台所のすみっちょ...風子

 

 

未来へ。 - 2002年12月13日(金)

「ごちそうさま〜」

私はそう言ってゆっくりと箸を置いた。

げ〜〜ぷ・・・。もう、大満足、大満腹であった。

お腹の中にはすでにずっしりエビが収まっている。

時は今日の午後一時、そう、私は昨日予告したように

あの有頭エビフライ定食を無事、食べる終わることができたのだ。


思えば今日の私の寝起きは、いつになくすがすがしいものがあった。

日頃の「何しよっかなぁ〜」なんていうダラけた目覚めではない。

目的がハッキリしていることの素晴らしさ。

カーテンから漏れる日差しが心地良いぞ。

「絶対食う・・・」心にむくむくと沸き上がる熱い闘志。


いそいそと仕度をし、友人との待ち合わせの場所へ向かうべく、

マンションを後にする。

今日は快晴!

各世帯のベランダに干してある洗濯物や、布団がひらひらパタパタと

青い風に揺れている。

それはあたかも「いってらっしゃい!頑張って!」と私を激励してくれている

かのようだ。


約束の時間は11時半。

気持ちが前へ前へと行ってしまっていたのか、早めの11時25分に

待ち合わせの某駅に着いた私。

だが、そこにはすでに友人が待っていた。

・・・・エビによせる想いは、彼女も同じなのだろう・・。


挨拶もそこそこに、早速現場の店へ行くと、早くもそこには、

客と思われる主婦のグループが6人、外に出してあるメニューの看板の前で、

お喋りをしているのであった。

やはり・・・そうだったのか・・30分前から人が集まるほど、

この店は大人気店なのだ。

そう考えると、その主婦達がみんなエビ目当てに来てるような気がしてならない。

エビを取られてなるものか!私達はそんな彼女達の脇を通り過ぎ、

ズカズカと勇ましく店へと入って行った。

するとどうだ。店内がやけにし〜〜んとしているではないか。

あれ?っと思った瞬間店の奥から店員が出て来て

「あらら〜〜、、まだなんですよ〜」と苦笑い。

慌てて外に出ると、確かに「営業中」の看板が「気合い入れて準備中!」なんて、

ふざけたメッセージになっている。

う〜〜ん、、、なんて勇み足な私達。


彼女らと私達の計8人で開店を待つ。

たちまち店は”小さい行列のできる店”。

細い路地、その光景は目を引くらしいのか、

待ってる間にも、60ぐらいのオヤジやら、2人組の若い女性などが

立ち止まってどれどれと看板を眺めて行く。

思わず、ガンを飛ばすところであった。

だってライバルが増えてしまう。ひとたびメニューの写真を見れば、

その迫力からみんなエビ定食を選ぶに違いないからだ。

私は彼らがメニューを見てゆくたび、オヤジに対しては、

「もう歳なんだから、脂っこいものはやめておけ!」

女性に対しては

「彼氏はいるのか?クリスマスも近い!太るからやめておけ!」などと心の中で

つい、助言をしてしまうのであった。


そして、待つこと10分。ようやく店が開き、席に通された私達は、

店員が差し出してくれたメニューを見るまでもなく、ハッキリと

エビフライ定食を注文。

少し待って出てきた膳には、イカリング2個に牡蠣フライ一個を

まるで家来のように従わせ、ぐお〜〜んとふんぞり返っている有頭エビの雄姿。

お久しぶり・・。

「良かったね〜〜」
「あ〜良かった」などと、友人と2人、お互いうれしさが口を突いて出る。

ふふ。こうして、私達はようやくリベンジを果たしたのであった。


人生は一度っきり。

日々後悔があってはならない。

やり残したことはやっとかないと。

そして、未来へと進むのだ。



「良かったね〜〜!これで、年が無事越せるね〜」

友人が笑って言う。

んっ!?・・年越し・・?・・・あっ蕎麦・・・。

セットのコーヒーをすすりながら、私の頭の中は年越しそばで

いっぱいになり始めていた。

そう、未来へ、未来へと。


おしまい。


...




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