...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】 - 2002年08月22日(木)

あたしは慌てて母に駆け寄ろうとしたが
それより早く弟が父に向かって走り出した。

「・・・こっ…のやろぉ!!」

今にも殴りかかりそうになる弟を追いかける。
「やめなさい!」
押し殺した声で弟を諌め、腕を掴む。
なんで止めるんだよ、という目で弟がこっちを向いた。

「こんな所で暴れたら、お店に迷惑だから」

とあたしは言った。
父と母は既に店の中に入っており、
このまま弟を暴走させれば大騒ぎになる。
母がどういうつもりで父を呼んだのかは問いただしたかったが
こんな場所で注目を浴びるのだけは嫌だった。

「姉ちゃんは平気なのかよ。あんな奴と飯なんか食えるのかよ」

腕を掴まれたままの弟が、まだ息を切らしながら言った。
・・・平気じゃない。
でも母が何を考えているのかが分からない。
「とりあえず、行ってみよう」
と、あたしは弟の手を引いて店に入った。




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