...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】彼との再会 - 2002年08月02日(金)

次の日、彼と再会するために祖母の家を出た。
学校のある日だったが、彼と会って話す方を優先した。
どうせ、こんな状態で学校に行っても、絶対身に入らない。
自分でそう決めて、昨日彼と約束した場所へ向かった。

地下鉄に乗るのは久しぶりだ。
家から20分ほど歩いた先にある駅から地下鉄に乗り
札幌駅で下車した。
待ち合わせの場所まで歩いて10分程度の所だったが
まだ時間は30分以上あった。
彼が指定した喫茶店に、時間より随分早く到着したのに
彼はもうそこに座ってコーヒーを飲みながら何か食べていた。

「久しぶり!」

彼はあたしの姿を確認すると、店の奥から手を振っていた。
大声で挨拶されてちょっと恥ずかしかった。

「こんにちは。久しぶりだね」

席に座って、あたしも朝食を取る事にして
彼と同じサンドイッチと、アイスコーヒーを頼んだ。
数ヶ月ぶりに会う彼は相変わらず優しい笑顔で
あたしはなんだか癒される気分でいた。
この人になら、なんでも話せる気がする。
あたしの想いを全てぶつけても、この人なら。
この人ならあたしを底なし沼みたいな気持ちから引っ張りあげてくれるかもしれない。

他愛無い世間話と、彼の近況を話して
彼は少し身を乗り出して両肘をつき、あたしを真っ直ぐに見つめて言った。

「今日はね、会わせたい人がいるんだよ」




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