今日もガサゴソ
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実家から車で15分ほどの山の中に伯母は住んでいます。 七人兄弟の総領で、結婚しても子どもに恵まれなかったことや 幼い頃から優秀で通してきて 父と同じ製鉄所で英文タイピストをして勤め上げ 今は農作業を趣味にして快活に過ごしています。 連れ合いは30年近く前に亡くなりました。
伯母は40歳くらいのときに普通免許をとり 78歳になる今でもバリバリの現役ドライバーで 故郷に住んでいる親類たちのところを 野菜を配りつつ様子を見て周り 困り事にはいつも支援してくれるありがたい存在です。
母の様子がおかしい、と感じたとき 実家の周辺にも懇意にしているお宅がたくさんあるのですが 父の処遇までどうにかしなくては、というこの場合、 とっさに頼れるのは伯母だったのでした。
母を入院させ、父の介護をどうするのか ケアマネージャーが奮闘している間、 私が実家に到着するまでの間、 78歳の伯母に頼りきってしまうのは 甚だ申し訳なかったのではあるけれど 伯母は父の付き添いを引き受けて泊まってくれました。 伯母と父は製鉄所で同じ職場に長くいたことや 祖母との二人暮しを機械いじりの得意な父が助けていたこと 母と伯母が姉妹のなかでも特に気が合って良かったこと。 私の亭主はいつも あんたにはふたりの母がいる、と言うほどの伯母なのでした。
さぁさぁ、てるんつぁん(父の愛称) 長い付き合いでしたがとうとうこういうことになりました。 ふたりで夜をともに過ごしましょう♪
などといい、父と伯母は笑ったそうです。
父がテーブルについて食事をするために (たった一口飲んで、一口食べるのが精一杯なのに) 車椅子に移るのを助け、まもなく、今度はベッドに戻る。 伯母は普段から母のすることを見ていたけれど 実際に父に手を貸すのは初めてで ベッドに戻るときにうまくいかず 父がしりもちをついてしまったのだそうです。 慌てた伯母はベッドに乗り 馬鹿力を振り絞って父を引き上げ ふたりで転がってしまい ベッドで重なってしまって それはもう、ふたりで笑うほかなかった 怪我しなくて良かったと言っていました。
そのため、父は、また起き上がりたいとは言ったものの 伯母に、もう無理だから我慢してくれと言われて 顔をくしゃくしゃにして それが泣いたのか笑ったのかよくわからなかったとも言っていました。
夜通し父がテレビをつけていることを知らず うとうとしかけたところに 父に起こされテレビをつけてほしいと言われたり お腹がすいたと起こされたりで 伯母は明け方に二時間くらいうとうとするのが精一杯だったそうです。 父を引き上げるためにがんばったときに 手首を痛めてしまい、しばらくシップを貼っていました。 これが、毎日続いていたのかと母のことを思ったそうです。
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