全てフィクションです 【父との秘密】弟と二人で - 2002年07月30日(火)祖父母には、母が連絡を入れたはずだ。 が、なんと言って説明したのか分からないが、 あたし達が暗い顔をして家に着いたのを見ても、特に何も聞かれなかった。 あたしと父の事は言わなかったのかもしれない。 その日は、前日の徹夜と事件の疲れで眠気がひどく あたし達は学校を休んで、一日ぐったりと眠り込んだ。 夕方まで眠って、それでも疲れの取れない顔のあたし達を見て 祖母は心配していたが、弟が気を効かせて饒舌に振舞ってくれたお陰で それほど気にされないで済んだ。 何かあったのかと聞かれても困るので、こんな時弟の明るさには助けられる。 夕飯の後、あたしは部屋で学校の勉強道具の整理をしていたが 暗くなってくると、また得体の知れない恐怖のような物が いや、恐怖と言うわけではないが、なにかモヤモヤした物がこみ上げてきて あの人と話したいな、と思った。 飲み会の席で、客とコンパニオンとして出会った彼は 今ではあたしには無くてはならない存在になっていた。 相変わらず電話だけの友人であり、あれから一度も会っていないが 自分がキツイ時には相談に乗ってもらい、 彼の豊富な話題は、いつもあたしを楽しい気分にさせた。 よし、電話をしに行こう。 部屋を出て居間の電話に向かったが、 でもなんとなく誰かに聞かれるのは気になるな、と思い直し 家の前にある公衆電話に行く事にした。 -
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