台所のすみっちょ...風子

 

 

妻失格 - 2002年10月31日(木)

前にも、この日記で書いたのだが、

うちの旦那はカラオケキングである。

付き合う前、同じ会社の後輩だった旦那のことを当時一緒に住んでいた妹にも、

「新人だから、仕事ができるかどうかは分かんないけど、

カラオケだけは以上に旨い!」と言っていたほど。


もともとは学生時代、バイト先の先輩に「おまえ、カラオケヘタだな〜」

と何気なく言われたのが、熱いカラオケキングへの道を突き進むきっかけであった。

それ以後、彼の人生には「鼻歌」というものがなくなったに違いない。

常に真剣に歌うのだから。

歌う為に口を開く・・その一瞬一瞬が真剣勝負だ。


彼の鍛錬は止むことはなかった。

明けても暮れても車の中で声を張り上げて練習したそう。

きっと、喉も痛くなったに違いない。

血はでなかったにしても、まさにあの腹話術のいっこく堂ばり。

口を大きく開け、一生懸命に歌うがあまり、その様子を見ていた隣りの車の

ドライバーの失笑を買ったことも一度や2度ではないらしい。

実際、私と一緒に勤めていた会社の社用車のカーステレオの中に、

自分で編集した「カラオケベスト」を突っ込んだまま車を車庫に返してしまい、

次に乗った営業が、それを見つけて仰天したという事実まである。

その営業とは私と組んで仕事してた課長。で、同乗していたのは、、わ・た・し。

そして、「あいつはどーいうつもりなんだ〜〜仕事中に〜???」と

小言を言われたのも当時付き合って間もなかった、、わ・た・し。

とにかく、彼のカラオケキングという称号の裏には、

絶え間なく行われ続ける努力があったことを私達は

理解しなければならないだろう。

(なんの為に・・・?)


そして、彼の新たなカラオケターゲット曲が、また我が家にやって来た。

それは、平井堅のCD、「大きな古時計」。

そう、少し前にこの日記に書いたように、旦那がギターで悦に入りながら

奏でていた、あの大ヒットソングである。

やはりな・・私はたぶんこうなるな、とは、もうその時から読んでいたのだった。


「大きな〜」を大事そうに抱えながら帰ってきた彼。

晩ご飯を食べ、風呂から上がるや否や、

ボーダー柄のブリーフ一丁の姿で早速試聴。

ヘッドホンを着けて首を横にはんなりと傾け、目を静かに閉じる彼の姿は、

しつこいようだが、ブリーフ一丁!!

通しで曲をひとしきり聞き、全体像を掴んだあとには、ボーカルタイム。

歌詞を見ながら自分の声の音と曲の音程を丁寧に合わせてゆくのである。

満足するまで喉を鳴らしたあとは次にギターを抱え、音を一つ一つ拾ってゆく。

そして、最終的には弾き語りできるようにするのだ。

さすが、キング。妥協を許さない仕事ぶりである。

もしかして、最近のこの寒さの中、ブリーフ一丁、ほとんど裸一環で

頑張るそのスタイルは滝に打たれて修行なんかする”行者気分”なのか・・?


ハテ?キングの妻といえば、クイ〜〜ン。

本来なら、私はカラオケクイーンとして名を馳せなければいけないはず。

が、しかしこの私にクイーンを名乗る資格があるだろうか?

カラオケで歌う曲といえば古いのばかり。

中森明菜、竹内まりやと、矢井田瞳やら、あゆちゃんなんか歌う

今時の若人が聞いたら吹き出しもんの曲ばかり。

その上、肝心の歌の方は渡辺真智子の

「かもめが飛んだ日」でついこの前も旦那から

ダメ出しをくらってしまったという有様である。

何故その曲を歌ったかというと、

それは日曜日、テレビで今は懐かしい渡辺真智子の人生模様を

見て非常に感動し、番組終了と同時に真智子ばりに

歌ってみたくなったからであった。

「ハァ〜ア〜バァ〜ア〜ライトが朝日にぃ〜かわぁあああ〜るぅうう〜」

お腹に手を当てながら、力いっぱい台所で歌う私。

するとリビングから聞こえる激しいツッコミ。

「ダメだ!そんな音じゃ!もっと高く!ほら腹に力入れて〜〜!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・できないじゃん・・・。

妻、失格であった。


おしまい。


...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail