...ねね

 

 全てフィクションです

【父との秘密】彼と話そう - 2002年07月31日(水)


あたしは、ちょっと軽い足取りで公衆電話まで歩いていった。
彼の声を聞けば、このモヤモヤも無くなるかもしれない。
番号を押す自分の口元が、少し緩んでいるのが分かる。
あたしは・・・彼が好きなのか。
友情としては、電話だけの相手だし異性だけど
でも、好きだ。
それが恋愛感情なのかと言われると、ちょっと良く分からない。
分からないが、あたしは彼と話すのが好きだった。

4、5回コールを待っていると、彼の声が聞こえる。
もしもし?といつも通りの明るい声がする。
やっぱり、暗く沈んだあたしの気持ちが少し和らいでいくのが分かった。

たわいも無い話を延々と続けた。
まるで夕べ起こった事が何も無かったように。
1時間ばかり雑談をして、彼が「じゃあそろそろ・・・」と言って
電話を切ろうとした。

あたしはその時、彼に話したいという衝動に駆られ
「待って!」と叫び、彼の返事を待たずに話し出した。
せき止められた水の壁が崩れたように
早口で自分に起こった過去の事と昨日の事を話し続けた。



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