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【父との秘密】エピローグ・弟 - 2002年09月29日(日)

あたしが家を出た次の年、
弟は自動車整備系の専門学校にに進んだ。
「手に職を付けたい」と言っていた。
あたしが出て行った後、やはり母は父を呼び戻したらしいが
父はすっかり大人しくなったらしい。
誰も、あたしの事を話題にはしなかったそうだ。

弟が家にいる間、父と会話する事は無かったけれど
専門学校を卒業する時には学費を出してもらった事と
それまで家に置いてもらった事を素直に両親に感謝の意を述べ、
すぐに一人住まいを始めた。

それから自動車メーカーに就職し
そこで整備士として東京で働いている。
近々、結婚するらしい。
2度ばかり弟は札幌に帰って来た際に彼女を連れてきていたが
綺麗な茶色い髪を長く伸ばした、可愛らしい女の子だった。
元気な子で、家事をするよりも外で働いている方が好きだと言っていた。
専業主婦に憧れを持たない弟とは、いい夫婦になるかもしれない。

弟は今でも、時々電話をくれてあたしを心配してくれる。
本当に優しい子だ。
あたしは、あの夜の弟の事を忘れない。
彼がいなければ、今のあたしは無かったかも知れない。
一生を掛けて感謝しても足りないくらいだ。
弟が困っている時には、万難を排しても協力したいと思っている。




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