rioshimanの日記
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2005年04月08日(金) 世間は広いようで……と言うけれど(1)

 私はまだまだ自分の絵を当然の事だが模索中である。自分の絵の方向も分かっていないし、何でも掴みたいとモガイテいるのが実情だ。だから少しでも自分の絵にためになるものがありそうだと思えば積極的に出掛けて行く。

 今日も新しい所に顔を出した時のこと。
 アマチュアで絵を描いている仲間は、60才で定年を迎えた後に始めた方など割合に年配の方が多い。今日初めて足を運んだグループ内も見渡すとそうだった。でも良く観察すると一癖も二癖もありそうな個性を持った人格者が多いようだ。

 私は皆に自分からあいさつをしようかどうか迷ったが、新人の手前今日は大人しくしていた。こういう時には先生が口を開いて皆に紹介してくれるのが常だが、ここの先生も静かな方でデッサンの2時間半の間アドヴァイスをしてくれたのは一度だけだった。もっとも私の場合、描くことに集中している場合にあれこれ言われるのは余り好きではない。モデルさんと対峙している、その真剣な時間が与えられているだけで授業料を払った価値があると思えるのである。先生方もそれを感じとって適切な指摘をしてくれる。

 授業が終わり帰宅しようとエレベーターに乗った時、丁度乗り合わせた仲間に声を掛けてみた。

 「このクラスでは終わった後、皆で珈琲なんか飲まないんですか?」
 「以前にはそういうことがあったけど、このところないですね。良かったら二人で行きましょうか」

 ちょっと突飛だなと思ったが、その方が癌か何かで長期療養入院し、今日久し振りに教室に出かけて来たと話しているのを小耳に挟んでいたのでそのあたりを聞いてみようと思った。

 その方は私より一回りぐらい年長でこのグループでもベテランらしく教室の面々の詳細な情報を持ち合わせていた。現役時の職業は船舶会社で世界中を回っていたとのこと、話題は豊富だった。

 話しが病気のことになった時のこと、「この教室には名医がいるよ、○○さんと言ってね…」、と、すぐに先ほどの教室内の様子が私の脳裏を駆け抜けた。そして私の隣で絵を描いていてどうも気になっていた男性に思い当たった。意識はしていなかったがその人の服装、特に首にかけている紐状の個性的なネクタイがどこかで無意識に私の記憶に繋がっていた。その時には全く気付いていなかったのだが、その人は何と私がいま糖尿病で通っているクリニックの院長さん(東京大学医学部博士の経歴)だったのである。

 対面したのは昨年夏に私が初めてクリニックを訪れた初診時の一回だけ。それから後はおそらく息子さんだろう若い副院長にずっと診てもらっているのでそれ以来直接的には会っていない。だからすぐには気がつかなかったのだ。

 私の血糖値の方はギリシアから帰国した直後には118とかで全く問題のない数値に下がっていた。これは旅行中は自分の思うように自由には食事が取れず、自ずと食事の制御が効く状態になっているのが理由なのだろうが、日本に帰ると又も元の食生活になり血糖値も以前の状態に近くなって来ている。そのことは頭の中では分かっているのだが長い慣習はなかなか換えられない。病院からもらっている薬ももうすぐ無くなるので近く診療所を訪れなくてはならない。
 
 とにかく絵と病気に、環境が良い方に後押ししてくれそうで、これからがますます楽しみになって来た。


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