今日もガサゴソ
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私が十歳くらいの時、 叔父の家から布でできた着せ替え人形と 木でできたお人形の家具が届けられました。
曾祖母が母たちのために作ってくれたものだそうです。 丁度リカちゃん人形くらいの大きさでした。 浴衣や着物や帯が少しあって、 多少古びた感じはするものの 可愛らしく、珍しくもあり、大切にしました。 家具は祖父が壊れた下駄で作ったのだそうです。
その人形を見つめて母がいいます。
私たちみんなの大きなお人形があったの 触ってはいけないの 美しい晴れ着をいくつも持っていて 着物はみんなおばあさんが お仕立ての余り布で作ってくれた あのお人形はどこにあるんだろう このお人形が出てきたのなら 一緒にあっても良いのに おひなさまもどうなっているんだろう ひどい状態だったので 黙って処分したんだろうか
母のつぶやきは いつまでもいつまでも心に残って それほどまでに 恋しいのは、果たしてお人形なのかどうか つい考えてしまいます。
私は15歳で進学のため家を離れ、 就職のため上京し、そのまま東京で結婚したので 母の胸のうちを聞く機会はありませんでした。
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