...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年01月29日(水)

先にも記したとおり、僕の小学校時代は何事も無く送られた。
母は諦めたのか、それとも他に何か手を考えていたのか
それは今となっては分からない。
が、母は大人しく周りの勧めに従って、僕に男物の服を着せ
以前のように「お前は女の子なんだから」と言い出す事も無くなった。
それと同時に僕に興味を持つことも無くなり
一緒に出掛けるという事も極端に減っていった。
母は、男である僕となど関わりたいとも思わなくなったのか。

睾丸を片方と母の愛を無くした代わりに、僕は男になれたという
なんとも皮肉な結果だ。

だけど、そんな母との生活も長くは続かず
中学に入る前には僕は父の元に身を置くことになった。

あれは忘れもしない小学6年生の夏。
土曜の昼。
学校からお腹をすかせて帰ってくると、家に母は居なかった。
適当に冷蔵庫の中をかき回してみたが
すぐに食べられるような物が何も入っていない。
当時僕はお小遣いというものを貰っていなかったのでお金も無い。
お腹はグーグー鳴っていたが、
それでも土曜日に僕が早く帰ってくる事は母も良く分かっているから
きっとすぐに帰って来るのだろうと思い、
一人ファミコンをして過ごした。


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