...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】 - 2002年09月14日(土)

父はあたしの振り回す枕を腕で避けようとしながらも
その場から動こうとはしなかった。
ただ、あたしに殴られるまま
驚いた表情を浮かべたまま
そこに尻をついたままになっていた。


あは…あははは


あたしの口元に笑みが浮かぶのが自分でも分かった。


あははははははははははははははははははははは


今までどうしてこんな弱い男のなすがままにされていたのだろう。
あたしはいつでもこの男に勝つ事が出来たのに!
こうしてやり返せばこんな奴どうする事も出来たのに!
枕を振り上げながらも、あたしはおかしくて仕方がなかった。

枕なんかじゃ生ぬるいわ。

そう思ってあたしは机の前にあった木製の椅子を掴み上げた。
普段は重たくて移動させるのさえ面倒だった椅子。
それを掴んで高々と持ち上げると
あたしは尚も笑いながら父に向けて叩きつけた。

うっ、という父のうめき声がする。
あはっ!痛いだろうね!
あたしだってずっと痛かったんだ。
少しは分かってくれたかなぁ。
あたしの心がどれだけ痛かったのかを。
その傷を抱えて生きるのがどれだけ辛かったのかを。



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