...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】家路 - 2002年08月24日(土)

「やっぱり我慢できない。俺帰るわ。
 姉ちゃんもあんなのに付き合うこと無いって」

弟の目は少し涙目になっていたようだ。

・・・母は本気で、父が反省したから許すと言ったのだろうか。
今日はさすがにあたしも混乱気味だ。
母はあたしの味方というわけでは無いのだろうか。
本当に父の言う事を信用したのだろうか。

それに、父が反省しているというのは本当なんだろうか。


「姉ちゃん、もう帰ろう」

うん、帰ろう。
このまま友達の家に寄ってくる、と言って弟は立ち去った。
納得いかない思いが頭の中を渦巻いているのは
弟も同じだろう。
まっすぐに家に帰りたくない気持ちは良く分かった。
あたしはまた店の方を振り向くと
明るいガラスの中で、母が父に向かって何かしきりに話しているのと
父が寿司を食べている姿が見えた。

母の、父に媚びる姿がなんとも痛かった。
やはり女は、母親である前に女であるのだろうか。
あたしの身に起きた事よりも、父を引き止めておく方が
母にとっては大切な事だと?

そんな事を考えていると涙が溢れてくる。
「あたしも帰ろ」
一人で呟いて、あたしは家路についた。



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