| 2007年07月21日(土) |
生きるということ その2 |
昨日の日記にちょこっと書いた川上さん(仮名)の話。 川上さんは73才女性。カルテの病名欄には「末期癌」と書かれている。
抗がん剤や放射線療法を受けた後は自宅で過ごしたいと希望して退院したらしい。うちのクリニックにはリハビリと注射を受けるために、週に三回来ている。その治療は本人が希望するワクチンだ。週に三回打っているこの注射に加え、これと併用して他のワクチンも使うことになった。そのワクチンの使い方がちょっと複雑なのだ。どんな治療でも先生が受け入れたものなら、それに従って患者の治療がスムーズに行くように介助するのが看護師の役目だ。
「生きるために必死です」
と川上さんは言う。
保険が利かない薬なので費用は自費になる。しかも高額だ。
現在はとても元気で、先生が「末期癌とは思えないですね」と言うほどだ。 二つのワクチンを併用することによって、どのワクチンがいつで、どういう使い方をするのかを間違わないようにしなければならない。
「また迷惑かけちゃいますね。面倒なことお願いしてごめんなさいね」
と川上さんに言われた。
「迷惑なんかじゃないですよ。出来る限りのことをしましょう。協力させていただきます」
と言うと川上さんは「ありがとう」と微笑んだ。
川上さんの顔を見る度に「この世に生を受けたからには、生きていかなきゃいけないのよ」と言われているような気がする。
時々忘れそうになるけど、川上さんを見ると「生きなきゃ」と思う。
川上さんが生きようとする姿は、見ていて清々しい。 優しい目で見られるだけでこの人に救われていると感じる。

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