rioshimanの日記
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朝8時頃、私への別れの手紙を持参し「さよなら」を言うご主人に私は昨日描いた絵を彼に見てもらい、滞在を更に3日間延ばすことを告げた。彼はその絵を手に持ち奥さんの名を呼びかけながら駆けつけていた。
その後、バス停に客を呼び込みに行く前にいいところに連れて行ってあげると、昨日私が絵に描いた灯台の所まで連れて行ってくれると私をバイクの後ろに積んで連れ出した。その灯台のある場所というのは実際に絵にかかれた所とは異なっていたけれど彼のお気に入りの場所だった。そして明日には大きなカテドラルのあるペトラに連れて行ってくれると午後3時半にホテルでの待ち合わせを約束した。
今日はお昼前あたりだから今までなかった風を肌に感じるようになり、それからは一日中その風は吹き止まることはなかった。 レストランから客は遠のき観光客はまばら。私はバイク遠乗りのあと部屋に戻り、夕べあまり眠らなかったので疲れをとるためにベッドに横になるとそのまま外に出かけたくはなくなったのだが、ホテルにいても仕方ないのでしばらくして出かける。風も強くなり全体の気象条件はあまり良くなかった。
この町の絵はがきにもなっている代表的な港からの風景を大きな画面にスケッチしていたのだが気持ちが入らず、鉛筆書きの下絵だけで止め、昨日作業途中の絵葉書だけを仕上げる。港は砂塵が飛んでいた。
堤防の観光客の通る道から少し外れた場所に、プロの絵描きさんらしき人が絵の道具を持って入るのを見かけた。私はどういうことをしているのか気にかかり時々様子を覗きに行った。水彩画だった。が私が今までしたことのない動作、筆軸の甲を盛んに画面に押し付けている。細い線を入れているようだ。そして水気をとるためのタオルをちゃんと膝に置いて、これはとてもいいことかも知れない。次の機会に試してみよう。
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以前からスケッチしてみようと思う場所が一つあった。宿からそんなに遠くない場所だった。ここも電線など邪魔になるものが沢山からんでいたが、それらを取り払えば第一作と同じような素晴らしい場所だった。写真だと画面から邪魔者を取り払うのは困難だが、絵だと描かなければ良いのでそれが可能だ。
絵の構図が良い場所を求めて移動していると、最も良いと思える所は丁度ある民家の大きく解放している窓の側になってしまった。住んでいる人の邪魔になるのではないかととても気になったが、家の中には幸いにも誰もいなかった。 私はそのことを全く忘れて絵に夢中になっていた。突然に一人の若者が玄関からスルスルと出て来て「どうです、この町は素晴らしいでしょう。飲み物はいかがですか。何がいいですか?。」 遠慮している私に「ジュースでいいですか、え?」といって姿が見えなくなったかと思うと、すぐに「体にいいですよ、どうぞ」と言って、キューイなど入った野菜ミックスジュースのカップを手に持ち、私に手渡してくれた。
何と言う人たちだろう。
「翌日へ」
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