今日もガサゴソ
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父の実家では商売をしているので 人様がお休みしているときが かき入れ時、お正月も初売りの準備で そうそうのんびりはしていられません。 しかし、グルメな祖母に育てられた面々が ご馳走を食べないはずはないのです。
年の瀬も押し迫り、てんやわんやで大掃除。 12月30日には一番上の伯父、通称アンナさん(大兄という意味?)が 市場で一斗缶にいっぱいのクルミを仕入れてきます。 12月31日、この日は掃除なんてしません。 クルミを割る日なんです。
アンナさんが金槌でコツコツ割ったクルミを みんなで手分けして金串でほじります。 お皿に取るのですが、お口に入る分も相当あって、 なかなか美味しい、なかなか楽しい。 今年のクルミはどうだとか云いながら 飽きるとミカンなんか食べて。 囲炉裏の上にかけた大きなこたつで わいわいわいわい。
目の良い伯母がクルミの殻が混じっていないかつぶさに点検します。
さあ、すり鉢の出番。 大きなすり鉢の係はアンナさんです。あぐらをかいて すり鉢を足で囲うようにし ごりごりクルミをすります。
クルミのタレを作るのです。 お正月のお雑煮を食べるのに、一番大事なのがこのクルミのタレなんです。 お酒、味噌、砂糖、塩、醤油、チビチビと加えながら お味を整えていきます。 アンナさんを囲んでお味見の小皿を持って みんな真剣そのものです。 甘いのしょっぱいのと大騒ぎ、最後は祖母がうんと云って出来上がり。
お雑煮は鳥のお出しです。 鶏肉、里芋、にんじん、椎茸、かまぼこ、 豆腐、ゴボウ、大根、三つ葉などが入っていて、 最後に焼いて湯通ししたお餅が入ります。 これらのひとつひとつを 大晦日に作ったクルミのタレをちょっとつけて食べるのです。
これは私の故郷独特のお雑煮の食べ方のようです。 クルミのタレは、お餅に絡めても美味しく頂けます。
祖父が元気だった頃は 神棚に下がっている恵比寿様や大黒様の絵も スイスイ描き直して張り替えたものだそうですが、 私が物心ついた頃には祖父は亡くなっていたので もっぱら、クルミのタレの騒動で新年を迎えるのでした。
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