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【父との秘密】弟の、優しさが嬉しい - 2002年07月25日(木)


弟の後について、毛布をたくし上げながら階段を登る。
時々振り返って手助けしてくれる弟の優しさが嬉しい。
一つ年下の弟が、この前まではあんなに小さかったのに、と思うほど
彼の背中と手は大きく、頼りがいがあった。

小学生の頃は喧嘩ばかり、そして中学に上がった頃は
あたしが家に寄り付かない事もあって、あまり話した事は無い。
お陰で時々憎まれ口を叩く以外は、ほとんど交流の無い弟だった。
あたしがこうして窮地に立たされていても、
まさか助けてくれる様な弟だとは思ってもいなかった。
むしろ、あたしは嫌われているんじゃないかとさえ。

その弟が、今こうやってあたしを助けてくれる。
この時、あたしは中学3年、弟は中学2年。
いつの間にかあたしの背を越えた弟。
初めてあたし達はお互いに分かり合えたような気持ちになった。


体に巻きつけた毛布に苦労しながら階段を登りきると
まずあたしの部屋があり、納戸を挟んで弟の部屋があり、
廊下の一番奥に両親の寝室が見えた。
あたし達は弟の部屋に向かった。
あたしの部屋の前を通り過ぎる時、母の声が聞こえて一瞬立ち止まる。
聞き耳を立ててみたが、何を言ってるのかまでは聞こえなかった。

弟に手を取られ、そのまま自分の部屋を後にした。




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