...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】誰かいる - 2002年08月29日(木)

家に帰るとやはり弟は居らず
真っ暗な家の中を電気もつけずに歩いた。
窓の外から漏れる薄明かりを頼りに階段をのぼり自分の部屋へ。
あたしはベッドに入り暗闇の中カラダを丸くする。


母は父とまたやり直したいと思っている。
父は反省している・・・と母は言った。
自分が母の立場だったらどうするだろう。

自分以外の女を抱いた男を許せるだろうか。
自分の娘を抱いた男を許せるだろうか。
女を犯した男を許せるだろうか。
・・・長年自分を裏切ってきた男を許せるだろうか。

いくら考えても、あたしには許せない事ばかりだった。
これは、あたしがまだ子供だからだろうか。
あたしには分からない何かが大人にはあるのか。



どれだけの時間そうやって考えていたか。
あたしは仕事の疲れもあっていつの間にか眠ってしまったようだ。
変な時間に目が覚めてしまったのだろう、
まだ部屋の中は真っ暗で、あたしの頭もはっきりとは目覚めていない。
うとうとした状態の頭でぼんやりと暗闇の中を眺めていると


誰かいる

誰かが、息を殺してあたしを見ている

あたしは

「だれ」

と声をあげた。



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