rioshimanの日記
DiaryINDEX過日NEXT


2004年10月15日(金) コス島 〜 シミ島(泊)

 今日乗船する予定の「マリーナ」は定刻9:50出航なので、朝早起きをしてチケットを買いに行くことを決め、そのことを意識してあまり眠れなかった。

 宿泊しているホテルの近くに旅行会社があることを昨日確かめ、9時にドアが開くのを待ってチケット購入の申込みをした。ところが係員はパソコンの前で画面を眺めているだけでなかなかチケットを出してくれない。仕方がないなぁという風に。

 説明によると遅航が出ているというのだ。3何とかいうので30分の遅れかと訊くとそうじゃないという。何度訊いても時刻をはっきり聞き取れないので、係員もそれじゃあと紙に時刻を書いてくれた。
「13:40」
 何と4時間近くの遅れ! この大型フェリーボートは昨晩インターネットで調べたところ今日がこの航路初日、通常日とは違って予想のつかないことが起こっているかも知れない。ぐるっとエーゲ海を約3日間かけて長距離航行するからこういうことが起きるかも。それとも怠慢?

 目的のシミ島までは二つの島を経て約5時間30分の就航時間。高速ジェットに乗れば直行1時間20分で到着するが、せっかく来たギリシア、二つの途中で寄港して行く「ニシロス島」「ティロス島」の姿をこの目で実際に確かめたいので、あえて時間のかかる大型フェリーを使うのだ。この調子だとシミ島に着くのは7時過ぎ。もうあたりは暗くなっているかも知れない。


 フェリーボート「マリーナ」はさらに遅れてやって来た。船上には沢山の頭、若い兵士の制服姿が見えた。隊の移動らしい。待機している大型トラック等の積込みにたっぷりの時間を延々と費やし、出航はさらに遅れた。

 船は左右に島々を眺めながらゆっくりとエーゲ海を進む。

 先ず昨日ケファロスに行った時、バスの窓から遠くに眺められた山々の切り立った勇姿「ニシロス島」に立ち寄り、次の島に向かう頃には陽光も陰り始めていた。

 甲板で私と同じようにあたりを眺めている初老の紳士の存在が気になっていたが、いつの間にかお互いに声を掛け合うようになっていた。長身でジーパンに身を包んだ彼の自己紹介によると彼はドイツ人、世界中を一人であちこち廻っていると言う。アジア、日本にも行ったことがあり、色々と今まで体験した事を話してくれて興味深かった。
 彼は住人が200人だという「ティロス島」で降りたが、別れる前に自分のアーチスト名を書いた名刺を私に渡してくれたが、そこには密教的な図柄が描かれていた。別れる時はとても名残惜しかった。

(写真の中央がティロス島に降り立った彼)



 シミ島に着いた時刻は8時半、あたりはすでに真っ暗くなっていた。勿論初めてやって来た土地で右も左も分からない。港の両脇は山の傾斜になっているらしく、そこにはオレンジ色の電球光が連なり襷のように何重も山にかかっている。この島は珍しく客引きがいなく、薄暗くて不気味なほどにひっそりとしていた。私は辺りを見回し、先ず港に沿って右方に荷物を転がしながら歩いて行った。

 建物の2軒目ぐらいに光々と玄関から照明を外に放っているホテルがあった。中を覗くと一組の男女が広々としたソファーに座って話をしていて、とても高級そうな雰囲気だった。私はまだまだホテルがあるだろうとそこを通り過ぎる。ところがその先はすぐ真暗くなり壊れかかった漁船が数隻転がっているだけで他に何にもなさそうだった。このまま行っても仕方ないとやむなく引き返す。

 さっき行き過ぎたホテルはどんなものかと試しに内容を聞いてみることにする。
 一泊50ユーロだという返事がかえって来た。私がギリシアに来てから一番高価な料金だった。私は何度か確かめながら日本円に換算してこれから探すのも大変とOKを出し2晩の宿泊を願うことにした。この選択は翌日になってこの島全体の様子が分かるにつれ、偶然にも一番良い方法だったことが分かる。

 男性はこのホテルのオーナーで、会話していた女性が率先して私の荷物を一つ持ち2階の部屋まで案内してくれた。部屋は文句無く素晴らしくインテリアも隅々まで気が配られ、グリーンで統一された落ち着きあるもの。私は大きなバスタブの中で広々と手足を伸ばし、ほっと満足げに溜め息をついた。


 '04ギリシア旅行マップ


rioshiman |MAILHomePage