今日もガサゴソ
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2003年06月05日(木) 記憶

母に云うと、嘘だろうというのです。
写真で見た風景や
大人の話を混ぜて
そんな記憶があるように
錯覚しているのだろうというのです。
でも、とても鮮やかな記憶なのです。



私が見ているのは自分の両足です。
柔らかそうな白っぽいズボンをはいていて
靴下には毛糸のポンポンが付いています。
畳にお座りして足を開いて座っています。
金太郎が熊にまたがっている絵本を見ていたのですが、
本がコトンと畳から一段下がった板の間に落ちてしまいました。
私は手を伸ばしますが
本を取ることが出来ず
あ〜あ〜、と声を出しました。

座っている場所の左手には家具が置いてあって
その向こうに母がいます。
家は小さく、昼間なのに暗い部屋です。
(生後6ヶ月から7ヶ月くらい?)


コウちゃんのおばちゃんに会いたいのです。
おばちゃんはお向かいの市営住宅から
ずっと向こうはずれの市営アパートに引っ越したのです。
おばちゃんのところに行く、というと
母は一人で行きなさいと云いました。
少し悲しかったけれど
おばちゃんに会いたくて歩き始めました。
母が家の前で見送っています。
母は水色のノースリーブのワンピースを着て
大きなエプロンをしています。
何度も振り返って母に手を振りました。
途中、側溝をまたいでおしっこをしました。
缶詰会社のトラックが通る道を横断して
振り向くと母が見えませんでした。
少し不安になって
走っておばちゃんのアパートに行きました。

コウちゃんと遊んでいるうちに
お漏らしをして、コウちゃんのズボンをたくさん折ってはきました。
母が迎えに来て、母とコウちゃんと三人で手をつないで帰りました。
(1歳半くらい)



父に連れられて
母の実家に預けられました。
おじいちゃんが膝に抱いてくれましたが
母が恋しくて泣き出しました。
おじいちゃんが慰めてくれるけれど
もっと泣きました。
おじいちゃんがうるさがって
おばあちゃんに隣の部屋にやるようにといいました。

私は暗くてじめじめした三畳間の重ねた
座布団の上に置かれました。
おばあちゃんが哺乳瓶をくれたので
あ〜んと泣き、ミルクを飲んで
またあ〜んと泣くのを繰り返しました。

夜になると父が来て
泊まりました。
朝、おばあちゃんが作ったお弁当を持って
父が出かけました。

夏の日で、おばあちゃんは風呂場で洗濯をしています。
玄関に日に焼けたランニングシャツの男の子が立っていて
おばあちゃんを呼びに行きましたが
戻ってみると誰もいませんでした。
(弟が生まれたとき 1歳8ヶ月)



他にも断片的な記憶がたくさんあります。
何度も思い返しているうちにその時云われた言葉の意味が
わかったりすることもあります。
相当に幼かった頃でも
怖いほどたくさんのことを考えたり知っていたりしました。
ただ、それを表現することができないことが殆どでした。

幼い頃に小耳に挟んだ
大人たちのうわさ話の結末が聞きたくて
母に聞いてみたことがあります。
私も三十過ぎていたので、母は大抵のことは教えてくれましたが
「なんであんたはそんなことまで知っているのよ!」と
呆れていました。

子供だからわかるまいと
おばさんたち、結構、奔放なおしゃべりをしていたんです。
内容は、秘密です。


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