あの日あの時。 - 2002年10月28日(月) 25才のある日曜日、 バサバサの髪を後ろで一つに結び、顔はもちろんすっぴんという嫁入り前 の娘とは思えない大胆不敵な恰好で、 近所のモスバーガーにお昼を食べに行った時のこと。 見かけなんかこの際どうでも良い!一刻も早く食べ物を口にしたい! と気が競っていた。 注文を終え、席に着き、どーしようもない空腹感をタバコでプッカー と紛らわせていると、隣りの席からあの〜〜と誰かが私を呼ぶ。 見ると、そこには背広に蝶ネクタイをした白髪の品がよさげな、 だけど詐欺師とも思われるようなじいさんがいて、 何故か私に向かってニッコリと微笑んでいる。 「ハイなんでしょう・・?」と答える私にじいさんが、 いきなりお歳はいくつですか?と聞いてきた。 25才ですが・・・と憮然として答えると、おじいさんは急に同情的な顔をして、 ひとこと私にこう言うのであった。 「お若いのにご苦労なさってるんですね・・・。」 「・・・・・・・・・・??????」 じいさん、、、何を言う、、。 突然の”同情”に声も出ない。 そりゃあ〜、順風満帆の人生じゃぁなかったさ。 けれど、たった今、会ったお前に言われる筋合いはない。 そんなに私は貧乏臭いか! 頭にきたので「いいえ!苦労してません!」 ふふん!ハッキリ言い放ってやった。 じいさん、なめてもらっちゃ困るぜと、ピシッと言ってやったことに自分で大満足 しながら、食事を終え家に帰る。 部屋に戻って、”じいさんこの若い私のどこを見てあんなこと言ったんだか・・” と鏡をみると・・・じいさん、大当たり! ・・・かなり所帯臭い。 じいさんが思うのも無理はない。 原因の一つは、まず私の白髪の多さにあった。 私の髪には20才過ぎからチラリホラリと白髪が出始め、その 当時には、脇の生え際の方にかなり白髪が目立つようになっていたのである。 しかも、キチンと束ねられていない髪からは、一本、2本、3本・・とダラーリと 毛が垂れ、なんとも貧乏臭い。 おまけに凹凸のない顔は、すっぴんということで、かなりの地味感が 醸し出されている始末。 鏡の向こうの自分は、まさに年齢不詳、いや、すっかり”うめ”とか”お民”とか の名前がピッタリというふうな、とんでもないバアサン加減だったのである。 そしてあれから月日は流れ・・・・今日。 25才のあの日あの時ように、すっぴん顔に髪の毛を一つ結びという出で立ちで、 近所のスーパーに買い物に行った。 しかも、あの時よりさらなるパワーアップを図るノーブラ姿。 どうせ、ここは23区内の辺境地さ。誰に遠慮がいるものかい! そう思っての恰好だったが、 レジに並んで、手前の鏡張りの柱に移った自分を見てびっくり。 なんと「”うめ”アゲイン!」だったからだ。 8月から染めてない髪は、白髪でいっぱいで、”うめ”という生やさしいもの ではなく、ちょっとしたやまんば。 25才だったあの時より、歳を取ったせいか、さらに顔の地味さ加減に 磨きがかかり、”800万ほどサラ金からトイチで借りて、 返済の為に生活苦です”みたいな雰囲気ではないか。 あまりの貧乏臭さに、隣りで一緒に並んでた旦那に 「今日の私ってあんまりだよね〜〜?」と控えめに聞いてみたところ、 「うん!あんまりだ、そりゃないよな〜って感じ!」とキッパリ。 だったら、家を出る前に注意しろ! 妻の過ちは、いち早く教えていただかないと。 頼り無い人生のパートナーである。 そういう面では、あの詐欺師臭いじいさんの方がよっぽどいい。 現在午前2時50分。 「あの日、あの時、もっとじいさんの言うことを聞いておくんだった」と、 髪をカラーリングしながら、こうして日記を書く私であった。 おしまい。 ...
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