全てフィクションです 【DRESS】 - 2003年01月22日(水)無事に手術が終わり、サチは病室へ移された。 その外では父親がじっとサチを見つめていた。 サチはショックが強かったからなのか麻酔が解けても身動きしなかった。 薄く目を開け、サチはまっすぐ前を向いたまま。 母親がふと顔を上げて病室の外に出てきた。 「お前は、自分の言っている事が分かっているのか」 母親が廊下を歩き出した時、後ろから父親が声をかけた。 「どうして息子を女にしようなんて突拍子も無い事を」 そこまで言いかけた父親の言葉を遮って、彼女は突然泣き出した。 人の目もはばからず、廊下に座り込んで。 そんな泣き崩れる女を無理やり抱き起こして 「あの子は俺が引き取る。もうお前なんかには任せられない」 と冷たく言い放った。 「やめて!あの子は私が一人で産んだのよ! あんたなんかにサチは渡さないから!」 「医者にいつ退院できるか聞いてくる。 それまで毎日来るよ。毎日だ。退院の日は俺が連れて帰る」 やめて!やめて!やめて!やめて! あの子の事愛してるわけじゃないくせに! 狂った様に泣き叫ぶ母親を突き放して彼は帰って行った。 -
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