自分から息子にはメールしないと意地を貼っていたら、息子からメールが来た。一昨日の夜のことだ。
「体育の単位落としそう。レポート書けない」
私にお節介だの何だのと暴言を吐いた日に、こう泣きついて来た。
「自分でなんとかしろ!」
と、言いたかった。一昨日の夜の時点では私はまだモヤモヤが晴れていなかった。それに、これを手伝うことは甘やかしかもしれないと思った。息子のためにも自分で何とかさせたい。
しかし、
「明日こっちに来たら手伝うよ」
と返信した。
ここで自分でなんとかしろと言ったら、息子は単位を落とすだろう。 それも息子の人生だと諦めた方がいいのだろうか。
息子は小学生の頃から漢字を覚えるのが苦手で、文章を書けなかった。それが今でも続いている。本を読んで理解することはできるのだが、文章を書く能力は小学校低学年から進歩していないように思う。
トムクルーズが「失読症」なのと似たようなもので、息子は考えをまとめて文章にすることができないのだ。
息子の高校は単位制で、通信と定時から選ぶことができる。体育は通信で取っている。学校に行くのは月に1〜2回。その代わり、6回のレポート提出がある。 高校に入ってからレポートを手伝ったことは無い。数学や地理などは自分でできる。とにかく文章が苦手なのだ。
今回の体育のレポートは、新聞記事を貼り付けて結果をまとめ、自分の感想を書くというのが課題だ。 選んだのはウィンブルドンテニス、男子決勝。 最初は自分が興味あるゴルフの方がいいのではないか?と提案したのだが、実際にプレーを見てレポートを書きたいと言い、少し前にテレビで放映していたウィンブルドンを選んだ。
大会名、開催期日、場所、チーム名、人物などは自分で書けていた。
まず息子が自分の意見を色々言う。それを私が箇条書きにする。そんな作業を繰り返したり、試合について感想を述べ合ったりした。「タイブレークって何?」という質問からテニスのルールの話にもなった。息子が言った言葉を私が書き、それをまとめ、さらに息子が言い直す。そして私が書き直す。最後に息子がそれを書き写すという流れだ。一つのレポートを仕上げるのに2時間半かかった。
適当に済ませるということもできないのが、息子の特徴でもある。
出来上がった時、
「終わった〜!ほんとーーーに助かりました!」
と言われたので、
「ほんとーーーに助けました!」
と言った。
「でもこのぐらい自分でできないといけないんだよね」
と息子は自分でもわかっている。
「トムクルーズだって失読症なんだし、お母さんの方向音痴と同じだと思えばいいよ」
「でも、障害とかは自分で決めるものじゃないし」

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