いのだから当然の話だ。
この肌への適性△という評価は前田京子さんの「オリーブ・マルセイユ石鹸を作る」という本の表に載っている(るるるん手作り石鹸にも書いているので見てね!)のだが、前田さん自身がこの表を有効活用しているかどうかはなはだ疑問だ。何しろ前田さん自身が植物性油脂100%の石鹸だけ作っているようなのだ。
オーソドックスな石鹸に使われる事が多いヤシ油には、肌への適性×のカプリン酸カプリル酸が含まれているし、泡立ちをよくするが肌への適性△のラウリン酸が多い。それだったら、大きな泡は立たなくても、小さい泡が立つラードの方が肌への適性はよほど優れている。TAOさんが書くようにラードは名脇役と言えよう。値段もリーズナブルだしね。
前田さんは匂いが悪いような事を書いていたが気にする程の事もない。
動物性の脂でも馬油やミンク油も肌に優しい。僕の場合は高価なのであまり使おうと思わないが。

植物性100%というキャッチフレーズは自分で真実を調べようともしない人たちをターゲットにしたものに使われるという事を覚えておこう。


いなっち |MAILHomePage

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