2007年09月02日(日) |
「世界最速のインディアン」 |
2005年ニュージーランド・アメリカ 監督ロジャー・ドナルドソン キャスト アンソニー・ホプキンス ダイアン・ラッド ポール・ロドリゲス アーロン・マーフィー アニー・ホワイト
1967年に68歳で1000cc以下の部門で世界最速記録を達成した(そしていまだにその記録は破られていない!)伝説のライダー、バート・マンロー。 監督は71年に生前のマンローを取材し、以来映画化の夢を温めていたそうなのですけど。でもそんな思い入れがこの作品をものすごい感動作!に仕上げているかというと、そうじゃないんですよね。尖ったものも、よけいな力も入らない、普通に夢を語り、ただそれに向かって進んでゆく・・まるでバート・マンローの人柄のように・・こころ暖まる、いい作品でした。
バートを演じるアンソニー・ホプキンス。 これまでのどこか隠し切れない毒?を感じさせる役柄じゃない、ちょっと変わってるけど愛すべき人!そんな老人をしっかりと魅せてくれましたね。 彼がちょっとした時に喋る言葉が、また、とっても味がある。 刻まれた皺のように深くて・・。これはね・・やっぱり生きてきた深さかな。でもそればっかりじゃなくって、「こころは18歳!」だから(笑)夢を追いつづけることを忘れてないんですよね。
そんな彼が伝説のライダーの聖地、アメリカのボンヌヴィルを目指す旅が、この映画の軸になってます。 もちろん、最後には見事な記録を達成して、そこはとっても感動的なんだけど、でもそれ以上に、旅のシーンがいいですよね。 モーテルの受付のティナ嬢や、風貌はちょっと怪しい車のディーラー、高原で出会ったインディアン。そして夫を無くした一人暮らしの女性・・などなど・・ 行く先々で出会う人々との触れ合いが、とっても素敵でしたよね。 誰にでも「バート・マンローだ」と名乗りながら手を差し出し、媚びることも、気負うこともなく、自然体で接する。そんな彼だからこそ、みんないつしか笑って、彼を助け、一緒に過ごす時間を楽しむのですよね。 別れ際にクラクションを鳴らして、次の場所へ向かうバートを見ていると、今度はどんな人に出会うんだろう・・ってとても楽しみになってしまいましたよ。
そしてラストも。華々しい凱旋の様子を見せるのではなくって、彼がまた地球の反対側の故郷の町へ帰ってきて、お隣のトム少年と自分の家へ帰ってゆく・・ そんな地味なシーンが、かえってこれからも続くだろうバートの夢への挑戦(いつものようにアイディアいっぱいの改良を繰り広げたり、チタンの味のするお茶を飲んだりする・・そんな様子が)が想像できて良かったですよね。 バートと接する人々も、それぞれに素敵でした。でもやっぱり一番なのは、彼ですよね!!一番の理解者、お隣のトム少年。とっても可愛くて、表情も素晴らしかったわーー。彼が一生懸命入れるお茶のシーンの可愛さに、思わずTea&Cinemaに挙げちゃいました。この映画らしい、お茶のシーンだったのですよ。
それにしても!インディアン!!速いですね〜!! 思わず「おおおーーーーーー!!」ってこちらも力入りました。 タイヤを肉きり包丁で削いでみたり、ウィスキーの蓋を使ってたり。その型破りさにもビックリ。 あのゴーグルをつけたバートの顔は、「紅の豚」さんに似てましたよね(笑)
世界最速ですが・・感動はむしろ速さじゃなくって、じんわりと、しっかりと長くこころに留まる映画だと思います。
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