| 2007年05月13日(日) |
「ハンニバル・ライジング」 |
2007年イギリス・チェコ・フランス・イタリア 監督ピーター・ウェーバー キャスト ギャスパー・ウリエル コン・リー リス・エヴァンス ケビン・マクギット ドミニク・ウエスト
怖がりやの私が何故かシリーズ通して見ているハンニバル・レクター。 どこに惹かれるのかって言われてもうまく説明できないのですけど、その魅力はやはり「計り知れない・・」っていうところかもしれません。 知的で優雅で、音楽にも文学にも通じる彼の中に密やかに、しかしはっきりと確かに存在する狂気。 その中にいったいどんなものが秘められているのか・・彼の過去の中に眠っているもの。
実はね・・そういうのって暴いてみせて欲しくはなかったりするんですけどね。知らないほうがいいこと・・って確かにありますもん。 でも・・でも見ちゃうんです。 なぜって、ウリエル君が若きハンニバルをやるからですね(笑)ええ・・そうです、そうなのです。
そして・・ウリエル君、彼はすごかったですよ。 少年時代に受けた戦争の傷、家族を失い、何より妹をあんなふうに失って。 言葉をも失った彼が復讐への道を選ぶ姿・・。悪夢にうなされながら・・男達を追い詰める姿。 まだ若きハンニバルですからね・・完璧な(?)わけじゃないわけです。しかも復讐劇、プラスウリエル君ってことでやられそうになっちゃったりすると・・応援しちゃうわけなんです(汗)いやぁ・・よもや・・ハンニバルを応援しちゃうとは(汗)私の中のハンニバルは惹かれこそすれ、決して応援しちゃう・・存在ではなかったのですけどね。
でも彼が見せるその妖しい瞳、血を浴びてなお美しい姿には思わず魅せられて。ゾクゾクしましたよ。
そんな彼が身を寄せるレディ・ムラサキ(なんでこんな名前?苦笑)。 東洋の神秘?綺麗でしたよね、コン・リー。切ない顔が印象的で。 しかし・・神秘的すぎやしませんか?あのお屋敷のあのセットは(苦笑) さらし首なんて・・普通は見せません、能面だって吊るしません(汗) 戦争で彼女も家族を失ってる・・そんな彼女の内面の苦悩を・・・もっともっと掘り下げてみせてくれても良かったのじゃないかな・・って思いました。 何故彼女が彼をかばうのか・・惹かれるのか。 あまりにハンニバルの復讐劇に力が入りすぎて、このふたりの関係が私にはちょっと物足りなかったなぁ。寄り添うシーンはドキドキしましたけどね・・でもふたりの心の深いところは・・触れ合ってなかったような。 クラリスと後のハンニバルのような・・。そんな気がしました。
だから・・あの復讐の最後に彼女の口から出たあの辛い言葉も、深く感じられなかったんですよね・・それが残念でした。 彼女のあの言葉と、グルータスの口から出た衝撃の事実が、若きハンニバルをやがて狂気の世界へと、よりモンスターへといざなったのじゃないかなって思ったんですけど。
若きハンニバルを見たら・・なんだかこれまでのようにはハンニバルを見れないわ(いや、別にこれまでのシリーズを見直そうとは思いませんが) 知らないほうがより怖い、隠されているほうがもっと恐ろしい。 そういうものかもしれません。
そう・・一番怖かったのはあの歌かな。レストランであの童謡(?)を口ずさむハンニバル。 どんなに残酷な殺し方よりも・・あのシーンは間違いなく怖かった。
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