...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2002年12月04日(水)

父と離婚した母は、一人で僕を育てた。
一時は僕を妊娠した事が父に知れ、
また復縁しないかという話をされたらしいが
母は頑としてそれを受け付けず、どうにか一人で産んだそうだ。
その頃の話は、あまり聞いた事が無いので詳しい事は分からない。

僕は幼稚園や保育園などには行かなかった。
最初は自分でそれを疑問に思うことは無かったが
そのうち周りの同じ様な年齢の子供達が
運動会やお遊戯会などの話を始める時、
自分もオトモダチがいっぱい通っているらしい幼稚園という物に憧れた。

だが僕の母は
「サチにはママが居るでしょう?」
というばかりで、僕を家の周りより遠い場所に置く事は許さなかった。
今思えば、幼稚園などに僕をやれば
僕に男の子の服装をさせなくてはいけない。
だからなんだろう。


正直言って、その頃僕は自分の事を特異な存在だと思い始めていた。

生まれてからずっと、僕の服装といえば女の子の可愛らしいものだったし
母は僕に女の子らしい仕草や口調を求めた。
だが、僕はテレビを見る時は少女の出てくるアニメではなくて
なんとか戦隊とかなんとかレンジャーとか、
戦うロボットやなんかが出てくるものが好きだったし
公園で男の子達ががサッカーをやっていると
僕も仲間に入れて欲しくてうずうずした。

自分がまだ男女の性の違いを良く分かっていなかったときは
子供ながらに、自分はなんて女の子らしくない(母親の期待に添えない)
子なんだろうと考えたこともある。




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