rioshimanの日記
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ここサモス島はそんなに名は知れていないがピタゴラスや童話のイソップの出身地らしい。 9時過ぎにホテルを出て先ず朝食。入るに適当な店を探す。3軒目ぐらい、すごいベッピンの女店主だ。やや肉付きのいい餅もち肌で食事まで美味しそうに感じる。
フェタ・チーズ入りのサンドウィッチとエスプレッソ・コーヒーを頼むとここでは水も付いて来た。こちらの島々では水は飲めるのだろうか。 サンドウィッチを齧る。そう、このなつかしい味だ。こちらのトマトはとてもしっかりとした味覚があってとても美味しく感じる。日本のトマトのような水っぽさがない。酸っぱさが強いがそれが味覚を増幅させより料理をうまくしている。チーズとのコンビも解け合ってとても良く、コーヒーの味も抜群。さすが地元だ。 チップを余分に置いて来た。それでも全部で5ユーロ。後でよくよく考えてみると日本とさほど変わらない値段だ。
一歩裏道に入ると観光客が賑わう商店街があり高級店やスーパーマーケット等があって一見したよりずっと大きな街が広がっていた。再び海岸に出て湾に沿ってずっと南方向に歩く。海外ガイドブックで見た一枚の写真が頭の中にはあった。やや丘の上から撮影していたので恐らくあのあたりだろうと見当をつけて丘を登る。目先には大きな特徴のあるカテドラルが聳えている。
へばるほど急な階段を何度か登り、教会の方向を探るために時々建物間の隙間から上方を覗く。 そこにたどり着く間にも、いくつか街の全体が見渡せるスケッチに適した場所があった。だが絵を描くには日光が直接画面に当たって目によくない。建物などで陰になる場所を探す。
目的の教会は高い金杭の柵がしっかりとしてあってとても近づける雰囲気ではない。その下側にある民家の作業場の陰で絵具を広げることにした。 こういう誰も来ない自分だけの場所を選んで絵が描けるのは、この眼前の景色を独り占めしたような一種秘密めいた快感だ。
サモス・タウンは非常に奇麗な景観が広がる。真っ白い建物群に殆どが赤い屋根。その中に一つだけ海岸通りの中心に黄色い建物。とてつもなく良く目立つ。後で側を通って見てみるとギリシア国立銀行だった。その他行政の建物だろう、あちこち建物の入口にギリシア国旗が掲げてある。この島は昔ジェノバやベニス、トルコに占拠されていた期間が長いと聞く。美的な建物が多いのはその名残(なごり)か。
帰りには別のルートを通って下ってくる。そうするとフィアット工場のすぐ下に障害物が全くなく街の全体を眺めの良いところがあった! 残念。今度もし再びここに来ることがあったらこの場所で絵を描くことになるだろう。こういうことが経験すると言うことか。
この町は夕日が沈みあたりが暗くなると、海岸通りはしっとりとした落ち着いたリゾート地の雰囲気を醸し出す。 どこからともなく老若男女、ファミリー連れなどが散歩に繰り出して来る。さわやかな空気にお互いに身を任せ、通りを何度も往復する。それから海を見ながらレストランで食事を楽しみ、町は夜遅くまで賑わう。
この町は全体的にとても紳士的なしっかりまとまった大人の感じがする。
明日はフェリーでヒオス島に渡る。
船はこの時期は週に2度ほどの出航だが、出発前インターネットで調べた時には出港が朝10時だったところ今日チケットを購入してみると12時に変更になっていた。こういうことはこちらではしょっちゅうあることだ。船に限らず、飛行機や鉄道は発着時間だけでなく搭乗口(番線)もその時の事情により度々変わるので注意すべきだ。
「翌日へ」
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